あお)” の例文
あおい、うつくしいそらしたに、くろけむりがる、煙突えんとつ幾本いくほんった工場こうじょうがありました。その工場こうじょうなかでは、あめチョコを製造せいぞうしていました。
飴チョコの天使 (新字新仮名) / 小川未明(著)
と、母親ははおやおしえました。するとみんな一生懸命いっしょうけんめい、グワッ、グワッと真似まねをして、それから、あたりのあおおおきな見廻まわすのでした。
あおぱなだの、腫物できものたかりだの、眼やにくそだの、味噌っぱだの、頬も手も、かじかんでる癖に、寒さを知らない伊吹山の麓の風の子たちが
雲霧閻魔帳 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
といいながら、おにが出てたので、「ひゃあ。」と一声ひとこえ、すっかりあおくなって、ぶるぶるふるえしてしまいました。
鬼六 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ふねのようにゆれ、たかいなみはかんぱんにおどりあがり、うっかりしていると、人間にんげんもころがされるしまつで、みんなあおかおをしていました。
過日かじつかたきったつもりなのであろう。まつろうはこういって、ひげあとのあおあごを、ぐっと徳太郎とくたろうほうきだした。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
それからというもの、あお鬼火おにびも、戦争の物音ものおとも、舟をしずめる黒いかげも、あらわれなくなりました。しかしまだときどき、ふしぎなことがおこりました。
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
しわのよった小さな顔は赤みがかって、人のよさそうなあおいろのさめかけた瑠璃草るりそうのような色合いろあいだった。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
あお天鵞絨ビロードの海となり、瑠璃色るりいろ絨氈じゅうたんとなり、荒くれた自然の中の姫君なる亜麻の畑はやがて小紋こもんのようなをその繊細な茎の先きに結んで美しい狐色に変った。
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
あお』がや第二巻になりました由。この老人の年がまた一つ加わったことになります。それだけ『青』という青年のすくすくと成長していった事を喜びます。
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
室内しつないには螺旋ねじゆかめられた寐台ねだい数脚すうきゃく。そのうえにはあお病院服びょういんふくて、昔風むかしふう頭巾ずきんかぶっている患者等かんじゃらすわったり、たりして、これはみんな瘋癲患者ふうてんかんじゃなのである。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
顔色は土のようにあお褪め、恐怖に見開らかれたその眼は、焼きつくように表の扉口ドアへ注がれている。
動かぬ鯨群 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
それからは、毎日まいにち毎日まいにちことばかりかんがえていたが、いくらしがっても、とてべられないとおもうと、それがもとで、病気びょうきになって、日増ひましせて、あおくなってきます。
雇三一やといさんぴんの気楽な境界に安着しているようだったが、天保七年の飢饉ききんのさなかに、烏丸中納言のおん息女、知嘉姫さまという﨟たき方を手に入れ、あお女房にして長屋におさめた。
奥の海 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
あお書生の余が言葉はかゝる医官の証言に向いては少しの重みも有る可きに非ず
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
が、顔は太っていると云うよりはあおぶくれにふくれていて、それがむうッと、怒っているような感じを与える。おまけに眼瞼まぶたの脹れぼったそうにむくんでいるのが、一層その相を険しくしている。
蘿洞先生 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
私や金と同じことに今ではどうか一人立ち、しかもはばかりながらあおぱならして弁当箱の持運び、木片こっぱを担いでひょろひょろ帰る餓鬼がきのころから親方の手についていた私や仙とは違って奴は渡り者
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
近所には別のあおぶくれの看護婦が、しきりに編物をしていたが、彼女は編物趣味の時間を楽しんでいるわけであって、管轄かんかつちがいのベッドに寝ている私の立居振舞たちいふるまいについては、まったく無関心だった。
柿色の紙風船 (新字新仮名) / 海野十三(著)
あお!(その馬は若い時からそう呼びならされていた。)
狂馬 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
(若狭郡県志。福井県大飯おおいあおごう村関屋)
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「そうだ。きっとからすさんだ。からすさんはえらいんだよ。ここからとおくてまるでえなくなるまでひといきんでゆくんだからね。たのんだら、ぼくらふたりぐらいきっといっぺんにあおぞらまでつれていってくれるぜ。」
いちょうの実 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
あおじけた顔をうつむけて通りすぎた
途中で (新字新仮名) / 中野鈴子(著)
二人あおい着物に同色の靴の香炉持。
胚胎 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
そして、コップのなかにはいった、みどりあおあか、いろいろのさけいろに、ぼんやりとれていますと、うとうとと居眠いねむりをしたのでした。
銀のつえ (新字新仮名) / 小川未明(著)
なかにはえだこしかけて、うえから水草みずくさのぞくのもありました。猟銃りょうじゅうからあおけむりは、くらいうえくもようちのぼりました。
