“あお”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
31.1%
23.6%
13.8%
10.4%
10.4%
5.8%
仰飲1.2%
1.0%
0.2%
0.2%
(他:30)2.3%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
眼元の酔いを、お蔦は、ちょっとあおくしたが、ふいに、長襦袢ながじゅばんの細長い体をしなやかに曲げて笑いけた。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
敗残者のあおざめた顔を、眼の上にたれ下がって一方はほとんどふさがってる太い眼瞼まぶたを、気の毒そうにうちながめた。
素戔嗚すさのおはこううめきながら、勢いよく寝床を飛び出した。その拍子に桃の花が、あおったように空へ舞い上った。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
青白いスクリインは、バタバタと風にあおられ、そのまえに乱雑に転がったデッキ・チェア、みんな、むなしい風景でした。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
また、あお海辺うみべつらなる電線でんせんまって、うみほうていたこともあります。
つばめの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
きゅうりのあおいつやつやとしたはだは、二郎じろうこうとするふでさきすみをはじきました。
遠くで鳴る雷 (新字新仮名) / 小川未明(著)
するうちに、よどんだようなあおい水のまわりに映るの影が見え出して、木立ちのなかには夕暮れの色が漂った。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
(おお、その珠と見えたのも、大方星ほどの手毬だろう。)と、あのまたあおい星をながめて云うだ。けちりんも疑わねえ。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ある者は天をあおいで云う「あらずあらず。リチャードは断食だんじきをしてみずからと、命の根をたたれたのじゃ」と。
倫敦塔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
反絵はふと上をあおぐと、榧のこずえの股の間に、奴隷の蜥蜴とかげ刺青ほりものが青いこぶのように見えていた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
ホワイト襯衣しゃつに、しまあらゆるやか筒服ずぼん、上靴を穿いたが、ビイルをあおったらしい。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そうして、ネオン・サインの陰を酔っ払ってよろめきまわり、電髪嬢をさかなにしてインチキ・ウイスキーをあおっている。
日本文化私観 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
——その時、首領は、異様な声をすぐ外に聞いた。あぶった鶏の肉を裂き、酒を仰飲あおっていたまわりの賊も、
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
——そして昼見た夢の、ふるさとの、じじやらばばやら女房子などについひかれて、味ない酒をただ沈湎ちんめん仰飲あおっていたが、
しかして、その風呂敷をもってあおぎおりしは、魔術を行うにあらずして、猟師の鉄砲を所持せるを見、己に向かって発砲せんことを恐れ
迷信解 (新字新仮名) / 井上円了(著)
此方は、成るべく、彼を愕かさじと、徐々と、一尺引き五寸引き、次第に引き寄せしが、船前六尺ばかりにて、がばと水をあおりて躍り、綸の張り卒然失せぬ。
大利根の大物釣 (新字新仮名) / 石井研堂(著)
もうそのまま、帰りたくもなりましたが、皆で来ているのでそれもならず、再び店内に入ると、もはや、ほろ苦くなった酒をあおるのもめてしまった。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
彼は手紙の終りにある住所と名前を見ながら、茶碗に注いであった酒をぐっと一息にあおった。
セメント樽の中の手紙 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
そしてある時は野菜を、ある時はまだあお箒草ほうきぐさをという風に、あれや、これや、日によっていろんなものを積んで帰る。
博物誌 (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
川島は、其処の倒れた松に腰かけて一ぷくしながら、あおいゼリーのような、地図に無い沼を見下みおろしていたが、やがて煙草を棄てて水際までおりて行った。
植物人間 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
一行は木を編んで、嶮しい巌やあおい竹のあいだを渡り越えると、時に紅いきものが見えたり、笑い声がきこえたりした。
女は年のころ十七、八で、あおい袖、あかもすそきものを着て、いかにもしなやかな姿で西をさしてしずかに行き過ぎました。
図457は高さ三フィートの奇妙な扇で、米から塵を煽ぎ出したり、あるいは穀物から籾殻もみがらあおりわけたりするのに使用する。
五十歳前、徳川三百年の封建社会をただ一あおりに推流おしながして日本を打って一丸とした世界の大潮流は、まずやすまず澎湃ほうはいとして流れている。
謀叛論(草稿) (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
