佐々木邦
1883.05.04 〜 1964.09.22
“佐々木邦”に特徴的な語句
真正
諢
迚
突然
然
囁
定
次第
序
最早
斯
祟
奴
鳧
冷
級
執成
何方
狡
俺
悉皆
些
宜
驚
何
悪戯
何
少時
一寸
真
能
如何
若
大
皆
定
真実
出
被
失策
匿
晩
零
先刻
好
宜
彼処
他
後
妻
著者としての作品一覧
合縁奇縁(新字新仮名)
読書目安時間:約23分
「瑞竜、お前は養子に行く気はないか?相手にもよりけりだろうが、随明寺なら申分あるまい?」 と兄貴がニコ/\して切り出した。さては来たなと僕は思った。随明寺の総領娘錦子さんはナカ/\ …
読書目安時間:約23分
「瑞竜、お前は養子に行く気はないか?相手にもよりけりだろうが、随明寺なら申分あるまい?」 と兄貴がニコ/\して切り出した。さては来たなと僕は思った。随明寺の総領娘錦子さんはナカ/\ …
朝起の人達(新字新仮名)
読書目安時間:約14分
医者に勧められて朝起を一月ばかり続けている中に疑問が起った。古来朝起は一種の投資的美徳になっている。朝起三文の徳ともいえば、ずっと桁を飛ばして、朝起十両ともいう。前者は一回分を指し …
読書目安時間:約14分
医者に勧められて朝起を一月ばかり続けている中に疑問が起った。古来朝起は一種の投資的美徳になっている。朝起三文の徳ともいえば、ずっと桁を飛ばして、朝起十両ともいう。前者は一回分を指し …
ある温泉の由来(新字新仮名)
読書目安時間:約30分
東引佐村と西引佐村は引佐川を境にして、東と西から相寄り添っている。名前から言っても、地勢から見ても、兄弟村だけれど、仲の悪いこと天下無類だ。何の因果か、喧嘩ばかりしている。両村の経 …
読書目安時間:約30分
東引佐村と西引佐村は引佐川を境にして、東と西から相寄り添っている。名前から言っても、地勢から見ても、兄弟村だけれど、仲の悪いこと天下無類だ。何の因果か、喧嘩ばかりしている。両村の経 …
或良人の惨敗(新字新仮名)
読書目安時間:約15分
日本はアメリカよりも自由国である。小学校で進化論を教えても問題にならない。しかし鳥居氏の家庭では、 「お母さん、僕も先祖は猿でしょうかね?」 と十歳になる惣領息子が尋ねた時、日頃貞 …
読書目安時間:約15分
日本はアメリカよりも自由国である。小学校で進化論を教えても問題にならない。しかし鳥居氏の家庭では、 「お母さん、僕も先祖は猿でしょうかね?」 と十歳になる惣領息子が尋ねた時、日頃貞 …
いたずら小僧日記(新字新仮名)
読書目安時間:約2時間7分
乃公は昨日で満十一になった。誕生日のお祝に何を上げようかとお母さんが言うから、乃公は日記帳が欲しいと答えた。するとお母さんは早速上等のを一冊買って呉れた。姉さん達は三人共日記をつけ …
読書目安時間:約2時間7分
乃公は昨日で満十一になった。誕生日のお祝に何を上げようかとお母さんが言うから、乃公は日記帳が欲しいと答えた。するとお母さんは早速上等のを一冊買って呉れた。姉さん達は三人共日記をつけ …
一年の計(新字新仮名)
読書目安時間:約14分
片岡君は又禁酒を思い立った。 思い立つ日が吉日というが、片岡君は然う右から左へ埓を明けたがらない。思い立ってから吉日を探し当てるまでに可なり手間がかゝる。 「今から禁酒しても来月は …
読書目安時間:約14分
片岡君は又禁酒を思い立った。 思い立つ日が吉日というが、片岡君は然う右から左へ埓を明けたがらない。思い立ってから吉日を探し当てるまでに可なり手間がかゝる。 「今から禁酒しても来月は …
英米笑話秀逸(新字新仮名)
読書目安時間:約4分
笑いを好む英米人は笑話を重んじる。食卓では笑話が社交を扶ける。カナダのユーモリスト、スチーヴン・リーコック氏はアメリカ笑話の秀逸として、次の「バッファローで投げ出された男」を推奨し …
