実吉捷郎
1895.01.20 〜 1962.02.15
著者としての作品一覧
「ヴェニスに死す」解説(新字新仮名)
読書目安時間:約4分
トオマス・マン(Thomas Mann, 1875-1955)は、ゆたかな天分を、きびしい不断の自己たんれんによって、みごとにみがきあげた結果、多くのすぐれた作品に開花させた芸術家 …
読書目安時間:約4分
トオマス・マン(Thomas Mann, 1875-1955)は、ゆたかな天分を、きびしい不断の自己たんれんによって、みごとにみがきあげた結果、多くのすぐれた作品に開花させた芸術家 …
翻訳者としての作品一覧
ある幸福(新字新仮名)
読書目安時間:約25分
静かに!ある魂の中をのぞいて見ようと思うのだ。まあいわば大至急で、通りすがりに、ほんの五六ペエジの長さだけだが。なにしろわれわれはおそろしく多忙なのだからね。フロレンスから、古い時 …
読書目安時間:約25分
静かに!ある魂の中をのぞいて見ようと思うのだ。まあいわば大至急で、通りすがりに、ほんの五六ペエジの長さだけだが。なにしろわれわれはおそろしく多忙なのだからね。フロレンスから、古い時 …
衣裳戸棚(新字新仮名)
読書目安時間:約18分
ベルリン—ロオマ行の急行列車が、ある中ぐらいな駅の構内に進み入ったのは、曇った薄暗い肌寒い時刻だった。幅の広い、粗ビロオドの安楽椅子に、レエスの覆いをかけた一等の車室で、あるひとり …
読書目安時間:約18分
ベルリン—ロオマ行の急行列車が、ある中ぐらいな駅の構内に進み入ったのは、曇った薄暗い肌寒い時刻だった。幅の広い、粗ビロオドの安楽椅子に、レエスの覆いをかけた一等の車室で、あるひとり …
餓えた人々(新字新仮名)
読書目安時間:約15分
デトレフは自分が余計者だという感じに、胸の底までおそわれるのを覚えた瞬間、まるで偶然のように、賑やかな人ごみに身をただよわせて、別れの挨拶もせず、あの二人の人の子の視線から消えてし …
読書目安時間:約15分
デトレフは自分が余計者だという感じに、胸の底までおそわれるのを覚えた瞬間、まるで偶然のように、賑やかな人ごみに身をただよわせて、別れの挨拶もせず、あの二人の人の子の視線から消えてし …
ヴェニスに死す(新字新仮名)
読書目安時間:約2時間48分
グスタアフ・アッシェンバッハ——または、かれの五十回目の誕生日以来、かれの名が公式に呼ばれていたとおりに言うと、フォン・アッシェンバッハは、一九××年——これはわれわれの大陸に対し …
読書目安時間:約2時間48分
グスタアフ・アッシェンバッハ——または、かれの五十回目の誕生日以来、かれの名が公式に呼ばれていたとおりに言うと、フォン・アッシェンバッハは、一九××年——これはわれわれの大陸に対し …
神の剣(新字新仮名)
読書目安時間:約33分
ミュンヘンは輝いていた。この首都の晴れがましい広場や白い柱堂、昔ごのみの記念碑やバロック風の寺院、ほとばしる噴水や宮殿や遊園などの上には、青絹の空が照り渡りながらひろがっているし、 …
読書目安時間:約33分
ミュンヘンは輝いていた。この首都の晴れがましい広場や白い柱堂、昔ごのみの記念碑やバロック風の寺院、ほとばしる噴水や宮殿や遊園などの上には、青絹の空が照り渡りながらひろがっているし、 …
幻滅(新字新仮名)
読書目安時間:約14分
僕は白状する。あの妙な男の話したことは、僕をまるっきり混乱させてしまったのである。だからあの晩僕自身が感動した通り、他人に感動してもらえるように、あの男の話を繰り返すことは、僕には …
読書目安時間:約14分
僕は白状する。あの妙な男の話したことは、僕をまるっきり混乱させてしまったのである。だからあの晩僕自身が感動した通り、他人に感動してもらえるように、あの男の話を繰り返すことは、僕には …