下人は、くびをちぢめながら、山吹やまぶき汗袗かざみに重ねた、紺のあおの肩を高くして門のまわりを見まわした。
羅生門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
下人は七段ある石段の一番上の段に、洗いざらした紺のあおの尻を据えて、右の頬に出来た、大きな面皰にきびを気にしながら、ぼんやり、雨のふるのを眺めていた。
羅生門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
長良ながら乙女おとめが振袖を着て、青馬あおに乗って、峠を越すと、いきなり、ささだ男と、ささべ男が飛び出して両方から引っ張る。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「志保田の嬢様が城下へ御輿入おこしいれのときに、嬢様を青馬あおに乗せて、源兵衛が覊絏はづないて通りました。——月日の立つのは早いもので、もう今年で五年になります」
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いつもわが独寝ひとりね臥床ふしど寂しく、愛らしき、小さき獣にうまきもの与えて、寝ながらそのくらうを待つに、一室ひとまの内より、「あおよ、」「すがわらよ。」など伯母上、余所よその客など声々に云うがふすま漏れて聞ゆる時なり。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さすがに、みかども、みなの気もちを汲んで、どういって一トことでもなぐさめてやったらよいか、それすらも見つからぬお立ちまどいの容子だった。その龍顔も、やや仰向あおに、しばし暗然としておられた。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
絶体絶命とみたら、いつでも護持する綸旨りんじを灰として、自身は毒を仰服あおぐ決意を秘めていたのである。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ジンの熱いやつでもあおって、さぞ、男同志が溜息をつき合うことでしょう。
ドーヴィル物語 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
黒パンにチーズを塗り乍ら、じっと彼が酒をあおるのを眺めて居た女は、此種の女の敏感に伴う微な身慄いを身体中に走らせたが、最後に歪めた眼をだらしなく緩めると力の抜けた様にパンもナイフもテーブルへ抛げ出して云った。
ドーヴィル物語 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
彼はまた、ブレヱクの幻惑に酔ひ、ゴッホの向日葵と燃焼し、ダビンチを愛敬し、グレコを恋慕し殊に私の愉快に感じたのは、操吉が、狐のやうに尖つた顔で絹扇をばた/\動かし、桃色と幻青あおとの軽羅うすものの女を、好んで描く女画家マリー・ローランサンにほれてゐることだ。
そのポスターの図案は、くっきりと濃い海碧あお色を背景にして、一人の自転車乗りを点出したものであったが、まず一本の軌道が下へ向かってうねうねと幾重にも曲りくねって、しまいの方はリボンをたれたように垂直に地面へ落ちていた。
或る精神異常者 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
運命の命ずるままに引きずられて、しかも益々苦痛な、益々暗澹たる生活をさせられる我身を、我と我手でなます切りにして大洋のあおい浪の中に投げて仕舞いたかった。
栄蔵の死 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
そこには二頭の牝馬がいて、一方はぶちのある灰色あおで、一方のは鹿毛であった。
呉春は透きとおるような魚の肉を見て、こんなことを考えていた。そしてしたたか酒を煽飲あおりながら、一箸ごとに噛みしめるようにしてそれを味った。
艸木虫魚 (新字新仮名) / 薄田泣菫(著)
皮膚にまで碧緑あおさがみこんでくるように、全く、此処ここの海は、岸に近づいてもあい色だ。
モルガンお雪 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
空は、それにもまして碧藍あおく、雲の色までが天を透かして碧い。
モルガンお雪 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
ときどき風が木々の香りをあおりながら、彼女のところまでさっと吹いて来た。
菜穂子 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
葛上亭長まめ芫青あお地胆つち、三種合わせた、猛毒、はだえあわすべき斑蝥はんみょううちの、最も普通な、みちおしえ、魔のいた宝石のように、炫燿ぎらぎらと招いていた。
灯明之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
樹島は、ハッと、真綿に据えたまま、蒼白あおくなって飛退とびしさった。そして、両手をついた。指はズキズキと身にこたえた。
夫人利生記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
白魚橋のあおい空を、乱れた提灯ちょうちんの影が点々と駈け出して行った。——むろん東儀が河の中からそこに認めた郁次郎は、とうに夕闇の深くへその姿をくらましていた。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
山「実に此処であおうとはなア、兼公、半公もおめえに逢いてえだろうが出られねえ首尾で、今日は漸く暇を貰って出て来たが、直ぐおめえとこへもけねえというのは何分世間をはばかる訳で」