どま)” の例文
階段の半分を降りきった、折り返しのところで、突然、下から、音もなく昇って来られた方と、危うく衝突する様になって、立ちどまったのでございます。
両面競牡丹 (新字新仮名) / 酒井嘉七(著)
伯父さんの家とは私達が今立ちどまっているすぐ前の金物店であったが、相当の生活をしているのでお巻さん親子の生活費の幾分を補助しているらしかった。
それから開け放されたままのの中へ、中腰のままジリジリと歩み入って、向うの窓際まで一歩一歩と近づいて来ると、両足を力一パイ踏み締めて立ちどまった。
白菊 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
其処そこで、どまって、ちょっと気をけたが、もうんでひっそりする。——秋の彼岸過ぎ三時さがりの、西日が薄曇うすぐもった時であった。この秋の空ながら、まだ降りそうではない。
海の使者 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
道に沿って草原を囲むように、灌木かんぼくと松林が伸びている。秀之進はそこで立ちどまった。
新潮記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
診察室のドアを後ろ手に静かに閉めますと、私一人しかいない室内をジロリと一眼見まわしながら立ちどまって、慇懃いんぎんに帽子をって、中禿を巧みに隠した頭を下げました。
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
町筋を半丁ばかりも来かかると、お巻さんはふと立ちどまって思案しいしい私に言った。
が、電車通りまで出ると、朴はふと立ちどまって言った。