素木しづ
1895.03.26 〜 1918.01.29
著者としての作品一覧
青白き夢(新字旧仮名)
読書目安時間:約33分
この夜も、明けるのだと思った。 お葉は目を明けたまゝ、底深い海底でもきはめるやうに、灰色の天井を身ゆるぎもせず、見つめたまゝ、 『お母さん!』低く呼んだ。 淡黄色い、八燭の電気の光 …
読書目安時間:約33分
この夜も、明けるのだと思った。 お葉は目を明けたまゝ、底深い海底でもきはめるやうに、灰色の天井を身ゆるぎもせず、見つめたまゝ、 『お母さん!』低く呼んだ。 淡黄色い、八燭の電気の光 …
秋は淋しい(新字旧仮名)
読書目安時間:約16分
一時心配した時子の病氣も、だん/\快い方に向って来ると、朝子は毎日ぼんやりした顔をして子供のベッドの裾の方に腰をおろしてゐた。そして時子の寝てゐる間は、白いカーテンの巻き上げてある …
読書目安時間:約16分
一時心配した時子の病氣も、だん/\快い方に向って来ると、朝子は毎日ぼんやりした顔をして子供のベッドの裾の方に腰をおろしてゐた。そして時子の寝てゐる間は、白いカーテンの巻き上げてある …
嫂(新字旧仮名)
読書目安時間:約14分
小さなモーパッサンの短篇集を袂に入れて英語の先生からの帰り、くれてゆく春の石垣のほとりを歩きながら辰子はおかしくってならなかった。 今日ならって来た所の、フランチェスカといふわけの …
読書目安時間:約14分
小さなモーパッサンの短篇集を袂に入れて英語の先生からの帰り、くれてゆく春の石垣のほとりを歩きながら辰子はおかしくってならなかった。 今日ならって来た所の、フランチェスカといふわけの …
かなしみの日より(新字旧仮名)
読書目安時間:約16分
彼女は、遠くの方でしたやうな、細い糸のやうな赤ん坊の泣き声を、ふと耳にしてうつゝのやうに瞳を開けた。もはや部屋のなかには電気がついてゝ戸は立てられてあった、そして淡黄色い光りが茫然 …
読書目安時間:約16分
彼女は、遠くの方でしたやうな、細い糸のやうな赤ん坊の泣き声を、ふと耳にしてうつゝのやうに瞳を開けた。もはや部屋のなかには電気がついてゝ戸は立てられてあった、そして淡黄色い光りが茫然 …
幸福への道(旧字旧仮名)
読書目安時間:約16分
『上れますか。』 高い、こまかい階段の前に、戀人の聲が、彼女の弱い歡樂の淡絹をふりおとした。 彼女は、立止まつた、その瞬間、いま賑かな街を俥で飛んで來た、わづか十五分間の、眩惑され …
読書目安時間:約16分
『上れますか。』 高い、こまかい階段の前に、戀人の聲が、彼女の弱い歡樂の淡絹をふりおとした。 彼女は、立止まつた、その瞬間、いま賑かな街を俥で飛んで來た、わづか十五分間の、眩惑され …
咲いてゆく花(新字新仮名)
読書目安時間:約18分
少女は、横になって隅の方に——、殆ど後から見た時にはランプの影になって、闇がどうしてもその本の表を見せまいと思われる所で、一心になって小説をよみふけっていた。 明日からつゞく夏休の …
読書目安時間:約18分
少女は、横になって隅の方に——、殆ど後から見た時にはランプの影になって、闇がどうしてもその本の表を見せまいと思われる所で、一心になって小説をよみふけっていた。 明日からつゞく夏休の …
惨事のあと(新字新仮名)
読書目安時間:約23分
楯井夫婦が、ようやく未墾地開墾願の許可を得て、其処へ引移るとすぐ、堀立小屋を建てゝ子供と都合五人の家族が、落著いた。と間もなく此の家族が四ヶ月あまりも世話になっていた、遠い親類にあ …
読書目安時間:約23分
楯井夫婦が、ようやく未墾地開墾願の許可を得て、其処へ引移るとすぐ、堀立小屋を建てゝ子供と都合五人の家族が、落著いた。と間もなく此の家族が四ヶ月あまりも世話になっていた、遠い親類にあ …
三十三の死(旧字旧仮名)
読書目安時間:約28分
いつまで生きてていつ死ぬか解らない程、不安な淋しいことはないと、お葉は考へたのである。併し人間がこの世に生れ出た其瞬間に於いて、その一生が明らかな數字で表はされてあつたならば、決定 …
読書目安時間:約28分
いつまで生きてていつ死ぬか解らない程、不安な淋しいことはないと、お葉は考へたのである。併し人間がこの世に生れ出た其瞬間に於いて、その一生が明らかな數字で表はされてあつたならば、決定 …
珠(旧字旧仮名)
読書目安時間:約22分
丁度夏に向つてる、すべての新鮮な若葉とおなじやうに、多緒子の産んだ赤ん坊は生き/\と心よく康やかに育つた。そしてそれと同時に産後思はしくなかつた彼女の肉體も恢復して來ると、ながい間 …
読書目安時間:約22分
丁度夏に向つてる、すべての新鮮な若葉とおなじやうに、多緒子の産んだ赤ん坊は生き/\と心よく康やかに育つた。そしてそれと同時に産後思はしくなかつた彼女の肉體も恢復して來ると、ながい間 …
追憶(旧字旧仮名)
読書目安時間:約9分
また秋になつて、まち子夫婦は去年とおなじやうに子供の寢てる時の食後などは、しみ/″\と故郷の追憶にふけるのであつた。 今年もとう/\行かれなかつたと、お互に思ひながらも、それがさし …
読書目安時間:約9分
また秋になつて、まち子夫婦は去年とおなじやうに子供の寢てる時の食後などは、しみ/″\と故郷の追憶にふけるのであつた。 今年もとう/\行かれなかつたと、お互に思ひながらも、それがさし …
晩餐(新字新仮名)
読書目安時間:約7分
いつか暗くなった戸の外に、激しい雨風の音がする、嵐だ。 親子は、狭い部屋の壁際にぶらさがった、暗い電燈の下の卓に集まって、今夜食をしようとしてゐた。まだ本当に父も母も若かった。そし …
読書目安時間:約7分
いつか暗くなった戸の外に、激しい雨風の音がする、嵐だ。 親子は、狭い部屋の壁際にぶらさがった、暗い電燈の下の卓に集まって、今夜食をしようとしてゐた。まだ本当に父も母も若かった。そし …
雛鳥の夢(新字旧仮名)
読書目安時間:約9分
まち子は焼けるやうに、椽からすべるやうに降りて、高い椽の下の柱の所にわづかばかりの日影を求めて、その中にちいさく佇んだ。 そして、いつものやうにうっとりと、明地のなかに植ゑた黄色や …
読書目安時間:約9分
まち子は焼けるやうに、椽からすべるやうに降りて、高い椽の下の柱の所にわづかばかりの日影を求めて、その中にちいさく佇んだ。 そして、いつものやうにうっとりと、明地のなかに植ゑた黄色や …
“素木しづ”について
素木 しづ(しらき しづ、1895年3月26日 - 1918年1月29日)は、日本の小説家。本名上野山志づ(うえのやま しづ)。
(出典:Wikipedia)
(出典:Wikipedia)
“素木しづ”と年代が近い著者
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