中野鈴子
1906.01.24 〜 1958.01.05
著者としての作品一覧
あつき手を挙ぐ(新字新仮名)
読書目安時間:約1分
都会、町、部落、 何処にも 朝鮮の人たち満ち溢れ 働きたたかい 生活を打ち立て 話す言葉国語正しく われら朝夕 親密濃く深まりつつ 出征、入営を送る折々には 先んじて旗振り、万歳を …
読書目安時間:約1分
都会、町、部落、 何処にも 朝鮮の人たち満ち溢れ 働きたたかい 生活を打ち立て 話す言葉国語正しく われら朝夕 親密濃く深まりつつ 出征、入営を送る折々には 先んじて旗振り、万歳を …
ある日(新字新仮名)
読書目安時間:約1分
ある日 市電ののりかえで待っていると 一人の女の人がやってきた 洋服も帽子も見たこともないような古い型で 汚れて穴もあいている 断髪の毛は赤ちゃけ 木綿靴下の足がすりこぎのように弾 …
読書目安時間:約1分
ある日 市電ののりかえで待っていると 一人の女の人がやってきた 洋服も帽子も見たこともないような古い型で 汚れて穴もあいている 断髪の毛は赤ちゃけ 木綿靴下の足がすりこぎのように弾 …
一家(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
わたしの祖先は代々が百姓であった 八町はなれた五万石の城下町 ゆきとどいた殿様のムチの下で這いまわった 少しのことに重いチョウバツ 百たたきの音が夜気を破った 天保に生まれた祖父は …
読書目安時間:約2分
わたしの祖先は代々が百姓であった 八町はなれた五万石の城下町 ゆきとどいた殿様のムチの下で這いまわった 少しのことに重いチョウバツ 百たたきの音が夜気を破った 天保に生まれた祖父は …
お前は此の頃よくねむる(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
お前は此の頃よくねむる 朝もなかなか目が覚めない 若いお前には深いねむりが必要なのだ お前よ お前は母の手に返ってきた 日本が敗けたとき お前はわたしの子供となった お前が生まれた …
読書目安時間:約2分
お前は此の頃よくねむる 朝もなかなか目が覚めない 若いお前には深いねむりが必要なのだ お前よ お前は母の手に返ってきた 日本が敗けたとき お前はわたしの子供となった お前が生まれた …
歓喜(新字新仮名)
読書目安時間:約1分
思っただけでも胸がおどる 裸一貫のわたしらが堂々と乗りこんでゆき おお このわたしら わたしらのタコだらけの手 真黒に焼けたおでこ ただ一つの心臓 二本の足 二本の腕に あらゆる権 …
読書目安時間:約1分
思っただけでも胸がおどる 裸一貫のわたしらが堂々と乗りこんでゆき おお このわたしら わたしらのタコだらけの手 真黒に焼けたおでこ ただ一つの心臓 二本の足 二本の腕に あらゆる権 …
飢餓の中から(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
腹は凹んで皮ばかりのようだ 口はほせからツバも出ない 目はかすんでものが見えぬ 三分作なのに地主はおしかけて来た 来年の年貢をよこせと そして手をあわせて拝むわたしらを尻目にかけ …
読書目安時間:約2分
腹は凹んで皮ばかりのようだ 口はほせからツバも出ない 目はかすんでものが見えぬ 三分作なのに地主はおしかけて来た 来年の年貢をよこせと そして手をあわせて拝むわたしらを尻目にかけ …
許南麒の詩のように(新字新仮名)
読書目安時間:約1分
「詩とたたかいとは もはや朝鮮において区別出来ず たたかいと詩とは もはや朝鮮では二つのものではない 若し朝鮮の詩人の名のすべてを聞く人 愛国者の名を聞く人があったら すべての朝鮮 …
読書目安時間:約1分
「詩とたたかいとは もはや朝鮮において区別出来ず たたかいと詩とは もはや朝鮮では二つのものではない 若し朝鮮の詩人の名のすべてを聞く人 愛国者の名を聞く人があったら すべての朝鮮 …
五十の春に 1(新字新仮名)
読書目安時間:約1分