幸福への意志(新字新仮名)
読書目安時間:約32分
老ホフマンはその金を、南アメリカの耕地の持主として、儲けたのであった。彼地で家柄のよい土着の娘と結婚してから、まもなく妻を連れて、故郷の北ドイツへ引き移った。二人は僕の生れた町で暮 …
読書目安時間:約32分
老ホフマンはその金を、南アメリカの耕地の持主として、儲けたのであった。彼地で家柄のよい土着の娘と結婚してから、まもなく妻を連れて、故郷の北ドイツへ引き移った。二人は僕の生れた町で暮 …
小フリイデマン氏(新字新仮名)
読書目安時間:約49分
とがは乳母にあった。——最初あやしいと思った時、フリイデマン領事夫人は、そんな悪徳はおさえつけてしまえと、本気になって彼女にいい聞かせたのだが、それがなんの役に立ったろう。今度は滋 …
読書目安時間:約49分
とがは乳母にあった。——最初あやしいと思った時、フリイデマン領事夫人は、そんな悪徳はおさえつけてしまえと、本気になって彼女にいい聞かせたのだが、それがなんの役に立ったろう。今度は滋 …
神童(新字新仮名)
読書目安時間:約19分
神童が入って来る——会場はしんとしずまる。しずまったと思うと、やがて人々は手を叩きはじめる。どこかわきのほうの席で、ある生れながらの支配者、統率者である人が、まずはじめに拍手したか …
読書目安時間:約19分
神童が入って来る——会場はしんとしずまる。しずまったと思うと、やがて人々は手を叩きはじめる。どこかわきのほうの席で、ある生れながらの支配者、統率者である人が、まずはじめに拍手したか …
鉄道事故(新字新仮名)
読書目安時間:約21分
なにか話せ?しかしなんにも知らないのだがね。まあいいや。じゃなにか話すとしよう。 もう二年になるが、一度僕は汽車の事故に出くわしたことがあるのだ——一々のこまかいことまで、みんなあ …
読書目安時間:約21分
なにか話せ?しかしなんにも知らないのだがね。まあいいや。じゃなにか話すとしよう。 もう二年になるが、一度僕は汽車の事故に出くわしたことがあるのだ——一々のこまかいことまで、みんなあ …
道化者(新字新仮名)
読書目安時間:約59分
いっさいの結末として、かつ立派な大詰として、いや、あのことの全体として、今残っているものは、生活——おれの生活——が「そのいっさい」、「その全体」がおれの心に注ぎ込む、あの嫌厭ばか …
読書目安時間:約59分
いっさいの結末として、かつ立派な大詰として、いや、あのことの全体として、今残っているものは、生活——おれの生活——が「そのいっさい」、「その全体」がおれの心に注ぎ込む、あの嫌厭ばか …
トニオ・クレエゲル(新字新仮名)
読書目安時間:約2時間9分
冬の太陽は僅かに乏しい光となって、層雲に蔽われたまま、白々と力なく、狭い町の上にかかっていた。破風屋根の多い小路小路はじめじめして風がひどく、時折、氷とも雪ともつかぬ、柔らかい霰の …
読書目安時間:約2時間9分
冬の太陽は僅かに乏しい光となって、層雲に蔽われたまま、白々と力なく、狭い町の上にかかっていた。破風屋根の多い小路小路はじめじめして風がひどく、時折、氷とも雪ともつかぬ、柔らかい霰の …
トビアス・ミンデルニッケル(新字新仮名)
読書目安時間:約18分
河岸小路から、急な上り坂になって、市内へ通じている往来の一つに、灰色通りというのがある。その通りの中程、河のほうから来れば右手に、四十七番地の家が立っている。幅の狭いくすんだ色の建 …
読書目安時間:約18分
