“戦慄”のいろいろな読み方と例文
旧字:戰慄
読み方割合
せんりつ82.4%
ふるえ2.7%
みぶるい2.4%
おのの2.4%
ふる1.4%
わななき1.4%
ぞっ1.0%
みぶるひ1.0%
おののき1.0%
わなな0.7%
をのの0.7%
をののき0.3%
おののい0.3%
おのゝ0.3%
ぞつと0.3%
ふるい0.3%
ふるへおそれ0.3%
をのゝき0.3%
スリル0.3%
スリルス0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
あるいはカルカッタの牢獄ろうごくにおける百二十三人の俘虜ふりょの窒息死(5)などの記事を読むとき、もっとも強烈な「快苦感」に戦慄せんりつする。
栞をかかえている頼母の姿は、数ヵ所の浅傷あさでと、敵の返り血とで、蘇芳すおうでも浴びたように見えてい、手足には、極度の疲労つかれから来た戦慄ふるえが起こっていた。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
道理が戦慄みぶるいして逃げ出し、人情が呆れて顔をそむけるような、そんな奇怪な神の存在をわれ等は知らない。それは人間の迷信が造り上げた神で、実際には存在しない。
そして一足でも歩もうとすればこれらの打壊された宝玉の破片は身も戦慄おののかるるばかり悲惨なひびきを発し更に無数の破片となって飛散る。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
あゝ、年は若し、経験は少し、身は貧しく、義務年限には縛られて居る——丑松は暗い前途を思ひやつて、やたらに激昂したり戦慄ふるへたりした。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
奥様は短い一夜の夢で、長い間の味方までも御疑いなさるように成ましたのです。——風雨あらし待つ間の小鳥の目の恐怖おそれ、胸毛の乱れ、脚の戦慄わななき、それはうつして奥様の今の場合をたとえられましょう。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ちと気がれて血相変り、取乱してはいるけれど、すらっとして中肉中脊、戦慄ぞっとするほどい女さ。と空嘯そらうそぶいて毛脛けずねの蚊をびしゃりと叩く憎体面にくていづら
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
私は未だかつて経験したことのない戦慄みぶるひを覚えた。しまひに息苦しく成つて来た。まるで私の周囲まはりは氷の世界のやうだつた……お幸さんなどを連れなくて真実ほんとに好かつた。
突貫 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
二人のまさに触れ合おうとしている心の戦慄おののきのようなものの感ぜられる此の瞬間を、いつまでも自分と妻との間に引き止めて置きたかったろう。
菜穂子 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
今病人に指さされし時、くだんの男はあおくなりて恐しげに戦慄わななきたり。泰助などて見遁みのがすべき。はらうちに。ト思案して
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それ等の畫面は、次から次へと、彼女の運命の前に戦慄をののいてゐる、小さな心のどこかへひそやかに入って居た。
青白き夢 (新字旧仮名) / 素木しづ(著)
水もなき消火器せうくわきのうつろなる赤き戦慄をののき
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
心のかなめはかき乱され、肉は熱く戦慄おののいて……お前の顔は笑み崩れる。(大声)さあ女よ笑って見せろ! (女子声なく笑う)お前のえみを得んがため、諸国の憐れな令人達は、大理石の館へ集った。
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そして今度の地震のやうなものに逢つて始めてびつくりして、恐れたり、戦慄おのゝいたりしてゐる。世界も人間もおしまひになつたかといふやうに吃驚びつくりしてゐる。
自然 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
さすがの源教げんけう戦慄ぞつとせしが、心をしづめてよくこそきたりつれといふに、幽霊いうれいはさらにことばをいださず、すがたは昨夜よんべ見たるにたがはず。
さもなければ、自分から走り寄って詫びようかとも思って迷う様子であったが、しかし、おびえた小鳥の心臓のように、まだ強い戦慄ふるいが止まないで、体は他人ひとのもののようだった。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
渋りて物を出さぬ家は会釈もなく踏込で或はみせをうち毀し家内を乱暴に及ぶにぞ、蓄財家かねもちは皆戦慄ふるへおそれて家業を休み店を閉めて只乱暴の防ぎをなせば
ひたなげく、くいと、なやみと、戦慄をのゝきと。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
も一つ可笑おかしなことは、メリイは、闘牛を見るたびにああ自分があの牛だったらと思ってぞっとするそうだが、この幾分変態的な戦慄スリルスも手伝って