読書目安時間:約4分
笑いを好む英米人は笑話を重んじる。食卓では笑話が社交を扶ける。カナダのユーモリスト、スチーヴン・リーコック氏はアメリカ笑話の秀逸として、次の「バッファローで投げ出された男」を推奨し …
親鳥子鳥(新字新仮名)
読書目安時間:約3時間1分
お父さんが社から帰って来て、一同晩餐の食卓を囲む時、その日起った特別の事件が話題に上る。 「今日は里の母が見えて、私、上等の浴衣地を戴きましたよ」 なぞというのはお母さんの書き入れ …
読書目安時間:約3時間1分
お父さんが社から帰って来て、一同晩餐の食卓を囲む時、その日起った特別の事件が話題に上る。 「今日は里の母が見えて、私、上等の浴衣地を戴きましたよ」 なぞというのはお母さんの書き入れ …
恩師(新字新仮名)
読書目安時間:約14分
私が入学した頃の卒業生はビリコケでも羽が生えて飛んだ。多少成績が好いと引っ張り凧の形だった。首席で出た従兄の如きは口があり過ぎて選択に迷った。 「兎に角面会丈けはしてやらないと推薦 …
読書目安時間:約14分
私が入学した頃の卒業生はビリコケでも羽が生えて飛んだ。多少成績が好いと引っ張り凧の形だった。首席で出た従兄の如きは口があり過ぎて選択に迷った。 「兎に角面会丈けはしてやらないと推薦 …
勝ち運負け運(新字新仮名)
読書目安時間:約4時間5分
隣り同士の僕と菊太郎君は妙な因縁だ。凡そ仲の好い友達といっても、僕達二人のようなのは類があるまい。三十余年間、始終一緒だった。学校も一緒、商売も一緒、何方か病気をしない限り、毎日顔 …
読書目安時間:約4時間5分
隣り同士の僕と菊太郎君は妙な因縁だ。凡そ仲の好い友達といっても、僕達二人のようなのは類があるまい。三十余年間、始終一緒だった。学校も一緒、商売も一緒、何方か病気をしない限り、毎日顔 …
閣下(新字新仮名)
読書目安時間:約16分
私の家は両隣りとも陸軍大佐である。予備か後備か知らないが、盆栽を弄ったり謡曲を唸ったりして、先ず悠々自適というところだ。目黒もこの界隈は筍と共に軍人の古手が多い。丘麓の片側町三十何 …
読書目安時間:約16分
私の家は両隣りとも陸軍大佐である。予備か後備か知らないが、盆栽を弄ったり謡曲を唸ったりして、先ず悠々自適というところだ。目黒もこの界隈は筍と共に軍人の古手が多い。丘麓の片側町三十何 …
髪の毛(新字新仮名)
読書目安時間:約13分
或朝、井口君は出勤の支度にかゝった時、ズボンが見当らなかったので、白シャツのまゝ、 「おい/\」 と細君を呼んだ。 「はあ」 「ズボン/\」 「あら、私、忘れていました」 と細君の …
読書目安時間:約13分
或朝、井口君は出勤の支度にかゝった時、ズボンが見当らなかったので、白シャツのまゝ、 「おい/\」 と細君を呼んだ。 「はあ」 「ズボン/\」 「あら、私、忘れていました」 と細君の …
ガラマサどん(新字新仮名)
読書目安時間:約3時間25分
長男が小学校へ入学して、初めての成績が全甲だった時、妻は、 「矢っ張りこの子は頭が好いわ」 と得意になった。 「おれに似たんだ」 と私は主張した。 「オホヽ」 「何だい?」 「然う …
読書目安時間:約3時間25分
長男が小学校へ入学して、初めての成績が全甲だった時、妻は、 「矢っ張りこの子は頭が好いわ」 と得意になった。 「おれに似たんだ」 と私は主張した。 「オホヽ」 「何だい?」 「然う …
冠婚葬祭博士(新字新仮名)
読書目安時間:約30分
入社してから一週間目ぐらいだったろう。少くとも同僚の顔が皆一様に見えて、誰が誰だか分らない頃だった。僕は退出後駅へ向う途中、大通から横道へ折れ込んだ。或は近道かと探検の積りだった。 …
