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何方
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どちら
ふりがな文庫
“
何方
(
どちら
)” の例文
それにもう一つ悲しいことには、わたし達はそのとき、二人とも
寡婦
(
やもめ
)
になっていました。
何方
(
どちら
)
も、
良人
(
おっと
)
が戦争に出て戦死したのです。
二人の母親
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
「ぢや、
姉
(
ねい
)
さんは
何方
(
どちら
)
が
好
(
すき
)
だと
仰
(
おつ
)
しやるの」と、妹は姉の手を引ツ張りながら、
面
(
かほ
)
顰
(
しか
)
めて
促
(
うな
)
がすを、姉は空の
彼方
(
あなた
)
此方
(
こなた
)
眺
(
なが
)
めやりつゝ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
例へば帽子を冠るにもリボンの
結目
(
ゆはひめ
)
を左にして冠るべきか右にして冠るべきか、その
何方
(
どちら
)
かゞ正しければ、何方かゞ間違つてゐる。
些細なやうで重大な事
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
卓子
(
テーブル
)
の
側
(
そば
)
が
僅
(
わづか
)
に
少
(
すこ
)
しばかり
明
(
あか
)
るいだけで、
其
(
そ
)
の
外
(
ほか
)
は
電灯
(
でんとう
)
一
(
ひと
)
つ
点
(
つ
)
けず、
真黒闇
(
まつくらやみ
)
のまゝで
何処
(
どこ
)
を
何方
(
どちら
)
に行つて
宜
(
い
)
いかさツぱり
分
(
わか
)
らぬ。
検疫と荷物検査
(新字旧仮名)
/
杉村楚人冠
(著)
是非来月で無ければ成らないと云う訳もありませんから、
約
(
つま
)
り
貴下
(
あなた
)
や市郎さんの
思召
(
おぼしめし
)
次第で……妾の方は
何方
(
どちら
)
でも
宜
(
よろ
)
しいのです。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
新「少々
伺
(
うかゞ
)
いとう存じます、あすこの
御堂
(
おどう
)
の
後
(
うしろ
)
に新らしい牡丹の花の灯籠を
手向
(
たむ
)
けてあるのは、あれは
何方
(
どちら
)
のお墓でありますか」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
二人は前から顔見知りですから、『やあ。』『やあ。』といつたわけです。『暁臺先生はこれから
何方
(
どちら
)
へ。』と以南さんがきかれました。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
何方
(
どちら
)
から誘うともなく、地獄の門のように鎖された鉄の扉を離れて、屋上に作られた、ささやかな温室の方へ歩を移しました。
新奇談クラブ:04 第四夜 恋の不在証明
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
自然、古くからの情実にからまれた同志が
何方
(
どちら
)
にもよらずさわらずにゐる外は、二人の周囲に集る顔ぶれも違つて来てゐた。
監獄挿話 面会人控所
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
晩年には
服装
(
なり
)
なぞも余り構わなかったし、身体は
何方
(
どちら
)
かと云えば痩せぎすな、少し肩の怒った人で、髪なぞは長くしていた。
北村透谷の短き一生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
かれは
何方
(
どちら
)
かと言へば狭い一室の
卓
(
テイブル
)
の
傍
(
かたはら
)
にある椅子に腰を
下
(
おろ
)
して、さう大した明るいとは言へない光線の
下
(
もと
)
に、
寝床
(
ベツト
)
の上に敷かれた白いシイトや
犬
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
……昌作さんもナンですが、(と信吾を見て)失礼乍ら
貴君
(
あなた
)
も好い御体格ですな。五寸……六寸位はお有りでせうな?
何方
(
どちら
)
がお高う御座います?
