“廓”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
くるわ66.4%
さと14.2%
かく8.5%
なか5.7%
くわく1.9%
ちょう0.5%
サト0.5%
から0.5%
くるは0.5%
よしわら0.5%
わこい0.5%
コンパルチマン0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
どうも吉原のくるわは昔から火に祟られるところで、江戸時代にもたびたび火事を出して、廓内全焼という記録がたくさん残っています。
半七捕物帳:49 大阪屋花鳥 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
さとれた吾妻下駄あずまげた、かろころ左褄ひだりづまを取ったのを、そのままぞろりと青畳に敷いて、起居たちい蹴出けだしの水色縮緬ちりめん。伊達巻で素足という芸者家の女房おんなあるじ
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
五間に十二間の長い一かくを遠巻きにして直接関係のない人々も群れていた。聚落むらから来た家族であり、街にすむ老幼男女であった。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
場所は、稲荷いなり町の遊廓くるわの裏だった。お蔦は自前芸妓じまえげいしゃとして、なかの大坂屋とか、山の春帆楼しゅんぱんろうや風月などを出先にかせいでいるのである。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
無駄を言ふうちに、兩國の橋詰、大弓場の裏の一くわくの料理屋のうち、一番構への大きい『種村たねむら』の入口に着きました。
ちょうにいて贅沢ぜいたくをした御前方おまえがたには珍しくもあるまいが、この頃は諸事御倹約の世の中、衣類から食物たべものまで無益な手数をかけたものは一切いっさい御禁止というきびしいおふれだから
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
京の島原・大阪の新町、此等のサトにもあつたのだ。此様にかゝる方面にまで、ごろつき・あばれものゝ影響があつたのである。
ごろつきの話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
「ちっと、日本間の方へ話にでも来て御覧。あっちは、からっとして、書斎より心持が好いから。たまには、はじめのようにつまらない女を相手にして世間話をするのも気が変って面白いものだよ」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
くるはを取巻いた柵の中には、灯影ひかげが明るく花のやうに輝いて居た。三味線の音につれて騒ぐ人達の声も手に取るやうに聞えて来た。しかしそれも瞬間であつた。灯影は時の間に過ぎ去つて了つた。
百日紅 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
うすものひとつになって圓朝は、この間内あいだうちから貼りかえたいろいろさまざまの障子のような小障子のようなものへ、河岸の景色を、藪畳を、よしわらを、大広間を、侘住居わびずまいを、野遠見のとおみを、浪幕を
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
「なるほど、あれが音に聞く木賊とくさ山と地主山か。……このようすを見ると、まるで山村。……おわこいうちにこんなところがあるとは思われない、いや、大したもんだ」
顎十郎捕物帳:01 捨公方 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
一廓が居間と寝室と食堂と浴室と料理場の五室からなり、入口のドアで仕切られて他のコンパルチマンから独立するようになっている。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)