“戦”のいろいろな読み方と例文
旧字:
読み方(ふりがな)割合
おのの26.0%
いくさ25.9%
そよ20.5%
たたか7.0%
たたかい5.2%
わなな3.1%
ふる2.1%
をのゝ1.9%
をのの1.2%
いく1.1%
(他:45)6.0%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
かよわい婦女子でなくとも、俯して五丈に余る水面を見、仰いで頭を圧する十丈に近い絶壁を見る時は、魂消え、心おののくもことわりであった。
恩讐の彼方に (新字新仮名) / 菊池寛(著)
気味の悪いお米の笑い声が、すぐその後から追っかけて、こう座敷へ響き渡った時には、豪雄の勾坂甚内さえ何がなしにゾッとおののかれたのである。
三甚内 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
主馬頭モンテイロの旧屋敷へ馬の脚が通ってくるなんて、私もこの恐ろしい偶一致コインシデンスにはひそかにおののいていたんだが、通うと言えば
味方の砲弾たまでやられなければ、勝負のつかないようなはげしいいくさ苛過つらすぎると思いながら、天辺てっぺんまでのぼった。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
スチクレスタードの野のいくさの始まる前に、王は部下の将卒の団欒だんらんの中で、フィン・アルネソンのひざをまくらにしてうたた寝をする。
春寒 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
それでも足りないで、半兵衛は京都の大徳寺へ度々参禅さんぜんした。——そして、いくさと聞くや、いつも早馬で帰って来て、合戦に加わった。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
村の方ではまだ騒いで居ると見えて、折々人声は聞えるけれど、此の四辺あたりはひつそりと沈まり返つて、そよぐ音すら聞えぬ。
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
去年はこの日課を読んでしまふと、夕顔の白い花に風がそよいで初めて人心地がつくのであつたが、今年は夕顔の花がないので暑くるしくて仕方がない。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
空には上弦の初夏の月が、おぼろに霞んだ光をこぼし、川面を渡る深夜の風は並木の桜の若葉にそよいで清々すがすがしい香いを吹き散らす。
紅白縮緬組 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
かえりみると、このが、野原のはらおおきくなった歴史れきしは、まったくかぜとのたたかいであったといえるでありましょう。
曠野 (新字新仮名) / 小川未明(著)
なかには、意外いがいてき出合であってたたかい、あやうくのがれたとみえ、つばさきずついたのもあります。
からす (新字新仮名) / 小川未明(著)
たたかんで、一かたまりになった時、雨もみ、陽も照り、濛々もうもうと、三千の武者いきれから白い湯気が立ちのぼっていた。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
母親 あーら、御存知ありませんの、あれは西歴で一六四五年でございますわよ。ほほほほ、じゃあ赤壁せきへきたたかいは何年でございますの。
新学期行進曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
もっとも熊を射た、鯨を突いた、たたりの吹雪に戸をして、冬ごもる頃ながら——東京もまた砂ほこりたたかいを避けて
菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
伏見ふしみ鳥羽とばたたかいを以て始まり、東北地方に押し詰められた佐幕の余力よりょくが、春より秋に至る間にようやく衰滅に帰した年である。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
花で夜更よふかしをして、今朝また飲んだ朝酒のいのさめかかって来た浅井は、ただれたような肉のわななくような薄寒さに、目がさめた。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
はてな、と夫人は、白きうなじまくらに着けて、おくれ毛の音するまで、がッくりとうちかたむいたが、身のわななくことなおまず。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
——とにかくバルコニイに立っている葉子は、何か訳のわからない恐怖に似た胸のわななきをもって、近づく廊下の靴音に耳を澄ましていたに違いなかった。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
吉里は今しも最後の返辞をして、わッと泣き出した。西宮はさぴたの煙管パイプを拭いながら、ふるえる吉里の島田髷を見つめて術なそうだ。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
と、いう声がして、つづいて、トン……トン……トン……と戸を叩く音が聞えた。寒さにふるえている、力のない姿が、この衰えた声で目に見るように分った。
