青毛あお)” の例文
愛馬の青毛あおや、供の者を外において、正成はいつものような機嫌で、迎える家族たちの顔の中を、式台から奥へ通って来た。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『前日、幄舎あくしゃてた工匠たくみどもが、くぎをこぼしていたものとみえ、釘を踏み抜いてしまったのだ。おれでも踏み抜けばよかったのに……あの青毛あおが、後脚ともあしの右のひづめで』
そのとき、うまやの馬——あの四白よつじろ青毛あおが、異様な声を発し、ひづめをあがいて、いななき止まない。
『……貴様は、どう見たか、あの青毛あお四歳よんさいを。どうだ、あの駿馬しゅんめは。すばらしいものだろうが』