“をのの”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ヲノノ
語句割合
38.5%
34.6%
11.5%
戦慄7.7%
3.8%
戰慄3.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
今もなほどこかの隅で嗚咽をえつの声がきこえる感がして自分の雨に濡れた冷たい裾にも血のしたゝるのかとをののかれるのであつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
唇の不隨意筋が自らをののき出すやうな、眼の血管にかつと血が押し寄せてくるやうな、鳩尾みぞおちが引き締められるやうな、さうした感情の興奮が私の全身に働いた。
猫又先生 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
ほしいままに振舞ふ威力の前に、ただ頸垂うなだれて、をののいて居るだけである。
秋の第一日 (新字旧仮名) / 窪田空穂(著)
人間は、ただ、この迫つて来る力を前にして、恐れ、戦慄をののき、泣き、叫び、涙を流すだけなんだ。現実の批判と言つたつて、解釈と言つたつて、所詮、この号泣、叫びの一変形に過ぎないんだ。
道化芝居 (新字旧仮名) / 北条民雄(著)
彼はおそれて傍目わきめをもらざりけれど、必ずさあるべきを想ひてひとり心ををののかせしが、なほ唯継の如何いかなることを言出でんも知られずと思へば、とにもかくにもその場を繕ひぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
生きたる心地もせずして宮のをののけるかたはらに、車夫は見苦みぐるしからぬ一台の辻車つじぐるまを伴ひきたれり。やうやおもてあぐれば、いつ又寄りしとも知らぬ人立ひとたちを、可忌いまはしくも巡査の怪みてちかづくなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
彼女は怖ろしい響を殘して行き過ぎた電車のレールを横ぎらうとして、その輝くレールの上に、自分の黒髮の亂されてある事を思つて戰慄をののいた。
三十三の死 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
彼女は絶えず肩から桶のお湯を流し、あまりに露骨にこの明るさのうちに解放されたる肉體を見て戰慄をののいた。
三十三の死 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)