“鰒”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
ふぐ59.1%
あわび27.3%
あはび9.1%
ふく4.5%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
一座は、いまの円太郎、小せん、小半次と云つた名題の愚連隊揃ひ、川柳点に所謂「片棒をかつぐゆうべのふぐ仲間」だから耐らない。
落語家温泉録 (新字旧仮名) / 正岡容(著)
日本のどこでもの海岸の浅い砂浜やくさむらに棲んでいる飛沙魚はぜと、九州有明湾や豊前豊後の海岸にいる睦五郎むつごろうと、誰にもおなじみのふぐである。
飛沙魚 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
ふぐは多し、またさかんぜんに上す国で、魚市は言うにも及ばず、市内到る処の魚屋の店に、春となると、このあやしうおひさがない処はない。
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
三人とも定命に達した今でもなかなかコワイ彼らが、当時はみな三十歳前後だったのだから、川柳点にいわゆる「片棒を担ぐゆうべのふぐ仲間」で、たいてい察してもらいたい。
わが寄席青春録 (新字新仮名) / 正岡容(著)
御法ごほうによって男女ふたりとも、生きながらのさらし者となり、ふぐったむくいとはいえ、浮名うきなというには、あまりにもひどい人の目や指にとり巻かれている。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かつて海底に径寸のあわびの珠を、させられたという物語は伝わっているが、それはまだ考古家の眼にも触れず、またしばしばあった事とも思われない。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
加波山で猟れた鹿らしく鹿島の猟で採れたあわび新治にいばりの野で猟れた、しぎ、那珂の川でとれたという、蜆貝しじみがい
富士 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
なおまた海岸地方においては、塩三斗、あわび十八斤、かつお三十五斤、烏賊いか三十斤、紫のり四十八斤、あらめ二百六十斤等をもって調とすることができる。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
それはお前様、あのてあいと申しますものは、……まあ、海へ出て岸をばみまわして御覧ごろうじまし。いわの窪みはどこもかしこも、賭博ばくちつぼに、あわびふた
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そのはぎの白さ、常夏とこなつの花の影がからみ、磯風に揺れ揺れするでしゅが——年増も入れば、夏帽子も。番頭も半纏のすそをからげたでしゅ。巌根いわねづたいに、あわび、鰒、栄螺さざえ、栄螺。
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
夕飯には吾儕の爲にあはびを用意して、それを酢にして、大きな皿へ入れて出した。
伊豆の旅 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
それでも、言葉や文字の中には長い間にちよい/\間違つて了つて、あはび河豚ふぐだと思ふやうな人も少しは出來たりしたが、それをまた訛言なまりだの、方言だのと、物識り顏に、ごりがんをきめ込むこともない。
ごりがん (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
『……甘いこと云うな。ふくをば喰いらんような奴は、博多の町では育ち能らんぞ。今から慣らしておかにゃ、詰まらんぞ。中毒あたって死ぬなら今のうちじゃないか』
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そげな調子で、いつから喰い初めたか判然わかりませんが、ふくでは随分、無茶をやりました。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)