“聰”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
さと55.6%
サト22.2%
さか11.1%
ざか11.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それは伊澤蘭軒らんけんの嗣子榛軒しんけんむすめで、棠軒の妻であつた曾能子刀自そのことじである。刀自は天保六年に生れて大正五年に八十二歳の高齡を保つてゐて、耳もなほさとく、言舌も猶さわやかである。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
其後十二年、南家の娘は、二十ハタチになつてゐた。幼いからのサトさにかはりはなくて、玉・水精スヰシヤウの美しさが益々加つて來たとの噂が、年一年と高まつて來る。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
夜は星がさかしげにかがやいていた。垣には虫の声が雨のように聞こえる。椿の葉には露がおいて、大家おおやの高窓からもれたランプの光線がキラキラ光った。木の黒い影と家屋うちの黒い影とが重なり合った。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
細心にあたりを小ざかしい眼で見𢌞してから、少しも眼に留まるやうな人物のゐないことを確かめると、ただ、さいならと言つてネクタイ屋の前で姿を消した。男と女はお互に少時の間默つて歩いた。
末野女 (旧字旧仮名) / 室生犀星(著)