あるとき為朝ためともうみばたに出て、はるかおきほうをながめていますと、しろいさぎとあおいさぎが二つれってうみの上をんで行きます。為朝ためともはそれをながめて
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
やみにかく暗号あんごうを、咲耶子さくやこは熱心な目で読んでいたが、とつぜん、風にでもされたように、あお、赤い灯、ふたつとも、いちじにパッとえてしまった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三日月みかづきあわひかりあお波紋はもんおおきくげて、白珊瑚しろさんごおもわせるはだに、くようにえてゆくなめらかさが、秋草あきぐさうえにまでさかったその刹那せつな、ふと立上たちあがったおせんは
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
そうして、法師の左右さゆうには、かずしれぬあお鬼火おにびがめらめらと、もえていたのでありました。寺男は、こんなに多いさかんな鬼火を、生まれてはじめて見るのでありました。
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
つきすると、色々いろいろものあおくなりました。三つきすると、なかからはなきました。
はじかれ寒気さむけおぼえ、吐気はきけもよおして、異様いよう心地悪ここちあしさが指先ゆびさきにまで染渡しみわたると、なにからあたま突上つきあげてる、そうしてみみおおかぶさるようながする。あおひかり閃付ちらつく。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
彼女は、手近てぢかに居たあおぶくれの看護婦にいた。
柿色の紙風船 (新字新仮名) / 海野十三(著)
あおじろ番兵ばんぺは ふんにやふにや
鹿踊りのはじまり (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
「やあ、きれいだな。あおあかやでぬったごもんがあって、龍宮りゅうぐうってこんなきれいなところかなあ。」と、次郎じろうさんは感心かんしんしていました。
きれいなきれいな町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あお着物きもの赤鬼あかおにもいました。あか着物きもの黒鬼くろおにもいました。それが山猫やまねこのようにきらきらひかかりをさきてて、どやどやりてくるのです。
瘤とり (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
あくもいいお天気てんきで、お日様ひさまあお牛蒡ごぼうにきらきらしてきました。そこで母鳥ははどり子供達こどもたちをぞろぞろ水際みずぎわれてて、ポシャンとみました。
「ふうていもかわっている、そまか、野武士のぶしか、百姓ひゃくしょうか、見当けんとうのつかぬようなあおさいだ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とおりあるきながらもそうおもわれまいと微笑びしょうしながらったり、知人しりびといでもすると、あおくなり、あかくなりして、あんな弱者共よわいものどもころすなどと、これほどにくむべき罪悪ざいあくいなど、っている。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
月のないくらいよるには、この壇ノ浦の浜辺はまべや海の上に、かずしれぬ鬼火おにび、——めろめろとしたあおが音もなくとびまわり、すこし風のある夜は、波の上から、源氏げんじ平家へいけとがたたかったときの
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
行燈あんどんながかげをひいた、その鼠色ねずみいろつつまれたまま、いしのようにかたくなったおこののかみが二すじすじ夜風よかぜあやしくふるえて、こころもちあおみをびたほほのあたりに、ほのかにあせがにじんでいた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
子供こどもは、もはや、うみうえ航海こうかいいていました。なぜなら、あおなみあおそらのほかには、なにもることができなかったからです。
汽船の中の父と子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
この兄神あにがみのようなうそつきは、このたけあおくなって、やがてしおれるように、あおくなって、しおれてしまえ。このしおからびるようにからびてしまえ。
春山秋山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
迷走めいそうあお溝川どぶかわ
雲霧閻魔帳 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
へやには、あおとりが、かごのなかで、じっとしていました。よくれていて、船長せんちょうかおるときました。船長せんちょうとりのそばへって
船の破片に残る話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いますと、さるは「よし、よし。」といながら、もっとあおいのをもいで、ほうりました。かにが
猿かに合戦 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
あおあざ
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ゆうちゃんは、それから毎晩まいばんのように物干ものほだいがって、あおよるそらをながめながら、たかやまや、少年しょうねんのことをおもしていました。
銀のペンセル (新字新仮名) / 小川未明(著)
先年せんねんあなたのおくに太子たいしあおりゅうくるまって、五百にん家来けらいしたがえて、はるばるひがしほうからくもの上をはしっておいでになって、ふる法華経ほけきょうの一かんっておいでになりました。
夢殿 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
むぎあお
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
正雄まさおかんがえましたが、なるほど、この金魚きんぎょりのいうことは、ありそうなことでした。そこで、あおいボタンを一つけてやりました。
青いボタン (新字新仮名) / 小川未明(著)