画然かくぜん)” の例文
鍵盤上の獅子王と言われたバックハウスの技巧のえと、情緒的なコルトーの温かさとは、画然かくぜんとして面白い対照をなしている。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
がかれは爛々らんらんたるほのおの鏡に射られて目がくらんだ、五色の虹霓こうげいがかっと脳を刺したかと思うとその光の中に画然かくぜんとひとりの男の顔があらわれた。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
告別の歌をうたうとともに同じのはとやすずめは西と東、上と下へ画然かくぜんとわかれた。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
据物斬りの口伝くでんを平次は聴き覚えていたのです。武士は突き出すように斬り、やくざは引きながら斬る。剣道にはこの二つの型——画然かくぜんたる上品下品の型のあることを平次は思い出したのでした。