“さと”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:サト
語句割合
22.3%
17.2%
14.7%
8.9%
実家5.4%
5.2%
4.9%
3.2%
3.0%
2.3%
2.1%
生家1.5%
1.5%
0.9%
0.8%
0.8%
實家0.7%
0.5%
0.5%
遊里0.5%
0.4%
0.2%
0.2%
0.2%
故郷0.2%
0.2%
里家0.2%
暁得0.1%
遊廓0.1%
怜悧0.1%
了解0.1%
人家0.1%
土地0.1%
0.1%
0.1%
産所0.1%
0.1%
読了0.1%
0.1%
0.1%
通暁0.1%
通達0.1%
郷家0.1%
郷里0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
養家0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
め廻した時は、さしも戦い下手べたの同勢も、非をさとって形を変え、五弁の花がしんをつつむように、この敵ひとりを囲み込んでいた。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もとよりです。懸命におさとしつかまつッた。けれど、耳にもかけるふうではない。……兄者あにじゃには、ここ数日、泣かんばかり出陣の儀を
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もう駄目だとさとつた私は、二つに割れた石板せきばん缺片かけらかゞんで拾ひながら、最惡の場合に處する爲めに、勇氣をふるひ起した。時は來た。
「人間には嬉し泣きってものがある。松王まつおうに泣き笑いがあるように、壺坂つぼさかたに沢市さわいちとおさとに嬉し泣きをさせたら何うだろうと思う」
心のアンテナ (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
そこを君は知らんぢやらう? え? 世間には伏せてあつたのだが、伯爵夫人は、ある不治の病のために、実家さとへ帰つてをられたんだ。
(新字旧仮名) / 岸田国士(著)
その瞬間であつた。一種の異臭のかすかに浮び出るをさとくも感覚した長次は、身体の痛みも口惜しさも忘れ、跣足はだしのまゝに我家へ一散走り
名工出世譚 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
家の者は驚き疑って、もう宋公が神になっているのを知らないから、走っていってさとの者にいて呼びもどそうとしたが、もう影も形もなかった。
考城隍 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
怜悧りこうな小犬は二人の出て行く物音に樣子をさとつて、逐ひ籠められないうちに自分から椽の下にもぐり込まふとしてゐるのであつた。
木乃伊の口紅 (旧字旧仮名) / 田村俊子(著)
「上天文に通じ、下地理をさとり、謀略は管仲、楽毅がっきに劣らず、枢機すうきの才は孫子、呉子にも並ぶ者といっても過言ではないでしょう」
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いや、狂人ならとにかく、正気を持ちながら、毎日、さとや盛り場で、喧嘩をしては、狂人ほど人間を斬る奴。町方も、ちと持てあましておる男で」
無宿人国記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひじりさとしていひけるは、汝が聞けるおのが凶事を記憶にをさめよ、またいま心をわが言にそゝげ、かくいひて指を擧げたり 一二七—一二九
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
生家さとでは二三年のあいだ家を離れて、其方そっちこっち放浪して歩いていた兄が、情婦おんな死訣しにわかれて、最近にいた千葉の方から帰って来ていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
怜悧れいりなる商人を作り、敏捷びんせふなる官吏を作り、寛厚にして利にさとき地主を造るに在り。彼は常に地上を歩めり、彼れは常に尋常人の行く所を行けり。
明治文学史 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
しかも太祖が懿文いぶん太子に、七国反漢の事をさとしたりし時は、建文帝未だ生れず。明の国号はじめて立ちしのみ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
しかも、女神のさとさと敏感さは年経る毎に加わるらしく、天象歳時の変異を逸早く丘麓の住民たちに予知さすことに長けて来た。
富士 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
婦人は此言をなしをはりて、わづかにおのれの擧動ののりえたるをさとれりとおぼしく、かほに火の如きくれなゐのぼして席をすべり出でぬ。
富貴ふうきには親類顏しんるゐがほ幾代先いくだいさきの誰樣たれさまなに縁故えんこありとかなしとかねこもらぬしまでが實家さとあしらひのえせ追從つゐしよう
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
その僕これをあやしみひそかにその被いを開くと、皿上に白蛇あり、一口むるとたちまち雀の語を解し得たので、王の一切智の出所をさとったという。
ダルガスのごとき「さとき愚人」がおりませんならば、不幸一歩を誤りて戦敗の非運に遭いまするならば、その国はそのときたちまちにして亡びてしまうのであります。
わちきがくるわへはいりぞめ、そのおりちょうど清吉さんも商用で江戸表に参られて遊里さとへ足をはいりぞめに、ふとれそめたのが深間にはいり
聴くことはさとくありたいと思い、顔色は温和でありたいと思い、態度は恭しくありたいと思い、言語は誠実でありたいと思い、仕事は慎重でありたいと思い、疑いは問いただしたいと思い
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
痛しかゆしだ。このうえ下手にごねてみずから現職の地位を失うよりはと、彼もそこは利にさとく、軟化の色をやがて見せた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いまださとらずとは何を達らないのであるか。そこにはいろいろな解釈を容れる余地があるであろう。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
郎女の心に動き初めたさとい光りは、消えなかった。今まで手習いした書巻の何処かに、どうやら、法喜と言う字のあった気がする。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