河岸小路から、急な上り坂になって、市内へ通じている往来の一つに、灰色通りというのがある。その通りの中程、河のほうから来れば右手に、四十七番地の家が立っている。幅の狭いくすんだ色の建 …
トリスタン(新字新仮名)
読書目安時間:約1時間28分
ここは療養院「アインフリイト」である。横に長いその本館と、それから側翼とは、白く直線的に、広い庭園の真中に横たわっている。庭園には、岩窟や外廊や樹皮でつくった小亭などが、面白くしつ …
読書目安時間:約1時間28分
ここは療養院「アインフリイト」である。横に長いその本館と、それから側翼とは、白く直線的に、広い庭園の真中に横たわっている。庭園には、岩窟や外廊や樹皮でつくった小亭などが、面白くしつ …
なぐり合い(新字新仮名)
読書目安時間:約33分
ジョニイ・ビショップがおれに、ヤッペとド・エスコバアルとがなぐり合いをするから、見物に行こうじゃないかといった時、おれは大いに心をうごかした。 それは、夏休にトラアヴェミュンデに行 …
読書目安時間:約33分
ジョニイ・ビショップがおれに、ヤッペとド・エスコバアルとがなぐり合いをするから、見物に行こうじゃないかといった時、おれは大いに心をうごかした。 それは、夏休にトラアヴェミュンデに行 …
悩みのひととき(新字新仮名)
読書目安時間:約18分
彼は机から——例の小さいこわれそうな書物台から立ちあがって、絶望した人のごとく立ちあがって、首を垂れたまま、部屋の反対の隅にある煖炉のほうへ歩いて行った。煖炉の円柱のように長くすら …
読書目安時間:約18分
彼は机から——例の小さいこわれそうな書物台から立ちあがって、絶望した人のごとく立ちあがって、首を垂れたまま、部屋の反対の隅にある煖炉のほうへ歩いて行った。煖炉の円柱のように長くすら …
墓地へゆく道(新字新仮名)
読書目安時間:約19分
墓地へゆく道は、ずっと国道に添うて走っていた。その目的地、つまり墓地に達するまで、ちっとも国道を離れずに走っているのである。その道のもう一つの側には、まず人家がある。郊外の新築の家 …
読書目安時間:約19分
墓地へゆく道は、ずっと国道に添うて走っていた。その目的地、つまり墓地に達するまで、ちっとも国道を離れずに走っているのである。その道のもう一つの側には、まず人家がある。郊外の新築の家 …
予言者の家で(新字新仮名)
読書目安時間:約16分
奇妙な場所が、奇妙な脳髄が、精神の棲む奇妙な領域がある——高いところに、みすぼらしく。街燈の数が次第に乏しくなって、憲兵が二人ずつ歩くあの大都会の場末で、われわれは家々の階段を、も …
読書目安時間:約16分
奇妙な場所が、奇妙な脳髄が、精神の棲む奇妙な領域がある——高いところに、みすぼらしく。街燈の数が次第に乏しくなって、憲兵が二人ずつ歩くあの大都会の場末で、われわれは家々の階段を、も …
ルイスヒェン(新字新仮名)
読書目安時間:約34分
世の中には、いかに文学的修練を経た空想といえども、その成立に想到し得ぬような夫婦関係が、ずいぶんあるものである。そういう関係は、ちょうどわれわれが芝居で、老いて愚純なものに対する、 …
読書目安時間:約34分
世の中には、いかに文学的修練を経た空想といえども、その成立に想到し得ぬような夫婦関係が、ずいぶんあるものである。そういう関係は、ちょうどわれわれが芝居で、老いて愚純なものに対する、 …
“実吉捷郎”について
実吉 捷郎(さねよし はやお、1895年(明治28年)1月20日 - 1962年(昭和37年)2月15日)は、日本の独文学者、翻訳家。
(出典:Wikipedia)
(出典:Wikipedia)
“実吉捷郎”と年代が近い著者
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