“廓然”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
くつきり33.3%
かくぜん25.0%
かくねん16.7%
からり16.7%
くわくねん8.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
燃える樣な新しい煉瓦の色の、廓然くつきりと正しい輪廓を描いてるのは、何樣なにさま木造の多い此町では、多少の威嚴をたもつて見えた。
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
無欲にして明鏡の如くに澄み切った心——悪魔以上に廓然かくぜん冷々たる態度を以てこれに対すれば
鼻の表現 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「どうしてわかるのか。」「無相三昧、かたち満月の如くなるを以て、仏性の義廓然かくねんとして虚明こめいなり。」
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
次に手ばしこく蒲團をたたんで押入へ押籠む……夜の温籠ぬくもりは、二十日鼠はつかねづみのやうに動くお房のまほりと、中窓から入ツて來る大氣とにさまされて、其處らが廓然からりとなる。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
本来氷も湯も隔なき水、鼠も猫も異ならぬ金なる時んば、仮相の互に亡び妄現の共に滅するをも待たずして、当体即空たうたいそくくう当事即了たうじそくりやう廓然くわくねんとして、天に際涯はて無く、峯の木枯、海の音、川遠白く山青し
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)