戦慄みぶるひ)” の例文
旧字:戰慄
私は未だかつて経験したことのない戦慄みぶるひを覚えた。しまひに息苦しく成つて来た。まるで私の周囲まはりは氷の世界のやうだつた……お幸さんなどを連れなくて真実ほんとに好かつた。
突貫 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
急につめた戦慄みぶるひが全身を伝つて流れ下る。さあ、丑松もすこし躊躇ためらはずには居られなかつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
しかし寒い戦慄みぶるひはまだお節の身体からだに残つて居た。足は氷のやうに成つた。何事も知らずに眠つて居る子供のそばで、枕紙に額を押当てゝ見た時は、漸くお節も我に返ることが出来た。
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
つめた戦慄みぶるひは丑松の身体を通して流れ下るのであつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)