“時雨”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
しぐれ82.3%
しぐ16.8%
しぐら0.4%
ときにあめ0.4%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
岡田八千代様、長谷川時雨しぐれ様のやうな立派な方が何と云つてもまだ未成品の私共と一緒に筆をとつて下さることを本当にうれしく感謝いたします。
時雨しぐれそぼふる午下ひるすぎ火の乏しき西洋間の教授会議または編輯へんしゅう会議も唯々わけなくつらきもののうちに数へられぬ。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
おや、時雨しぐれかな、と思つてゐると、又ざあツとやつて来て、屋根の上を通る時分には、パラ/\とまばらな音を落して、忍び足に消えて行く。
猫と庄造と二人のをんな (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
おなをんな取卷とりまかれてゐても、三上みかみは(説明中止せつめいちうし)——時雨しぐれさんは、社會的しやくわいてき
時雨しぐれれた木木のこずゑ。時雨に光ってゐる家家の屋根。犬は炭俵を積んだ上に眠り、鶏は一籠ひとかごに何羽もぢつとしてゐる。
続野人生計事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
少し空が曇り、北風でも吹くと、元気な文鳥以外のものは、皆声も立てず、止り木の上にじっとかたまって、時雨しぐれる障子のかげを見ているのである。
小鳥 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「なんだか時雨しぐれそうでございます」と、お兼は縁側をふきながら薄暗い初冬の空をみあげた。「今晩からお十夜じゅうやでございますね」
半七捕物帳:18 槍突き (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
時雨しぐらんだような薄暗さのなかに、庸三は魂をいちぎられたもののように、うっとりと火鉢ひばちをかかえて卓の前にいた。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
見通しもかないほどひろい原野の夕暮れは、ひとときッと輝いて、あとはたちまち時雨しぐれるようなうす墨であった。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
半月も過ぎて秋も深まり、百舌鳥もずの鋭いき声が庭園を横切るかと思えば、裏の山の実をいばむ渡り鳥が群れ啼いて空を渡り、時雨しぐれる日が多かった。
(新字新仮名) / 富田常雄(著)
芝居のなかも暗く時雨しぐらんだようで、底冷えが強く、蒲団をけていても、膝頭ひざがしらが寒かった。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「五日。微晴。時雨ときにあめ。藩邸より伏見夜船賃受取。夕刻煙草屋藤助一六船利徳丸へ乗組、新堀迄出帆。」
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)