“鱧”の読み方と例文
読み方割合
はも100.0%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「あゝ、『はもの皮を御送り下されたく候』と書いてあるで……何吐かしやがるのや。」と、源太郎は長い手紙の一番終りの小さな字を讀んで笑つた。
鱧の皮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
窓下の襖際ふすまぎわぜんの上の銚子ちょうしもなしに——もう時節で、塩のふいたさけの切身を、はもの肌の白さにはかなみつつ、辻三が……
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「じいやと二人で海岸通りを歩いていたら、酔っ払いのような人が珍しさうに附いて来て、なんや、けったいな犬やなあ、はもみたいな犬やなあって、———」
蓼喰う虫 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「またはもを食わせるな。毎日鱧ばかり食って腹の中が小骨だらけだ。京都と云う所は実にな所だ。もういい加減に帰ろうじゃないか」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「現在のおっとはまことの夫ではない。年を経たる黒魚こくぎょはもの種類)の精である。おまえの夫はかの夜すでに黒魚のために食われてしまったのであるぞ」
食卓について見ると今夜は日本食が特に調理せられ、はもの味噌汁、鮪の刺身、鯛の煮附、蛸と瓜の酢の物、沢庵たくあんと奈良漬、いづれも冷蔵庫から出された故国の珍味である。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
十日ほどまへ二ヶ月ぶりで訪れたときには、遠い旅をしてきたと言つて、南国のピカピカ光る海の話やはも漁の模様などを図解入りで話してゐたが、縁談のことには頭から足の爪まで無関心の様子であつた。
蒼茫夢 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
それは、自分が晩酌の肴にしようと思って、しまって置いたはもの皮に気がついたのである。
にらみ鯛 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
天文元年の著なる『塵添壒嚢抄じんてんあいのうしょう』八に、蛇が竜になるを論じ、ついでに蛇また鰻にるといい、『本草綱目』にも、水蛇がはもという魚に化るとあるは形の似たるよりあやまったのだ。
久保田米僊べいせんは、大阪のはもも、京都へ持つて来て、一晩加茂川の水へ漬けておくと屹度きつと味がよくなると言つてゐたが、米僊は私に一度も鱧の御馳走をしなかつたから、嘘か真実ほんとうか保証する限りでない。