“何方”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
どちら33.3%
どっち19.9%
どつち15.4%
どなた10.7%
いづかた6.0%
いずかた5.1%
いづれ1.6%
どこ1.6%
いづく1.1%
いづこ0.9%
いずれ0.9%
いづち0.4%
どれ0.4%
どツち0.4%
どっか0.2%
どつか0.2%
いずく0.2%
いずち0.2%
いづし0.2%
いづべ0.2%
どち0.2%
どちち0.2%
どつら0.2%
どッち0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それにもう一つ悲しいことには、わたし達はそのとき、二人とも寡婦やもめになっていました。何方どちらも、良人おっとが戦争に出て戦死したのです。
二人の母親 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
「元来豪傑気取のところへ、勲章を貰ってから誇大妄想こだいもうそうが手伝っています。西郷どんとガラマサどんと何方どっちだろうなんて言いますよ」
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
『まァ、大層たいそうよろこんでること』あいちやんはおもつてほもつゞけました。『をしへて頂戴てうだいな、ね、わたし此處こゝから何方どつちけばいの?』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
新「何方どなたですか此方こちらへお上りなさい、お客でも何でも有りませんよ、親類のもので………おい師匠お前ちょいとのお方を此方こっちへ」
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
文中里恵のために分疏して、「当方後室も泉蔵様始家内御一統へ宜申上候様被申付候、未大喪中同人よりは何方いづかたへも書状相控罷在候」
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
そのほかに何方いずかたよりか千疋の借金を宗祇にしてもらったことが、三度ほど日記に見えており、千疋以下の借入れを頼んだこともある。
彼はいたへればすべて知らず、町の殷賑にぎはひながりて、何方いづれを指して行かんとも心定らずしばらく立てるなりけり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
何方どこの蕎麦屋へでも早く往って大蒸籠おおぜいろか何かそう云って来な、駈け出して往って来い、コヽ跣足はだしで往け、へい申し旦那
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
流轉るてんうまはせては、ひめばれしこともけれど、面影おもかげみゆる長襦袢ながじゆばんぬひもよう、はゝ形見かたみ地赤ぢあかいろの、褪色あせのこるもあはれいたまし、ところ何方いづく
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
よきに隨ひてきは格別、浮世の浪風さかしまに當りて、道のちまたの二筋にいざや何方いづこと决心の當時、不運の一あほりに炎あらぬ方へと燃えあがりては
暗夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
蹌踉そうろうとして、座にも堪えないように立ち上って、何方いずれともなく出て行ってしまいました。
女記者の役割 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
「霞ゐる富士の山傍やまびに我がなば何方いづち向きてか妹が嘆かむ」(巻十四・三三五七)の、「我が来なば」も、「我が行かば」という意になるのである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
昨日きのふ此近傍このあたりうはさけば松島まつしまさまは世間せけん評判ひようばんかたおくさまたうならどりにやまほどなれど何方どれもおことはりで此方こなたへのおいで孃樣ぢようさまうへにばかりりがちがうか
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
べやう、其爲そのためにわたしが、もつとおほきくなればかぎとゞくし、またちひさくなればしたはれる、何方どツちにしろわたし其花園そのはなぞのられる、うなつてもかまはない!
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
拾五円でも宜いから何方どっかへ出して遣ってくれないかと云った。代助は自分ながら、どんな返事をしたか分らない位気にも留めなかった。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
十五円でもいから何方どつかしてつて呉れないかと云つた。代助は自分ながら、んな返事をしたかわからない位気にもめなかつた。たゞこゝろのうちでは、門野どころか、このおれあやしい位だと思つた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
二人をにらみ据えて言葉も荒々しく、政宗謀叛とは初めより覚悟してこそ若松を出でたれ、何方いずくにもあれ支えたらば踏潰ふみつぶそうまでじゃ、明日あすは早天に打立とうず、とののしった。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
この家にて或る年田植たうえ人手ひとでらず、明日あすそらあやしきに、わずかばかりの田を植え残すことかなどつぶやきてありしに、ふと何方いずちよりともなくたけひく小僧こぞう一人来たりて
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
植竹うゑたけもとさへとよでてなば何方いづしきてかいもなげかむ 〔巻十四・三四七四〕 東歌
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
をり々あの家にゆきて、せ給ふ人の一三五菩提ぼだいとぶらはせ給ふなり。此の翁こそ月日をもしらせ給ふべしといふ。勝四郎いふ。さては其の翁のみ給ふ家は何方いづべにて侍るや。あるじいふ。
明くる日、男は、「私共は二食で、朝飯あさめしを十時にやります。あなた方はおかまいなく」と何方どちが主やら客やらからぬ事を云う。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
何方どちちかと謂へば、落着おちつついた、始終しじう やはらかなみたゝよツてゐる内氣うちきらしい眼だ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
『さあ、何方どつらだたべす。』
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
私は何方どッちへ廻っても、矢張やッぱりだ。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)