“大南風”の読み方と例文
読み方割合
おおみなみ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
この大南風おおみなみの勢いでは、山火事になって、やがて、ここもとまで押し寄せはしまいかと案じますほどの激しさで、けつけるものは駈けつけます、騒ぐものは騒ぐ。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
この春はめずらしく火事沙汰が少なかったが、夕方から大南風おおみなみが吹き出して、陽気も俄かに暖くなった。歩兵屯所の八重桜も定めてさんざんに吹き散らされるであろうと、半七は想像した。
私は今日、張見世の景色よりもやゝ明瞭にその日のことの方を記憶してゐるが、大南風おおみなみの吹荒ぶ午前十一時ごろ、花川戸の私の家の近所では、只今吉原が火事であると云つて俄に騒ぎだした。
異版 浅草灯籠 (新字旧仮名) / 正岡容(著)