読書目安時間:約30分
入社してから一週間目ぐらいだったろう。少くとも同僚の顔が皆一様に見えて、誰が誰だか分らない頃だった。僕は退出後駅へ向う途中、大通から横道へ折れ込んだ。或は近道かと探検の積りだった。 …
求婚三銃士(新字新仮名)
読書目安時間:約5時間33分
安達君は乗換の電車を待ちながら、青空を仰いで、意気軒昂たるものがあった。卒業後半歳にして、竟に就職戦線を突破したのである。勤め始めてから丁度一週間、仕事の方はまだ無我夢中だ。サラリ …
読書目安時間:約5時間33分
安達君は乗換の電車を待ちながら、青空を仰いで、意気軒昂たるものがあった。卒業後半歳にして、竟に就職戦線を突破したのである。勤め始めてから丁度一週間、仕事の方はまだ無我夢中だ。サラリ …
ぐうたら道中記(新字新仮名)
読書目安時間:約5時間32分
何にする積りかこの間学校で担任の先生が皆のお父さんの職業を取調べた。級長から席順に官吏大蔵省技師とか、実業白木屋店員とかと答えて、僕の番が近づいた時、僕は尠からず当惑した、僕のお父 …
読書目安時間:約5時間32分
何にする積りかこの間学校で担任の先生が皆のお父さんの職業を取調べた。級長から席順に官吏大蔵省技師とか、実業白木屋店員とかと答えて、僕の番が近づいた時、僕は尠からず当惑した、僕のお父 …
苦心の学友(新字新仮名)
読書目安時間:約5時間33分
夕刻のことだった。 「内藤さん、速達!」 と呼ぶ声が玄関からきこえた。郵便物と新聞は正三君がとりつぐ役だ。 「お父さん、速達ですよ」 「ふうむ。何ご用だろう?」 とお父さんはいずま …
読書目安時間:約5時間33分
夕刻のことだった。 「内藤さん、速達!」 と呼ぶ声が玄関からきこえた。郵便物と新聞は正三君がとりつぐ役だ。 「お父さん、速達ですよ」 「ふうむ。何ご用だろう?」 とお父さんはいずま …
首切り問答(新字新仮名)
読書目安時間:約18分
この事件に関する野口君と僕の交渉は僕が九州で某県庁の属官を勤めていた頃から始まる。野口君は裏日本の某中学校教諭を拝命して、三年ばかりたっていた。二人は高等学校時代からの同窓で極く親 …
読書目安時間:約18分
この事件に関する野口君と僕の交渉は僕が九州で某県庁の属官を勤めていた頃から始まる。野口君は裏日本の某中学校教諭を拝命して、三年ばかりたっていた。二人は高等学校時代からの同窓で極く親 …
好人物(新字新仮名)
読書目安時間:約1時間47分
「安子や、一寸見ておくれ」 と千吉君は家へ帰って和服に着替えると直ぐに細君を呼んだ。出入り送り迎えは欠かさないが、着替えの手伝いまでしてくれる時代はもう疾うに過ぎ去っている。結婚し …
読書目安時間:約1時間47分
「安子や、一寸見ておくれ」 と千吉君は家へ帰って和服に着替えると直ぐに細君を呼んだ。出入り送り迎えは欠かさないが、着替えの手伝いまでしてくれる時代はもう疾うに過ぎ去っている。結婚し …
心のアンテナ(新字新仮名)
読書目安時間:約27分
「四から芸引く、零残る。斯ういう算術を御存じですか?」 と銀太夫君が師匠の令嬢美代子さんに訊いた。 「何あに?もう一遍」 「師から芸引く、零残る」 「分らないわ」 「師匠から芸術を …
読書目安時間:約27分
「四から芸引く、零残る。斯ういう算術を御存じですか?」 と銀太夫君が師匠の令嬢美代子さんに訊いた。 「何あに?もう一遍」 「師から芸引く、零残る」 「分らないわ」 「師匠から芸術を …
妻の秘密筥(新字新仮名)
読書目安時間:約25分
「君達の群は一寸違っているね」 目のあるものは皆そう言って、敬意を表してくれる。 「一癖あるのが揃っている」 と課長が言ったそうだ。僕達も十把一からげの連中とは選を異にしている積り …