からだに合わぬ体 こころに合わぬ心 胃に腹に切開手術を受け 一つの手紙もない きのうはすでに 去年の雪と思え消えたと思え 来年は向こうからやってくる 明日もやってくる はじめての人 …
読書目安時間:約1分
からだに合わぬ体 こころに合わぬ心 胃に腹に切開手術を受け 一つの手紙もない きのうはすでに 去年の雪と思え消えたと思え 来年は向こうからやってくる 明日もやってくる はじめての人 …
五十の春に 2(新字新仮名)
読書目安時間:約1分
いまようやくここまで歩いてきたところだ 誰かが呼んだと思うときもあったが それは空耳だった 振り返って返事をしているわたしに 呼び止めたと思った人は気のつかぬ如く とっとっと先の方 …
読書目安時間:約1分
いまようやくここまで歩いてきたところだ 誰かが呼んだと思うときもあったが それは空耳だった 振り返って返事をしているわたしに 呼び止めたと思った人は気のつかぬ如く とっとっと先の方 …
小林多喜二のお母さん(新字新仮名)
読書目安時間:約3分
小林多喜二のお母さん あなたの長男である多喜二さんが死なれてから 十九年の日が流れています そして あなたは八十才になられました この十九年の年月は お母さんにとって どのようなも …
読書目安時間:約3分
小林多喜二のお母さん あなたの長男である多喜二さんが死なれてから 十九年の日が流れています そして あなたは八十才になられました この十九年の年月は お母さんにとって どのようなも …
四月の夜(新字新仮名)
読書目安時間:約1分
油気を食べてはいけない アルコールはなめてもいけない つかれることはいけない あんまり話もつづけられない あんまり本もよみつづけられない 手紙を書くことは 返事を要求することになる …
読書目安時間:約1分
油気を食べてはいけない アルコールはなめてもいけない つかれることはいけない あんまり話もつづけられない あんまり本もよみつづけられない 手紙を書くことは 返事を要求することになる …
スペインの女(新字新仮名)
読書目安時間:約1分
軍服をつけ 銃を肩に 立ち上がったこの姿を見よ 沈着と決意に動かぬ この勢揃いを見よ 彼女らの全身の血の集中! すべてを明日に 未来にかけ 今日 立ちふさぐ我ら日本の女 我らの目は …
読書目安時間:約1分
軍服をつけ 銃を肩に 立ち上がったこの姿を見よ 沈着と決意に動かぬ この勢揃いを見よ 彼女らの全身の血の集中! すべてを明日に 未来にかけ 今日 立ちふさぐ我ら日本の女 我らの目は …
月は中天に(新字新仮名)
読書目安時間:約1分
土も凍る夜 友と二人 炭のない部屋にねむろうとしている われらの「戦旗」がいま 二三の女の手にカギが渡され 必死のこぶしを 彼らの靴先が踏みくだこうとしている 友の夫わたしの兄たち …
読書目安時間:約1分
土も凍る夜 友と二人 炭のない部屋にねむろうとしている われらの「戦旗」がいま 二三の女の手にカギが渡され 必死のこぶしを 彼らの靴先が踏みくだこうとしている 友の夫わたしの兄たち …
途中で(新字新仮名)
読書目安時間:約1分
わたしは途中で一人の女とすれちがった 女のかおは白粉と紅で白く赤く美しかった 背が高くふっくら円かった 年は二十三四 そして藤色チリメンの長袖 厚いフェルト草履の大股でトットッと歩 …
読書目安時間:約1分
わたしは途中で一人の女とすれちがった 女のかおは白粉と紅で白く赤く美しかった 背が高くふっくら円かった 年は二十三四 そして藤色チリメンの長袖 厚いフェルト草履の大股でトットッと歩 …
友よ 友だちよ(新字新仮名)
読書目安時間:約1分
わたしは三度目の開腹手術を受けるために 行ってきます 友よ 手術をしなければならぬということは 命があるということです いろいろの 心のキズを耐え 力あつめて立ちつづけてきた 体に …
読書目安時間:約1分
わたしは三度目の開腹手術を受けるために 行ってきます 友よ 手術をしなければならぬということは 命があるということです いろいろの 心のキズを耐え 力あつめて立ちつづけてきた 体に …
「野菊の如き君なりき」を見て(新字新仮名)
読書目安時間:約1分
