“かくぜん”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
劃然51.6%
画然9.7%
廓然9.7%
赫然9.7%
矍然6.5%
砉然3.2%
確然3.2%
郭然3.2%
閣前3.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
さればこの人は芸文に劃然かくぜんたる一新機軸を出しし者にして同代の何人よりも、その詩、哲理に富み、譬喩ひゆの趣を加ふ。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
がかれは爛々らんらんたるほのおの鏡に射られて目がくらんだ、五色の虹霓こうげいがかっと脳を刺したかと思うとその光の中に画然かくぜんとひとりの男の顔があらわれた。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
その日は、廓然かくぜんと晴れた初夏の一日だった。もう夏らしく、白い層雲が、むく/\と空の一角にいていた。水色の空には、強い光が、一杯にち渡って、生々の気が、空にも地にもあふれていた。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
赤く白くおもてを塗りて、赫然かくぜんたる色の衣をまとひ、珈琲店カツフエエに坐して客ををみなを見ては、往きてこれに就かん勇気なく、高き帽を戴き、眼鏡に鼻を挾ませて
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
と。将軍矍然かくぜんたり、衆みな黙然たり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
燕王の宮殿堅牢けんろうならざるにあらざるも、風雨の力大にして、高閣の簷瓦えんが吹かれてくうひるがえり、砉然かくぜんとして地にちて粉砕したり。大事を挙げんとするに臨みて、これ何のちょうぞ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
燕王にうに当って、砉然かくぜんとして破裂し、爆然として迸発へいはつせるものというべき
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
時雨しぐれくもえいずるもみぢこずゑ確然かくぜんあがつてながら天鵞絨びろうどふかんでやうにもえた。まへそらさゝへてつた二でうしろはしら幟旗のぼりばたであつた。幟旗のぼりばたまずばた/\とひるがへつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
他日再び醒覚せいかくするときあることが分かり、はじめて数十年来かつ迷いかつ苦しみいたる胸中が、一時に郭然かくぜんとして開け、万里雲晴れて、月まさに中するがごとき心地するようになりました。
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
先生が俊爽しゆんさうの才、美人を写して化を奪ふや、太真たいしん閣前かくぜん牡丹ぼたん芬芬ふんふんの香を発し、先生が清超の思、神鬼を描いて妙に入るや、鄒湛すうたん宅外、楊柳に啾啾しうしうの声を生ずるはすでに天下の伝称する所
「鏡花全集」目録開口 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)