読書目安時間:約25分
「君達の群は一寸違っているね」 目のあるものは皆そう言って、敬意を表してくれる。 「一癖あるのが揃っている」 と課長が言ったそうだ。僕達も十把一からげの連中とは選を異にしている積り …
四十不惑(新字新仮名)
読書目安時間:約26分
僕が満四十になった時、妻は尾頭つきで誕生日を祝ってくれて、その席上、 「四十にして惑わずと申しますからあなたももう惑わないで下さいよ」 と註文をつけた。 「おれは今までだって惑った …
読書目安時間:約26分
僕が満四十になった時、妻は尾頭つきで誕生日を祝ってくれて、その席上、 「四十にして惑わずと申しますからあなたももう惑わないで下さいよ」 と註文をつけた。 「おれは今までだって惑った …
社長秘書(新字新仮名)
読書目安時間:約14分
「それについては面白い話があるよ」 と社長が言い出すと、周囲のものは皆辟易する。しかし相槌を待ち設けて見廻しているから、誰か、 「はゝあ」 と応じてやらなければならない。社長には尻 …
読書目安時間:約14分
「それについては面白い話があるよ」 と社長が言い出すと、周囲のものは皆辟易する。しかし相槌を待ち設けて見廻しているから、誰か、 「はゝあ」 と応じてやらなければならない。社長には尻 …
秀才養子鑑(新字新仮名)
読書目安時間:約33分
小室君は養父の紹介だから、何とかなるだろうと思って出掛けた。養父は中風で、もう廃人だけれど、月二百円以上の恩給を食んでいる。セッセと働いて百円足らずにしかならなかった小室君よりもグ …
読書目安時間:約33分
小室君は養父の紹介だから、何とかなるだろうと思って出掛けた。養父は中風で、もう廃人だけれど、月二百円以上の恩給を食んでいる。セッセと働いて百円足らずにしかならなかった小室君よりもグ …
首席と末席(新字新仮名)
読書目安時間:約15分
思い出すと隔世の感がある。当時私達の学校の卒業生は中学校の教諭心得として二十五円で売れた。大学卒業生は五十円六十円で、並等は教頭、成績の好いのは直ぐ校長になれた。大学は未だ東京の帝 …
読書目安時間:約15分
思い出すと隔世の感がある。当時私達の学校の卒業生は中学校の教諭心得として二十五円で売れた。大学卒業生は五十円六十円で、並等は教頭、成績の好いのは直ぐ校長になれた。大学は未だ東京の帝 …
小問題大問題(新字新仮名)
読書目安時間:約23分
津島君の子爵病は長いことだった。一杯やると発作的に催す。遠く王政維新廃藩置県の頃に溯って、 「祖父がその時好機会を逸しなかったら、僕も今頃は子爵の御前様で納まり返っていられるのにな …
読書目安時間:約23分
津島君の子爵病は長いことだった。一杯やると発作的に催す。遠く王政維新廃藩置県の頃に溯って、 「祖父がその時好機会を逸しなかったら、僕も今頃は子爵の御前様で納まり返っていられるのにな …
女婿(新字新仮名)
読書目安時間:約43分
清之介君の結婚式は二ヵ月かゝったというので未だに一つ話になっている。新夫婦は式後愛情真に濃かに、一ヵ月と二十何日というもの絶対に引き籠っていた。余り念が入った所為か、清之介君はその …
読書目安時間:約43分
清之介君の結婚式は二ヵ月かゝったというので未だに一つ話になっている。新夫婦は式後愛情真に濃かに、一ヵ月と二十何日というもの絶対に引き籠っていた。余り念が入った所為か、清之介君はその …
人生正会員(新字新仮名)
読書目安時間:約23分
奥さんを失った社長は悉皆挫けてしまった。糟糠の妻だったから、大打撃だったに相違ないが、あのガムシャラな人が仏道に志したのだから驚く。会社へ来ていても、数珠を手放さない。瞑目唱名しな …
読書目安時間:約23分