凍える女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「吉里さん、げるよ、献げるよ、私しゃこれでもうたくさんだ。もう思い残すこともないんだ」と、善吉は猪口を出す手がふるえて、眼を含涙うるましている。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
余は答へんとすれど声出でず、膝のしきりにをのゝかれて立つに堪へねば、椅子をつかまんとせしまでは覚えしが、そのまゝに地に倒れぬ。
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
が、をのゝきながら、信一郎と巡査との問答を、身の一大事とばかり、聞耳を澄ましてゐる運転手の、罪を知つた容子を見ると、さう強くも云へなかつた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
さう伯父が口を切るまでには、かなりの間があつた。そしてその声には、怒るよりもおびえたものの微かなをのゝきがあつた。
乳の匂ひ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
今もなほどこかの隅で嗚咽をえつの声がきこえる感がして自分の雨に濡れた冷たい裾にも血のしたゝるのかとをののかれるのであつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
されば「れぷろぼす」はいよいよ胆をいて、学匠もろとも中空を射る矢のやうにかけりながら、をののく声で尋ねたは、
きりしとほろ上人伝 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
宮は彼の背後うしろより取縋とりすがり、抱緊いだきしめ、撼動ゆりうごかして、をののく声を励せば、励す声は更に戦きぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「重くはないさ。」と、鬚があり口のかたちがある鉄の面の上で重い作り声がした。「だけど俺には之を着ては到底いくさは出来さうもない。」
籔のほとり (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
いくさのすんだ今こそ昔通りの生活をあたりまへだと思つてゐるけど、戦争中はこんな昔の生活は全然私の頭に浮んでこなかつた。
続戦争と一人の女 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
いくさを進めて国内改造をしようというのが、君たちの倒さねばならんとする軍閥の考えだ。君たちは何よりもまず、天皇陛下に帰一し奉る国内改革こそが大事だという意見だったのではないか」
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
かのゲエテの希臘ギリシヤと雖も、トロイのたたかひの勇士の口には一抹いつまつミユンヘンの麦酒ビイルの泡のいまだ消えざるを如何いかにすべき。
この知人は南山なんざんたたかひ鉄条網てつでうまうにかかつて戦死してしまつた。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
すつかり改心したのです。そして今では、海の上のたたかひで、きずをうけた者も、お爺さんのきず薬で、たいていなほつてしまひました。戦で死んだ者たちのためには、墓地に石碑をたてゝやつたところです。
シロ・クロ物語 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
朝食あさめしの時、門野かどの今朝けさの新聞に出てゐたへびわしたゝかひの事をはなし掛けたが、代助は応じなかつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
『生命のたゝかひはたゞ無益に戦ふばかりではいけぬ、汝は知られぬ神の前にひざまづくことをも知らねばならぬ』といふ詞の意味を強く教へる処は墓地である。
愛は、力は土より (新字旧仮名) / 中沢臨川(著)
伏見鳥羽のたゝかひは、幕軍に対して、致命傷を与へたと同時に、新撰組に徹底的な打撃を与へた。
「わつ、」といて、雪枝ゆきえ横様よこざますがりついた、むね突伏つゝふせて、たゞおのゝく……
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
満廷の朝臣たちがおのゝき恐れ、或は板敷の下にい入り、或は唐櫃からびつの底に隠れ、或は畳をかついで泣き、或は普門品ふもんぼんしなどする中で
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
ぶうッ、ぶうッ、ぶうッ、物凄い鼻息をっかけて、傲然と出発の用意を整えて居る車台を見ると私の神経は、アルコールの酔を滅茶々々に蹈みにじり、針のような鋭敏な頭を擡げて顫えおのゝき出した。
恐怖 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
いまや三かくせんのまっ最中さいちゅうである人穴城ひとあなじょうの真上まで飛んできた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
平岡の言葉は言訳いひわけと云はんより寧ろ挑せんの調子を帯びてゐる様にこえた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
川島郷の七人衆の原士、あの方々も寛永かんえいの昔、島原しまばらの一せんがみじめな敗れとなった時、天草灘あまくさなだから海づたいに、阿波へ漂泊ひょうはくしてきた落武者の子孫なのでございました。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