やがて国許くにもとへ立帰る侍が、大路の棟の鬼瓦をながめて、故郷さとに残いて、月日を過ごいた、女房の顔を思出おもいいで、たえて久しい可懐なつかしさに、あの鬼瓦がその顔に瓜二つじゃと申しての
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さとくないからなんですよ。
千世子(三) (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
保雄の妻と成つて以来このかた良人おつとと一緒に貧しい生活に堪へて里家さとから持つて来た丈の衣類は皆子供等の物に縫ひ換へ、帯と云ふ帯は皆売払つて米代に
執達吏 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
黒衣こくえ棲居すみかを立出でしが、かれが言葉を虚誕いつわりなりとは、月にきらめく路傍みちのべの、露ほども暁得さとらねば、ただ嬉しさに堪えがたく
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
黄金丸はやや暁得さとりて、「さてはわが亡親なきおや魂魄たま、仮に此処ここに現はれて、わが危急を救ひ給ふか。阿那あな感謝かたじけなし」
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
喧嘩沙汰は年中のことだし、血なまぐさいものを、秘密裡にまた迅速に、処理してしまうことにもこの遊廓さとの者は馴れていた。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
貴方はそれでよいじゃろが、むさ身装みなりをしていては、綺羅きらやかな遊廓さとの席に、雑巾ぞうきんが置いてあるように見ゆるではないかの。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
怜悧さとき浪子は十分にんで、ああうれしいかたじけない、どうぞ身をにしても父上のおためにと心に思いはあふるれど、気がつくほどにすれば
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
遠洋航海より帰り来て、浪子のやせしを見たる武男が、粗豪なる男心にも留守の心づかいをくみて、いよいよいたわるをば、いささか苦々にがにがしく姑の思える様子は、怜悧さとき浪子の目をのがれず。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
我れ知る汝は一切の事をすを得給う、またいかなる意志おぼしめしにても成すあたわざるなし、無知をもて道をおおう者は誰ぞや、かく我はみずか了解さとらざる事を言い、自ら知らざる測りがたき事を述べたり
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
のがれ去らんと欲すれども、夜行太と黒三と、かはり代りに宿所にをれば、思ふのみにて便りを得ず、よしやちとすきありとても、山深くして道遠かり、いづこを人家さとある処ぞと
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
五両と三両まとまった、こくの代を頂いたんで、ここで泊込みの、湯上りで五合ごんつくめた日にゃ、懐中ふところ腕車くるまからにして、土地さとへ帰らなけりゃならねえぞ。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これを明らかにするかがみなく、これをさとらするさとしなく、英雄一個の心智を以て、四海万姓をもてあそぶ事、そも/\天の意なるや
山崎合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
周はあきれて鏡を見ていたが、まもなくこれは成が幻術を以て自分を隠遁いんとんさせようとしているためだろうとさとった。
成仙 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
是は雀部が妻の五六産所さとなりければ、五七ねんごろにたのみけるに、此の人見捨てずしていたはりつも、医をむかへて薬の事もはらなりし。やや五八ここちすずしくなりぬれば、あつめぐみ五九かたじけなうす。
何かにつけて若いものを教えさとすような口調で節子に話しかけた。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
この心通の作用によりまして、対手の心を読了さとることができるのでございます。
妖怪談 (新字新仮名) / 井上円了(著)
と、おとうさんは、さとされました。
青い石とメダル (新字新仮名) / 小川未明(著)
若い忠興はふと軽んじるような念を抱いたが、いつか佐和山城内で、父の藤孝からねんごろにさとされたことばを思い出して
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一国の神社仏閣じんじやぶつかく名所旧跡めいしよきうせき山川地理さんせんちり人物じんぶつ国産薬品こくさんやくひんるゐまでも、わけをいだして通暁さとしやすくしたる精撰せいせん也。此しよに右菱山ひしやませつほゞ見えたれど、さのみはとて引ず。
よわが目これをことごとく観、わが耳これを聞きて通達さとれり、なんじらが知る所は我もこれを知る、我は汝らに劣らず、しかりといえども我は全能者に物言わん、われは神と論ぜんことを
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
「お通さんの郷里さとは、作州の吉野郷じゃそうな」
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『だつて、君、左様さうさとるより外に考へ様は無いぢやないか——唯新平民が美しい思想を持つとは思はれないぢやないか——はゝゝゝゝ。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
今や汝あやしみ、あやしみてしかして物言はず、されどさとき思ひに汝のめらるゝ強ききづなを我汝の爲に解くべし 四九—五一
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
戯れに一絶をつくって曰く、〈聞説きくならく獼猴性すこぶるさとし、相車来ればすなわち満山に迎う、騾にむちうちてここに到れば何ぞかつて見ん、始めて覚る毛虫もうちゅうにもまた世情〉。
これらの人をつらねて、五〇貨殖伝くわしよくでんしるし侍るを、其のいふ所いやしとて、のちの博士はかせ筆を競うてそしるは、ふかくさとらざる人のことばなり。五一つねなりはひなきは恒の心なし。
実家だと思っていたほど、可愛がられて育った、養家さと親のうちは、品川の漁師だった。
柳原燁子(白蓮) (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)