今年は春から雨の降ることが少なかつた。 山林を切り開いて作つた煙草畑まで、一町餘りも下の田の中の井戸から、四斗入りのトタンの水槽を背負つて、傾斜七十度の細い畦道を、日に幾度となく往き還りする老父の駒平の姿はいたいたしい。時には握飯を頬張りな …
著者 | 島木健作 |
ジャンル | 文学 > 日本文学 > 小説 物語 |
初出 | 「書きおろし長篇小説叢書 第二巻」河出書房、1937(昭和12)年10月27日発行 |
文字種別 | 旧字旧仮名 |
読書目安時間 | 約5時間27分(500文字/分) |
朗読目安時間 | 約9時間4分(300文字/分) |