島木健作
1903.09.07 〜 1945.08.17
著者としての作品一覧
赤蛙(新字旧仮名)
読書目安時間:約14分
寝つきりに寝つくやうになる少し前に修善寺へ行つた。その頃はもうずゐぶん衰弱してゐたのだが、自分ではまだそれほどとは思つてゐなかつた。少し体を休めれば、ぢきに元気を回復するつもりでゐ …
読書目安時間:約14分
寝つきりに寝つくやうになる少し前に修善寺へ行つた。その頃はもうずゐぶん衰弱してゐたのだが、自分ではまだそれほどとは思つてゐなかつた。少し体を休めれば、ぢきに元気を回復するつもりでゐ …
一過程(旧字旧仮名)
読書目安時間:約53分
夕やけが丘の上の空を彩りはじめた。暮れるにはまだ少し間のある時刻である。部屋のなかはだがもううす暗く深い靜けさにひそまりかへつてゐる。十人にちかい男たちがこの二階にありとは思へぬ靜 …
読書目安時間:約53分
夕やけが丘の上の空を彩りはじめた。暮れるにはまだ少し間のある時刻である。部屋のなかはだがもううす暗く深い靜けさにひそまりかへつてゐる。十人にちかい男たちがこの二階にありとは思へぬ靜 …
黒猫(新字新仮名)
読書目安時間:約14分
病気が少しよくなり、寝ながら本を読むことができるようになった時、最初に手にしたものは旅行記であった。以前から旅行記は好きだったが、好きなわりにはどれほども読んでいなかった。人と話し …
読書目安時間:約14分
病気が少しよくなり、寝ながら本を読むことができるようになった時、最初に手にしたものは旅行記であった。以前から旅行記は好きだったが、好きなわりにはどれほども読んでいなかった。人と話し …
ジガ蜂(新字旧仮名)
読書目安時間:約9分
初夏と共に私の病室をおとづれる元気な訪問客はジガ蜂である。ジガ蜂の颯爽たる風姿はいかにもさかんな活動的な季節の先駆けたるにふさはしく、沈んだ病室内の空気までがにはかに活気を帯びて来 …
読書目安時間:約9分
初夏と共に私の病室をおとづれる元気な訪問客はジガ蜂である。ジガ蜂の颯爽たる風姿はいかにもさかんな活動的な季節の先駆けたるにふさはしく、沈んだ病室内の空気までがにはかに活気を帯びて来 …
生活の探求(旧字旧仮名)
読書目安時間:約5時間27分
今年は春から雨の降ることが少なかつた。 山林を切り開いて作つた煙草畑まで、一町餘りも下の田の中の井戸から、四斗入りのトタンの水槽を背負つて、傾斜七十度の細い畦道を、日に幾度となく往 …
読書目安時間:約5時間27分
今年は春から雨の降ることが少なかつた。 山林を切り開いて作つた煙草畑まで、一町餘りも下の田の中の井戸から、四斗入りのトタンの水槽を背負つて、傾斜七十度の細い畦道を、日に幾度となく往 …
続生活の探求(旧字旧仮名)
読書目安時間:約9時間8分
つねの年にも増して寒さもきびしく、風も吹き荒れることの多いその年の暮れであつた。この地方は、北と東に向つて開き、海も近く、そこから吹き上げて來る風は、杉野たちの部落の後ろの山で行き …
読書目安時間:約9時間8分
つねの年にも増して寒さもきびしく、風も吹き荒れることの多いその年の暮れであつた。この地方は、北と東に向つて開き、海も近く、そこから吹き上げて來る風は、杉野たちの部落の後ろの山で行き …
第一義の道(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1時間17分
「もう何時かしら」と眼ざめた瞬間におちかは思つた。思はずはつとした氣持で、頭を上げて雨戸の方を見た。戸の外はまだひつそりとして、隙間のどの一つからも白んだ向うはのぞかれはしない。安 …
読書目安時間:約1時間17分
「もう何時かしら」と眼ざめた瞬間におちかは思つた。思はずはつとした氣持で、頭を上げて雨戸の方を見た。戸の外はまだひつそりとして、隙間のどの一つからも白んだ向うはのぞかれはしない。安 …
鰊漁場(新字新仮名)
読書目安時間:約49分
赤い脚絆がずり下り、右足の雪靴の紐が切れかかっているのをなおそうともしないで、源吉はのろのろとあるいて行った。やっと目的地についたという安心も手伝って、T町の入口にさしかかった頃に …
読書目安時間:約49分
赤い脚絆がずり下り、右足の雪靴の紐が切れかかっているのをなおそうともしないで、源吉はのろのろとあるいて行った。やっと目的地についたという安心も手伝って、T町の入口にさしかかった頃に …
東旭川村にて(旧字旧仮名)
