あお)” の例文
もうそのまま、帰りたくもなりましたが、皆で来ているのでそれもならず、再び店内に入ると、もはや、ほろ苦くなった酒をあおるのもめてしまった。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
もっともそう言う女房は少しくらっていたようで、亭主の国府に張合って、朝から濁酒どぶろくでもあおったんでしょう
毒薬でもあおるような恰好で、そのくせ喉を鳴らして舌めずりしながら流し込んだ強烈なアルコオルの一、二杯がこの男の硬張こわばっていた舌を滑らかにさせたのであろうか
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
彼は手紙の終りにある住所と名前を見ながら、茶碗に注いであった酒をぐっと一息にあおった。
セメント樽の中の手紙 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
中ッ腹で女房と喧嘩した上、女房が濁酒をあおったから、あっしは国府を買って思う存分喫ったんで——