天若し晴れたらんには夜の二時といふに船を出さんとの約束なれば、夢も結ぶか結ばざるに寐醒めて静かに外のさまを考ふるに、雨の音は猶止まず、庭樹のそよぎに風さへ有りと知らる。
鼠頭魚釣り (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
においある涼しいそよぎをあたりにみなぎらせている。
正義と微笑 (新字新仮名) / 太宰治(著)
においある涼しいそよぎをあたりにみなぎらせている。
謀叛むほんきこえありて鎌倉かまくら討手うつて佐々木三郎兵衛入道西念としば/\たゝかひてつひ落城らくじやうせり。
……驚破すはや相噛あひかまば、たゝかはゞ、此波このなみき、此巌このいはくづれ、われ
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
代助は其昔し、麦酒ビールびんたがひあひだならべて、よく平岡とたゝかつた事を覚えてゐる。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それとにはか心着こゝろづけば、天窓あたまより爪先まで氷を浴ぶる心地して、歯の根も合はずわなゝきつゝ、不気味にへぬ顔をげて
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
休む無しにわなゝくので。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
ちらとわなゝく電灯よ、
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
其の心のうちたゝかいは実に修羅道地獄の境界きょうがいで、三人で酒を飲んで居りましたが、松五郎は調子のい男で、
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それはたゝかいの跡の景色か、花園の春の景色か。
刺青 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
潜水夫が嫌になったとは、何ちゅう情けない奴ちゃ。鶴富組の御主人も言うたはったが、今に日本がアメリカやイギリスとってみイ。敵の沈没船を引揚げるのに、お前らの身体はなんぼあっても足らへんネやぞ。五十尋たらの海が怖うてどないする? ベンゲットでわいが毎日どんな危い目エに会うてたか、いっぺん良う考えてみイ。
わが町 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
潜水夫もぐりが嫌になったとは、何ちゅう情ない奴ちゃ。鶴富組の御主人も言うたはったが、今に日本がアメリカやイギリスとってみイ。敵の沈没船を引揚げるのに、お前らのからだはなんぼあっても足らへんねやぞ。三十尋たらの海が怖うてどないする? ベンゲットでわいが毎日どんな危い目に会うてたか、いっぺんよう考えてみイ。
わが町 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
人人のおそれおののく対象物の相違が、こんなに違ったまま世の中が廻っていて、——プロペラの廻転を停めるように、私は一度、ぴたりと停った世の中というものを見てみたい。
そのかげろうのおののきといっしょに光君の心もかるくうれしさにおののいて居る。
錦木 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
あゝ重右衛門がやたら無性に『マツチ一本お見舞ひ申しませうかな』と言つて人をおどかし、米や金を取つては生活を立てゝゐた、それにはいかなる警察も舌を巻き、村の人は村の人できよときよとして唯恐怖におびえてゐた。
田舎からの手紙 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
れは如何どうしても悪感情がなければならぬはず、衝突がなければならぬ筈、けれども私はその人と一寸ちょいともたたかったことがない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
爾うすると賊軍方の者が夜は其処そこいったたかって、昼はねむいからといって塾に来て寝て居た者があったが、ねっから構わない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
義竜は弘治こうじ二年の春、庶腹しょふくの兄弟喜平次きへいじ孫四郎まごしろうの二人を殺し、続いて父道三どうさん鷺山さぎやまたたこうて父をほろぼしてからは
赤い土の壺 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
父さんの如きもどうですか、薩長藩閥はんばつたゝかつて十四年に政府を退き、改進党の評議員となつて、自由民権を唱へなすつた名誉の歴史を、何と御覧なさるでせう、——其れがどうです、藩閥政府の未路の奴等に阿媚あびして
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
如何なる霊筆を持てるものも、誰かは彼の様なる自然の大威力に圧せられてはその腕をののかざるべき、と。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
新鮮ニ葦ハソヨゲリ。
(新字旧仮名) / 北原白秋(著)
郎女は刹那セツナ、思ひ出して帳台の中で、身を固くした。次にわぢ/″\とヲノノきが出て来た。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)