“野分”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
のわき83.3%
のわけ16.7%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
野分のわき立った朝、尼はその女のもとに菓子などを持って来ながら、いつものように色のめた衣をかついだ女を前にして、何か慰めるように、
曠野 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
野分のわきに伏した草むらや、白い流れや、眼をやる所に、おとといのいくさたおれた敵味方のかばねが、まだ一個も片づけられずにある。
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
武蔵野の冬の夜更けて星斗闌干せいとらんかんたる時、星をも吹き落としそうな野分のわきがすさまじく林をわたる音を、自分はしばしば日記に書いた。
武蔵野 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
まだ野分のわきの朝などには鼠小僧ねずみこぞうの墓のあたりにも銀杏落葉いちょうおちばの山の出来る二昔前ふたむかしまえの回向院である。
少年 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
遼東りょうとう大野たいやを吹きめぐって、黒い日を海に吹き落そうとする野分のわきの中に、松樹山しょうじゅざんの突撃は予定のごとく行われた。
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ある日曜の午後と覚えています、時は秋の末で、大空は水のごとく澄んでいながら野分のわけ吹きすさんで城山の林は激しく鳴っていました。
春の鳥 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
すでにその頃、尊氏は瀬田大橋もこえ、彼の東下の軍勢は、野分のわけつめあとのひどい稲田を途中に見つつ近江路を急いでいた。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
造酒は、かたわらの愛刀、阪東ばんどうろう幸村ゆきむらって野分のわけの称ある逸剣を取って、ニヤニヤ笑いながら、「金打きんちょうしよう」
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
あき野分のわけしば/\して、ねむられぬながの、あささむく——インキのかほり
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
表題ハ実ハキマラズ。「野分のわけ」位ナ所ガヨカロウト思イマス。ドウデショウ。中々人ガキタリ、何カシテ一気ニ書ケナイ。
漱石氏と私 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)