“空風”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
からかぜ77.8%
からっかぜ16.7%
からつかぜ5.6%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
と万吉は、八ツ手の葉蔭から、もう一度お綱へ頭を下げて、前の穴からズルズルと塀の外へ這いだした。ヒューッと寒い空風からかぜが目に砂を入れて行った。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
弁持も洲崎に馴染なじみがあってね、洲崎の塩竈……松風空風からかぜ遊びという、菓子台一枚で、女人とともに涅槃ねはんろう。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そうだったらこの憤懣は〔欠〕——彼女達の一家はこの半月程前に、すみなれた大阪から、空風からかぜと霜どけの東京の高台の町へ引越して来たばかりだった。
不幸 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
女童めのわらわや老女まで、およそはみな暇をやってあったので、百年の歴史をもつここの門も空風からかぜが鳴っているだけだった。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
前者は川沿いのある芝地を空風からかぜの吹く夜中に通っていると、何者かが来て不意にべろりと足をなめる、すると急に発熱して三日のうちに死ぬかもしれないという。
化け物の進化 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
十一時近かったけれども、空風からっかぜに裾をくられながら、せわしそうに歩き廻っている人で群れていた。
罠に掛った人 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
もはや午後の日差しがうっすら淋しく大道にかげり、空風からっかぜがあちらこちらに埃を吹き上げている。
天馬 (新字新仮名) / 金史良(著)
時々砂をまじえた空風からっかぜが、二人の外套がいとうひるがえして通り過ぎた。
夕方少し前から急に変つたのだが、もう四月の声も聞かうといふのに、真冬の空風からつかぜのやうな寒風が吹き立つて、雪でもちらついて来さうな馬鹿陽気だつた。
乳の匂ひ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)