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
二人の間に介在する私が
何方
(
どちら
)
の思想にも点頭くといふやうなお調子者であつたから、私さへ居れば三角的の平和が辛うじて保たれてゐるのであつた。
歌へる日まで
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
萬世橋
(
よろづよばし
)
へ
參
(
まゐ
)
りましたがお
宅
(
たく
)
は
何方
(
どちら
)
と
軾
(
かぢ
)
を
控
(
ひか
)
へて
佇
(
たゝず
)
む
車夫
(
しやふ
)
、
車上
(
しやじやう
)
の
人
(
ひと
)
は
聲
(
こゑ
)
ひくゝ
鍋町
(
なべちやう
)
までと
只
(
たゞ
)
一言
(
ひとこと
)
、
車夫
(
しやふ
)
は
聞
(
き
)
きも
敢
(
あ
)
へず
力
(
ちから
)
を
籠
(
こ
)
めて
今
(
いま
)
一勢
(
いつせい
)
と
挽
(
ひ
)
き
出
(
いだ
)
しぬ
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「それですから、私、
何方
(
どちら
)
の念が届きますか、近い中にお分りになりましょうと申上げて置いたんでございますわ」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
ところがそうして毎日々々二人きりでさし向いの
為事
(
しごと
)
をしている中に、
何方
(
どちら
)
から云い出すともなく、小野と美代子はつい過ちを犯してしまったのである。
遺書に就て
(新字新仮名)
/
渡辺温
(著)
水の音は
何方
(
どちら
)
からともなく聞えて来る。耳を左に傾ければ左の方に当って聞えた。その方へと歩んで見ると、水の音は、どうやら右の方に当って聞える。
薔薇と巫女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「
貴方
(
あなた
)
どうせ御飯前でゐらつしやいませう。ここでは、御話も出来ませんですから、
何方
(
どちら
)
へかお供を致しませう」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「さうかも知れないね。
何方
(
どちら
)
の
仏蘭西
(
フランス
)
語が悪いのか知らないが、よく通じないままで金を払つて来たのだから。」
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
コペルニカスの地動説が真理であろうが、トレミーの天動説が真理であろうが、そういうことは
何方
(
どちら
)
でもよい。
愚禿親鸞
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
青年は車は
何方
(
どちら
)
の方へ往くだろうと思って、見たかったがすっかり扉が締っているので見ることが
能
(
でき
)
なかった。
賈后と小吏
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
右は
何方
(
どちら
)
もナズナであって、前者をオオナズナといい後者を単にナズナと称えて区別する。けれども決して別種ではなく共に花穂も花も果実も同じである。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
その人もをりをり、老人に
随
(
つ
)
いて謡をうたつた。直されては同じ所を幾度もくり返した。丁度に謡へないので、
何方
(
どちら
)
も笑つては止めてしまふのが例であつた。
秋の第一日
(新字旧仮名)
/
窪田空穂
(著)
又は
座右
(
ざゆう
)
に欠くべからざる必要品として価の廉不廉に
拘
(
かか
)
わらず
重宝
(
ちょうほう
)
がられるのか
何方
(
どちら
)
かでなければならない。
余と万年筆
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「へい、
何方
(
どちら
)
で、」と
云
(
い
)
ふのが、
赤
(
あか
)
ら
顏
(
がほ
)
の
髯
(
ひげ
)
もじやだが、
莞爾
(
につこり
)
と
齒
(
は
)
を
見
(
み
)
せた、
人
(
ひと
)
のよささうな
親仁
(
おやぢ
)
が
嬉
(
うれ
)
しく
大阪まで
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と云いながら肩を
叩
(
たた
)
いたので、おや、
何方
(
どちら
)
へいらっしゃいましたと、うっかり出てしまって、
慌
(
あわ
)
てて口を
噤
(
つぐ
)
んだが、不意にうしろから現れたところを見ると
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
十一違ひと九つ違ひの
姉
(
ねえ
)
さんの
何方
(
どちら
)
かが着て居ましたのは恐らく私の生れない時分だつたらうと思ひます。
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
... なに
短銃
(
ぴすとる
)
で無い短剣だッたと云う筈だのに」目科は簡単に「左様さ」と答えしが更に又「
併
(
しか
)
し
何方
(
どちら
)
とも云れぬよ罪人には随分思いの外に狂言の上手な奴が有て、 ...
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
忠左衛門と内蔵助と、
何方
(
どちら
)
も、ことば数の少い者同士が、
二言
(
ふたこと
)
三言に、
万感
(
ばんかん
)
を語りあっていると、九郎兵衛は用ありげに、その間に広間の方へ立ち去っていた。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
甲市人 マーキューシオーを
殺
(
ころ
)
した
奴
(
やつ
)
は
何方
(
どちら
)
へ
逃
(
に
)
げました?
人殺
(
ひとごろ
)
しのチッバルトは
何方
(
どっち
)
へ
逃
(
に
)
げました?
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
それに
何方
(
どちら
)
を向いても、山ばかりのこの寂しい町で、雪の深い長い一冬を越すことは、今まで
賑
(
にぎや
)
かな
市
(
まち
)
にいたおかなに取っては、穴へ入るほど心細い仕事であった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
昌允 さあ、そう念を押されても困るんだが、まあ
綺麗
(
きれい
)
でもいいですよ。
何方
(
どちら
)
が綺麗だと思います。
華々しき一族
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
一市間
(
ひといちあい
)
に一度か二度、同じようなる人四五人集まりきて、何事か話をなし、やがて
何方
(
どちら
)
へか出て行くなり。食物など外より持ち来たるを見れば町へも出ることならん。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
