“佇”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
たたず77.8%
8.0%
たゝず6.7%
たた3.0%
0.9%
どま0.9%
0.6%
たちどま0.4%
たゞず0.4%
とど0.4%
(他:4)0.9%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
“佇”を含む作品のジャンル比率
文学 > 日本文学 > 小説 物語10.7%
文学 > 日本文学 > 詩歌2.4%
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)1.8%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
新婚後まだ何日も経たない房子は、西洋箪笥たんすの前にたたずんだまま、卓子テーブル越しに夫へ笑顔えがおを送った。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ただそこにたたずんだまま、とぼしい虫のに聞き入っていると、自然と涙が彼の頬へ、冷やかに流れ始めたのである。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
淋しい夕暮の港にって、遠ざかってゆく汽船を見送る時に、誰もが味うような、核心のない侘しさを感じていたのである。
日蔭の街 (新字新仮名) / 松本泰(著)
帝は妙な顔して、彼の弁にまかせていた。やがて話がほかにそれると、侍座じざっていた楊曁ようきはどこかへ立ち去った。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
悪い奴は悪い奴で、おやまのうちの軒下へたゝずんで様子を聞くと、おやま山之助は、何かこそ/\話をしている様子でございます。
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
手を伸べて燈をき消せば、今までは松の軒にたゝずみ居たる小鬼大鬼共哄々と笑ひ興じて、わが広間をうづむる迄に入り来れり。
松島に於て芭蕉翁を読む (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
自分の問は前よりなお露骨であった。母は黙ってそこにたたずんでいた。自分は母の表情に珍らしく猜疑さいぎの影を見た。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ある夜更よふけに冷たい線路にたたずみ、物思いに沈む抱月氏を見かけたというのもそのころの事であったろう。
松井須磨子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
けれども、それから人ごみの中を二三百歩ばかり一直線に歩いて来ると彼はハタと足をめた。
その声が耳に止まった福太郎はフト足をめて、背後うしろ闇黒やみを振り返った。
斜坑 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
診察室のドアを後ろ手に静かに閉めますと、私一人しかいない室内をジロリと一眼見まわしながら立ちどまって、慇懃いんぎんに帽子をって
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
階段の半分を降りきった、折り返しのところで、突然、下から、音もなく昇って来られた方と、危うく衝突する様になって、立ちどまったのでございます。
両面競牡丹 (新字新仮名) / 酒井嘉七(著)
物の音。——つた つたと來て、ふうとち止るけはひ。耳をすますと、元の寂かな夜に——タギクダる谷のとよみ。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
物の音。——つた つたと來て、ふうとち止るけはひ。耳をすますと、元の寂かな夜に、——タギクダる谷のとよみ。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
風がすそをあおって行こうと、自転車が、人が、犬がり抜けて通って行こうと、逸作は頓着とんじゃくなしにぬけぬけとたちどまって居る。
かの女の朝 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
宗右衛門は、すつかりそれに見惚みとれてたちどまつてゐた。
老主の一時期 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
灣口わんこうづるまで、わたくし春枝夫人はるえふじん日出雄少年ひでをせうねんとを相手あひて甲板上かんぱんじやうたゞずんで
函館の棧橋さんばしからそこへ通ふ小蒸汽船に乘つて、暗褐色あんかつしよくの波のたゆたゆとゆらめく灣内わんないなゝめに横切る時、その甲板かんぱんに一人たゞずんでゐた私の胸にはトラピスト派の神祕な教義と
処女作の思い出 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
向うから来た釜形かまがたとがった帽子をずいて古ぼけた外套がいとう猫背ねこぜに着たじいさんがそこへ歩みをとどめて演説者を見る。
カーライル博物館 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
又、その中央の広場の真中には、赤い三角型の頭巾ずきんを冠って、黒い長い外套を羽織った鼻の高い老婆がタッタ一人、撞木杖しゅもくづえを突いて立ちとどまっているが、如何にも手柄顔に火刑柱ひあぶりばしらの三人の苦悶を
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
赤猪口兵衛はここで立まってチンと手涕をかんだ。そうして又ヨチヨチと歩き出した。
思わず二三歩走り出しながらギックリと立ちまって、汗ばんだひたいで上げつつ線路の前後を大急ぎで見まわしたが、勿論、そこいらに人間が寝ている筈は無かった。
木魂 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ほんとうに、黙然とやや暫し、そこにただずみながら、血刀をさげたままで、何ごとか沈吟しているもののようでしたが、と見て、塀の上からおどりおりつつ、駈けよって来た京弥を見迎えながら、突如、わびしげに、呟くごとく言いました。
若い男は女をみると、一時立竦たちすくむようにとまり、まさ眼には見られないが、しかし身体中から何かを吸出されるように、見ないわけにはゆかないといった。
富士 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)