湧く水のように 自然の素直さ 自然の親しさ 親しさの深まった 少女と少年の 永遠をねがう二人の 愛親しみ 子供から大人へ 成長してゆく ありのままの 素直なねがい りんどうと野ぎく …
読書目安時間:約1分
湧く水のように 自然の素直さ 自然の親しさ 親しさの深まった 少女と少年の 永遠をねがう二人の 愛親しみ 子供から大人へ 成長してゆく ありのままの 素直なねがい りんどうと野ぎく …
母の叫び(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
行ってしまった もう煙も見えない 息子を乗せた汽車は行ってしまった 剣を抜いて待ちかまえている 耳や手足の指がくさって落ちるという そんな寒い 戦場の×煙の中へ 息子の汽車は走って …
読書目安時間:約2分
行ってしまった もう煙も見えない 息子を乗せた汽車は行ってしまった 剣を抜いて待ちかまえている 耳や手足の指がくさって落ちるという そんな寒い 戦場の×煙の中へ 息子の汽車は走って …
母の手紙(新字新仮名)
読書目安時間:約3分
幸助 けさ手紙をうけとった やっぱり達者でいてくれたか わたしは思わず手紙をおしいただいただ もしやこの暑さでやられてでもいるのではないかと心配していたに 牢やの中はどんなに暑いじ …
読書目安時間:約3分
幸助 けさ手紙をうけとった やっぱり達者でいてくれたか わたしは思わず手紙をおしいただいただ もしやこの暑さでやられてでもいるのではないかと心配していたに 牢やの中はどんなに暑いじ …
人々は持つだろう(新字新仮名)
読書目安時間:約1分
人々は持つだろう あたたかい夕餉を持つだろう 静かな憩いを持つだろう 共感にほほ笑み 善意なるものに満ちていよう 無限なるものに包まれ 美しい手紙を秘めていよう すべてやさしくつよ …
読書目安時間:約1分
人々は持つだろう あたたかい夕餉を持つだろう 静かな憩いを持つだろう 共感にほほ笑み 善意なるものに満ちていよう 無限なるものに包まれ 美しい手紙を秘めていよう すべてやさしくつよ …
ふしあわせ者のうた(新字新仮名)
読書目安時間:約1分
人間には幸福と不幸がある それは何処からきているか みなもと深く学者はしらべた 人々は自分に照りあわせ 実際的に納得した けれども 目ざす彼岸は高く あまりに遠い ふしあわせは 片 …
読書目安時間:約1分
人間には幸福と不幸がある それは何処からきているか みなもと深く学者はしらべた 人々は自分に照りあわせ 実際的に納得した けれども 目ざす彼岸は高く あまりに遠い ふしあわせは 片 …
方向(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
わたしはこの頃しきりに考える 自分というものについて わたしは下宿の二階に兄のくれる金で暮らしている それはわずかな金だ けれども兄の彼が夜ヒル書きつづける血のしたたりなのだ わた …
読書目安時間:約2分
わたしはこの頃しきりに考える 自分というものについて わたしは下宿の二階に兄のくれる金で暮らしている それはわずかな金だ けれども兄の彼が夜ヒル書きつづける血のしたたりなのだ わた …
わたしの正月(新字新仮名)
読書目安時間:約2分
今日は一月一日 今日は正月だ 明けましておめでとうって たとえのようにいうけれど わたしらはそんなどころではないわ 年がら年じゅう米つくるが商売なのに 一片の雑煮もない 毎年ただ一 …
読書目安時間:約2分
今日は一月一日 今日は正月だ 明けましておめでとうって たとえのようにいうけれど わたしらはそんなどころではないわ 年がら年じゅう米つくるが商売なのに 一片の雑煮もない 毎年ただ一 …
“中野鈴子”について
中野 鈴子(なかの すずこ、1906年(明治39年)1月24日 - 1958年(昭和33年)1月5日)は、日本の詩人。
(出典:Wikipedia)
(出典:Wikipedia)
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