奥さんを失った社長は悉皆挫けてしまった。糟糠の妻だったから、大打撃だったに相違ないが、あのガムシャラな人が仏道に志したのだから驚く。会社へ来ていても、数珠を手放さない。瞑目唱名しな …
善根鈍根(新字新仮名)
読書目安時間:約28分
善良な人間は暗示が利く。尤も悪人でも利かないことはない。泥棒は皆暗示の産物だとも言える。元来手癖が悪く生れついて来る人間はない。何かの切っかけで、地道よりも邪まの方を手っ取り早いよ …
読書目安時間:約28分
善良な人間は暗示が利く。尤も悪人でも利かないことはない。泥棒は皆暗示の産物だとも言える。元来手癖が悪く生れついて来る人間はない。何かの切っかけで、地道よりも邪まの方を手っ取り早いよ …
脱線息子(新字新仮名)
読書目安時間:約3時間39分
寿商店の独息子新太郎君が三度目の診察を受けた時、丹波先生は漸く転地を勧めてくれた。 「山が好いでしょう。一月ばかり呑気に遊んで来れば直りますよ」 と子供の頃から手にかけているから、 …
読書目安時間:約3時間39分
寿商店の独息子新太郎君が三度目の診察を受けた時、丹波先生は漸く転地を勧めてくれた。 「山が好いでしょう。一月ばかり呑気に遊んで来れば直りますよ」 と子供の頃から手にかけているから、 …
田園情調あり(新字新仮名)
読書目安時間:約20分
「秋ちゃん」 と水町君が見つけて、人の肩越しに呼びかけた。混んでいる汽車の中だった。 「あらまあ!」 ふり返った秋ちゃんは水町君の風体まで認識して、 「磯釣?」 と言い当てた。 「 …
読書目安時間:約20分
「秋ちゃん」 と水町君が見つけて、人の肩越しに呼びかけた。混んでいる汽車の中だった。 「あらまあ!」 ふり返った秋ちゃんは水町君の風体まで認識して、 「磯釣?」 と言い当てた。 「 …
変人伝(新字新仮名)
読書目安時間:約21分
「勉強しないと、東京の叔父さんのところへやってしまいますよ」 僕が中学生の頃、母は然う言って驚かすのが常だった。叔父は母の弟だ。父は女学校の先生だけれど、叔父は高等学校の先生だから …
読書目安時間:約21分
「勉強しないと、東京の叔父さんのところへやってしまいますよ」 僕が中学生の頃、母は然う言って驚かすのが常だった。叔父は母の弟だ。父は女学校の先生だけれど、叔父は高等学校の先生だから …
母校復興(新字新仮名)
読書目安時間:約14分
私立中学校の同窓生懇親会である。卒業生は在学生と違って時間を守る責任を感じない。学校当局もそれを見越して五時に始めるところを謄写版の案内状には四時と書いた。それでも定刻少し過ぎると …
読書目安時間:約14分
私立中学校の同窓生懇親会である。卒業生は在学生と違って時間を守る責任を感じない。学校当局もそれを見越して五時に始めるところを謄写版の案内状には四時と書いた。それでも定刻少し過ぎると …
凡人伝(新字新仮名)
読書目安時間:約3時間23分
帝大を卒業したものは好い学校を卒業したと思っているに相違ない。官僚国日本にあっては、帝大卒業ほど好都合の条件はない。早稲田を出たもの、慶応を出たもの、それ/″\母校に満足している。 …
読書目安時間:約3時間23分
帝大を卒業したものは好い学校を卒業したと思っているに相違ない。官僚国日本にあっては、帝大卒業ほど好都合の条件はない。早稲田を出たもの、慶応を出たもの、それ/″\母校に満足している。 …
負けない男(新字新仮名)
読書目安時間:約3時間24分
就職難といっても、その頃は世の中が今日ほど行き詰まっていなかった。未だ/\、大学即ち帝大の時代で、一手販売だったから、贅沢さえ言わなければ、新学士は何処かにはけ口があった。その証拠 …
読書目安時間:約3時間24分