読書目安時間:約11分
私は旭川へ來て友人のMに逢ひ、彼の案内で東旭川村を訪ねた。九月も十日すぎのある日だつた。 Mはほとんど十五年來の友人である。彼とは今度は三年ぶりで逢つた。何年に一度か、どつちかが思 …
読書目安時間:約11分
私は旭川へ來て友人のMに逢ひ、彼の案内で東旭川村を訪ねた。九月も十日すぎのある日だつた。 Mはほとんど十五年來の友人である。彼とは今度は三年ぶりで逢つた。何年に一度か、どつちかが思 …
盲目(旧字旧仮名)
読書目安時間:約58分
その日の午後も古賀はきちんと膝を重ねたまゝそこの壁を脊にして坐つてゐた。本をよむことができなくなつてからといふもの、古賀には一日ぢゆうなにもすることがないのだ。終日ぽつねんとして暗 …
読書目安時間:約58分
その日の午後も古賀はきちんと膝を重ねたまゝそこの壁を脊にして坐つてゐた。本をよむことができなくなつてからといふもの、古賀には一日ぢゆうなにもすることがないのだ。終日ぽつねんとして暗 …
癩(新字新仮名)
読書目安時間:約1時間16分
新しく連れて来られたこの町の丘の上の刑務所に、太田は服役後はじめての真夏を迎えたのであった。暑さ寒さも肌に穏やかで町全体がどこか眠ってでもいるかのような、瀬戸内海に面したある小都市 …
読書目安時間:約1時間16分
新しく連れて来られたこの町の丘の上の刑務所に、太田は服役後はじめての真夏を迎えたのであった。暑さ寒さも肌に穏やかで町全体がどこか眠ってでもいるかのような、瀬戸内海に面したある小都市 …
癩(旧字旧仮名)
読書目安時間:約1時間15分
新しく連れて來られたこの町の丘の上の刑務所に、太田は服役後はじめての眞夏を迎へたのであつた。暑さ寒さも肌に穩やかで町全體がどこか眠つてでも居るかの樣な、瀬戸内海に面したある小都市の …
読書目安時間:約1時間15分
新しく連れて來られたこの町の丘の上の刑務所に、太田は服役後はじめての眞夏を迎へたのであつた。暑さ寒さも肌に穩やかで町全體がどこか眠つてでも居るかの樣な、瀬戸内海に面したある小都市の …
黎明(旧字旧仮名)
読書目安時間:約60分
若い地區委員會の書記の太田健造は、脚の折れ曲つたテーブルの上に心持ち前かゞみになり、速力をもつて書類に何か書き込んでゐた。——街道筋の家並みがとだえがちになり、ひろびろとした田圃の …
読書目安時間:約60分
若い地區委員會の書記の太田健造は、脚の折れ曲つたテーブルの上に心持ち前かゞみになり、速力をもつて書類に何か書き込んでゐた。——街道筋の家並みがとだえがちになり、ひろびろとした田圃の …
忘れえぬ風景(新字旧仮名)
読書目安時間:約5分
日本の自然のうち、とくに自分の好きな風景などといふものはない。私は各地の名勝を何ほども探つてはゐないので、出題にたいして何かいふ資格すら持たぬものであるが、たとへ今後さういふ機会が …
読書目安時間:約5分
日本の自然のうち、とくに自分の好きな風景などといふものはない。私は各地の名勝を何ほども探つてはゐないので、出題にたいして何かいふ資格すら持たぬものであるが、たとへ今後さういふ機会が …
“島木健作”について
島木 健作(しまき けんさく、1903年9月7日 - 1945年8月17日)は、日本の小説家。本名は朝倉 菊雄(あさくら きくお)。高見順・中野重治・徳永直・林房雄らとともに、転向文学を代表する作家の1人。
農民運動に加わり、投獄され転向。この体験を元にした『癩』(1934年)を発表して注目された。『生活の探求』(1937年)は、当時の若者たちに多大な影響を与えた。遺作に『黒猫』(1945年)、『赤蛙』(1946年)などがある。
(出典:Wikipedia)
農民運動に加わり、投獄され転向。この体験を元にした『癩』(1934年)を発表して注目された。『生活の探求』(1937年)は、当時の若者たちに多大な影響を与えた。遺作に『黒猫』(1945年)、『赤蛙』(1946年)などがある。
(出典:Wikipedia)
“島木健作”と年代が近い著者
今年で生誕X百年
平山千代子(生誕100年)
今年で没後X百年
大町桂月(没後100年)
富ノ沢麟太郎(没後100年)
細井和喜蔵(没後100年)
木下利玄(没後100年)
富永太郎(没後100年)
エリザベス、アンナ・ゴルドン(没後100年)
徳永保之助(没後100年)
後藤謙太郎(没後100年)
エドワード・シルヴェスター・モース(没後100年)