“留”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
と26.8%
とど26.8%
とま13.4%
や6.3%
とゞ5.0%
とめ5.0%
とどま4.4%
とゞま2.2%
どま2.2%
ルーブル2.0%
ルーブリ1.7%
ど1.6%
どめ0.6%
とどめ0.5%
トド0.3%
たま0.2%
とどむ0.2%
とむ0.2%
とヲま0.2%
やめ0.2%
りゅう0.2%
ルウブル0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そして、終戦後、めっきり増えて来た、ちんぴらの不良少女や、若い露天商の女の粗末（）な刺青なぞは殆（）んど眼にも留（）めて来なかった。
刺青 (新字新仮名) ／ 富田常雄(著)
それは当分その地に留（）まり、充分看護に心を尽くすべしとか云う、森成さんに取ってはずいぶん厳（）かに聞える命令的なものであった。
思い出す事など (新字新仮名) ／ 夏目漱石(著)
爺さんはこんな事を云つて、頻りに女を慰めて居た。やがて汽車が留（）つたら、では御大事にと、女に挨拶をして元気よく出（）て行つた。
三四郎 (新字旧仮名) ／ 夏目漱石(著)
夜陰のこんな場所で、もしや、と思う時、掻消（）えるように音が留（）んで、ひたひたと小石を潜（）って響く水は、忍ぶ跫音（）のように聞える。
伯爵の釵 (新字新仮名) ／ 泉鏡花(著)
羅馬（）に七日（）、ナポリとポンペイに二日（）と云ふ駆歩（）の旅をして伊太利（）から帰つて見ると、予が巴里（）に留（）まる時日は残り少（）くなつて居る。
巴里より (新字旧仮名) ／ 与謝野寛、与謝野晶子(著)
と声を掛けたのは、主人万兵衛の甥（）で、藤屋の番頭をしている喜八の女房、綽名（）をガラ留（）と言われる、二十七八の大年増お留でした。
銭形平次捕物控：108 ガラッ八手柄話 (新字新仮名) ／ 野村胡堂(著)
お蔭（）で名誉（）は助（）かった。もう出発（）しましょう。こんな不徳義（）極（）る所（）に一分（）だって留（）っていられるものか。掏摸（）ども奴（）、墺探（）ども奴（）。
六号室 (新字新仮名) ／ アントン・チェーホフ(著)
私（）と、日出雄少年（）と、他（）に一群（）の水兵（）とは、陸（）に留（）つて、其（）試運轉（）の光景（）を眺（）めつゝ、花火（）を揚（）げ、旗（）を振（）り、大喝采（）をやる積（）りだ。
海島冒険奇譚　海底軍艦：05 海島冒険奇譚　海底軍艦 (旧字旧仮名) ／ 押川春浪(著)
是には往来の人もみんな心を動かしてゐる様に見える。立ち留（）るものもある。可哀想だといふものもある。然し誰（）も手を付けない。
三四郎 (新字旧仮名) ／ 夏目漱石(著)
諸君の空いて居る（）一留（）を政府にかせ。そして偉大な事業を完成させようではないか。劇場の内へ出張所をつくった。そこで詳細は知って下さい
日記：17 観劇日記（一九二九―一九三〇年） (新字新仮名) ／ 宮本百合子(著)
「ぢやあ、おいらが骨折つて、チェレヸークにパラースカを手ばなすことを納得させたら、お前さん去勢牛（）を二十留（）で譲るだかね？」
ディカーニカ近郷夜話　前篇：03 ソロチンツイの定期市 (新字旧仮名) ／ ニコライ・ゴーゴリ(著)
むろんそうした生徒は、先生に、「これは君までの話だ、他の生徒には絶対にもらさないように。」と懇々（）口留（）めされるのが常である。
次郎物語：04 第四部 (新字新仮名) ／ 下村湖人(著)
学習院の平素（）の制服といふのは、釦（）のない詰襟（）のホツク留（）だが、加之（）に帽子の徽章（）が桜の花になつてゐるので、どうかすると海軍士官に間違はれる。
茶話：02 大正五（一九一六）年 (新字旧仮名) ／ 薄田泣菫(著)
あわれ乞食僧は留（）を刺されて、「痛し。」と身体（）を反返（）り、涎（）をなすりて逸物（）を撫廻（）し撫廻し、ほうほうの体（）にて遁出（）しつ。
妖僧記 (新字新仮名) ／ 泉鏡花(著)
「——寸草（）留（）メズ、六根（）清浄（）ナリ。汝ノタメ剃ッテ除キ、争競（）ヲ免（）ガレ得（）セシム。……咄（）ツ、ミナ剃リ落セ」
新・水滸伝 (新字新仮名) ／ 吉川英治(著)
と其（）の坊主（）が話（）したんです。……ぢや、老爺（）さん——老人（）が貴下（）なら、貴下（）が坊主（）に話（）された、と云（）ふ、城（）ヶ沼（）の鯉（）鮒（）は、網（）で掬（）へば漁（）はあるが、畚（）に入（）れると直（）ぐに消（）えて、一尾（）も底（）に留（）らぬ。
神鑿 (新字旧仮名) ／ 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
恐ろしき襲撃の跡を留（）る落雷の木立に
珊瑚集：仏蘭西近代抒情詩選 (新字旧仮名) ／ 永井荷風(著)
○按（）るに、壻（）に水を灌（）ぐ事は、男の阳火（）に女の阴（）の水をあぶせて子をあらしむるの咒事（）にて、妻（）の火を留（）るといふ祝事（）也。
北越雪譜：03 北越雪譜初編 (新字旧仮名) ／ 鈴木牧之、山東京山(著)
余（）の他愛（）なさに、効無（）い殺生（）は留（）にしやう、と発心（）をした晩（）、これが思切（）りの網（）を引（）くと、一面（）城（）ヶ沼（）の水（）を飜（）して、大四手（）が張裂（）けるばかり縦（）に成（）つて、ざつと両隅（）から高（）く星（）の空（）へ影（）が映（）して
神鑿 (新字旧仮名) ／ 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
但し紅教は幻術（）を巧みにするものである。理藩院（）の尚書を勤める留（）という人が曾て西蔵（）に駐在しているときに、何かの事で一人の紅教喇嘛に恨まれた。そこで、或る人が注意した。
中国怪奇小説集：17 閲微草堂筆記（清） (新字新仮名) ／ 岡本綺堂(著)