“佇”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
たたず77.5%
7.9%
たゝず6.6%
たた3.0%
どま1.1%
0.7%
たゞず0.6%
0.6%
0.4%
ただず0.4%
たちどま0.4%
とど0.4%
たたずん0.2%
たゝ0.2%
とま0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
裏藪の中に分け入ってむと、まだ、チチッとしか啼けないの子が、自分のの中からでも飛んだように、すぐ側から逃げて行く。
死んだ千鳥 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
暖かそうな黄八丈の丹前を着た師匠の圓生が、朱いろの日の中に朝酒で染めた頬をかがやかして、さも面白そうに笑ってっていた。
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
よりけてすは見違へねどもらぬ芳之助姿なりならでたぬひもらずむかげにかされて
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
が、ずんで一寸何か考えたらしい青年は、思い切ったように、グン/\家の中へ入って行った。ステッキを元気に打ち振りながら。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
階段の半分を降りきった、折り返しのところで、突然、下から、音もなく昇って来られた方と、危うく衝突する様になって、立ちったのでございます。
両面競牡丹 (新字新仮名) / 酒井嘉七(著)
しかしそのの外側を七分通りって、ちょうど台所の裏手に当っている背戸の井戸まで来ると、草川巡査はピタリと足をめた。
巡査辞職 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
三四郎は此名前を読んだ儘、しばらく戸口の所でんでゐた。田舎者だからするなぞと云ふ気の利いた事はやらない。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
つた つたと來て、ふうとち止るけはひ。耳をすますと、元の寂かな夜に、——る谷のとよみ。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
おんなじ処に立ちまって、くり返しくり返しおんなじ処を見まわしたので、そこいらに横たわっている数本の枕木の木目や節穴、砂利の一粒一粒の重なり合い
木魂 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
この時まで附近の小路の中に、ひそかにみ身を隠し、様子を見ていた一人の男が、ツカツカとこの時出て来たのであった。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
或日秋の日暮れがたであつた。宗右衛門は、すつかりそれに見惚れてつてゐた。その女菩薩が妙に宗右衛門の性慾を刺戟したのであつた。女菩薩の画像は等身大であつた。
老主の一時期 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
赤い三角型の頭巾を冠って、黒い長い外套を羽織った鼻の高い老婆がタッタ一人、撞木杖を突いて立ちまっているが、如何にも手柄顔に火刑柱の三人の苦悶を、貴人に指し示しつつ
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そのまま学生が立ち帰った事——その夜起った殺人事件——死骸に傷の無かった事——二人で浅草へ行った事——新井君が蛇のいない檻の前で暫くで居った事——それから事務所へ行った事——道で刑事に逢った事——新井君がボーイの放免を
広東葱 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
御米のない眞中に、少時ずんでゐたが、やがて右手下女部屋を、のしないにそつといて、洋燈した。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
若い男は女をみると、一時立竦むようにり、まさ眼には見られないが、しかし身体中から何かを吸出されるように、見ないわけにはゆかないといった。
富士 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)