就職難といっても、その頃は世の中が今日ほど行き詰まっていなかった。未だ/\、大学即ち帝大の時代で、一手販売だったから、贅沢さえ言わなければ、新学士は何処かにはけ口があった。その証拠 …
村一番早慶戦(新字新仮名)
読書目安時間:約34分
東金君と僕は何の因果だろう?小学校から一緒で竹馬の友だ。現在も友情を誓っている。喧嘩一つしたことのない仲だけれど、昨今はお互に好かれと祈らない。始終競争意識に囚われている。僕は込み …
読書目安時間:約34分
東金君と僕は何の因果だろう?小学校から一緒で竹馬の友だ。現在も友情を誓っている。喧嘩一つしたことのない仲だけれど、昨今はお互に好かれと祈らない。始終競争意識に囚われている。僕は込み …
村の成功者(新字新仮名)
読書目安時間:約1時間24分
乗合自動車は又々坂へ差しかゝった。○○町の中学校から村へ帰る卓造君は隅っこに大きな体躯を縮めて居睡りをしていた。連日の学期試験が今朝終った。これから長い暑中休暇が始まる。 「この切 …
読書目安時間:約1時間24分
乗合自動車は又々坂へ差しかゝった。○○町の中学校から村へ帰る卓造君は隅っこに大きな体躯を縮めて居睡りをしていた。連日の学期試験が今朝終った。これから長い暑中休暇が始まる。 「この切 …
嫁取婿取(新字新仮名)
読書目安時間:約2時間56分
「これ/\、俊一、二郎、じゃあなかった。英彦、いや、雅男、一寸その新聞を取っておくれ。そのお前の側にあるのを」 と、山下さんはこれを能くやる。男の子を一人呼ぶのに、家中の名前を口に …
読書目安時間:約2時間56分
「これ/\、俊一、二郎、じゃあなかった。英彦、いや、雅男、一寸その新聞を取っておくれ。そのお前の側にあるのを」 と、山下さんはこれを能くやる。男の子を一人呼ぶのに、家中の名前を口に …
ロマンスと縁談(新字新仮名)
読書目安時間:約28分
会社に勤めること三年余、僕も少し世の中が分って来たような心持がする。公私、いろ/\と教えられるところがあった。 公に於ては、上のものに認められなければ駄目だと悟った。出世の階段を自 …
読書目安時間:約28分
会社に勤めること三年余、僕も少し世の中が分って来たような心持がする。公私、いろ/\と教えられるところがあった。 公に於ては、上のものに認められなければ駄目だと悟った。出世の階段を自 …
“佐々木邦”について
佐々木 邦(ささき くに、1883年(明治16年)5月4日 - 1964年(昭和39年)9月22日) は、日本の作家・英文学者。慶應義塾大学教授、明治学院大学教授を歴任。弟・順三は立教大学総長。
(出典:Wikipedia)
(出典:Wikipedia)
“佐々木邦”と年代が近い著者
きょうが命日(12月19日)
池田亀鑑(1956年)
今月で生誕X十年
ラデャード・キプリング(生誕160年)
ライネル・マリア・リルケ(生誕150年)
野口米次郎(生誕150年)
瀬沼夏葉(生誕150年)
相馬泰三(生誕140年)
山中峯太郎(生誕140年)
観世左近 二十四世(生誕130年)
平山千代子(生誕100年)
今月で没後X十年
アウグスト・プラーテン(没後190年)
フィオナ・マクラウド(没後120年)
徳永保之助(没後100年)
エドワード・シルヴェスター・モース(没後100年)
寺田寅彦(没後90年)
生田葵山(没後80年)
百田宗治(没後70年)
安井曽太郎(没後70年)
米川正夫(没後60年)
今年で生誕X百年
平山千代子(生誕100年)
今年で没後X百年
大町桂月(没後100年)
富ノ沢麟太郎(没後100年)
細井和喜蔵(没後100年)
木下利玄(没後100年)
富永太郎(没後100年)
エリザベス、アンナ・ゴルドン(没後100年)
徳永保之助(没後100年)
後藤謙太郎(没後100年)
エドワード・シルヴェスター・モース(没後100年)