それに先生は教育家で、
何方
(
どちら
)
かといえばじみな商売、我輩は政治家で本来
華手
(
はで
)
な商売であるから、他人からの見た目は非常に違うが、その行き方は恐らく少しも違わない。
福沢先生の処世主義と我輩の処世主義
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
母娘
(
おやこ
)
は
顏
(
かほ
)
をみあはせましたが、
寂
(
さび
)
しさうにその
何方
(
どちら
)
からも
何
(
なん
)
とも
言
(
ゆ
)
はず、そして
※
(
かな/\
)
のうしろ
姿
(
すがた
)
がすつかり
見
(
み
)
えなくなると、またせつせと
側目
(
わきめ
)
もふらずに
織
(
を
)
り
出
(
だ
)
しました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
『
左樣
(
さやう
)
。いや
探偵
(
たんてい
)
にしろ、
又
(
また
)
私
(
わたくし
)
に
窃
(
ひそか
)
に
警察
(
けいさつ
)
から
廻
(
ま
)
はされた
醫者
(
いしや
)
にしろ、
何方
(
どちら
)
だつて
同樣
(
どうやう
)
です。』
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
曇った空は、いよいよ低く下りて来て、西東、
何方
(
どちら
)
へ吹くとも知れぬ迷った風が、折々さっと吹き下りる。その
度毎
(
たびごと
)
に、破れた蓮の葉は、ひからびた茎の上にゆらゆら動く。
曇天
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「君は
何方
(
どちら
)
なんです、牛と
薯
(
いも
)
、エ、薯でしょう?」と上村は知った顔に岡本の説を
誘
(
いざの
)
うた。
牛肉と馬鈴薯
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
粕谷さんの宅は
何方
(
どちら
)
と云うたら、かみさんはふッと
噴
(
ふ
)
き出して、「粕谷た人の名でねェだよ、粕谷って処だよ」と笑って、粕谷の石山と云う人が耶蘇教信者だと教えてくれた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
噴火山は大概休んでゐるか、又は現に煙を噴いてゐるかの、
何方
(
どちら
)
かだ。しかし、其の休んでゐる山でも、時々
轟々
(
ごうごう
)
唸つたり震えたりして、焼け
爛
(
ただ
)
れた物を滝のやうに噴き出す。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
そこで、
何方
(
どちら
)
でも、
早
(
はや
)
く
橄欖島
(
かんらんたう
)
に
到着
(
たうちやく
)
した
方
(
ほう
)
は、
向
(
むか
)
ふ
一週間
(
いつしゆうかん
)
の
間
(
あひだ
)
、
其
(
その
)
島
(
しま
)
の
附近
(
ふきん
)
で
待合
(
まちあ
)
はせ、
一週間
(
いつしゆうかん
)
※
(
すぎ
)
て
後
(
のち
)
も
他
(
た
)
の
一方
(
いつぽう
)
が
見
(
み
)
えぬ
時
(
とき
)
には、
最早
(
もはや
)
運命
(
うんめい
)
の
盡
(
つき
)
と
覺悟
(
かくご
)
を
定
(
さだ
)
める
筈
(
はづ
)
であつた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
空には焼け爛れた円盤のような太陽がギラギラと輝いて居り、地には無数の獣の足跡が斑紋を
為
(
な
)
して着いていました。
何方
(
どちら
)
を眺めても人影は無く、まして人声などは聞えません。
沙漠の歌:スタンレー探検日記
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「まあ! お美しい方! 御結婚のお写真でございますね、
何方
(
どちら
)
さんでございます?」
蛇性の執念
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
そっと時折ひそめる表情の多い眉毛は末子である、顔全体は全く
吃驚
(
びっくり
)
する程二人に似ていた。
何方
(
どちら
)
かと云えば末子により多く似ていただろう。背は低かった。髪は少し茶っぽかった。
青べか日記:――吾が生活 し・さ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
何方
(
どちら
)
かがそれ等の雪白き連山の見取図を描き、教えられるままに山々の名を書いて、永遠に保存することが出来たろう、という事である、直木はそんな見取図を描くことが好きであり
それからそれ:書斎山岳文断片
(新字新仮名)
/
宇野浩二
(著)
「お嬢さんのと僕のと、
何方
(
どちら
)
が掌面が大きいのでせう、一つ比べてみませんか。」
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
何方
(
どちら
)
にも解し得ると思うが、再案するに「峯の松見る曇かな」という十二字には、しずかに落著いた空気が含まれているので、現に火が燃えている——山を焼きつつあるものとすると
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
『
啄
(
つツつ
)
くわ』と、
愛
(
あい
)
ちやんは
注意
(
ちうい
)
したものゝ、
全
(
まつた
)
く
試
(
ため
)
しても
關
(
かま
)
はないと
云
(
い
)
ふ
風
(
ふう
)
で。『
然
(
さ
)
う/\』
云
(
い
)
つて
公爵夫人
(
こうしやくふじん
)
は、
紅鶴
(
べにづる
)
と
芥子菜
(
からしな
)
とは
何方
(
どちら
)
もつッつく。
其
(
そ
)
れの
徳義
(
とくぎ
)
は——『
類
(
るゐ
)
を
以
(
もつ
)
て
集
(
あつ
)
まる ...
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
戦争の翌朝英艦から陸に
向
(
むかっ
)
て発砲しても陸から応砲もせぬと云えばこりゃ薩摩の負師のように当る、勝たと云えば
何方
(
どちら
)
も勝た、負けたと云えば
何方
(
どちら
)
も負けた、
詰
(
つま
)
り勝負なしとした所で
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
余程急に出立でもしなければならないのか、又はその転地が夫婦にとって余程の大事件であるか、
何方
(
どちら
)
にしろ只ごとではないと思わせた動顛と苦しさとが彼女の全身に漲っていたのである。
或る日
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
何
常用漢字
小2
部首:⼈
7画
方
常用漢字
小2
部首:⽅
4画
“何方”で始まる語句
何方様
何方付
何方側
何方樣
何方迄