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野川
野川で
鰌を
突くのであらう。
何処かで、かんてらの
火が
一つ、ぽつと
小さく
赤かつた。
火は
水に
影を
重ねたが、
八重撫子の
風情はない。……一つ
家の
鬼が
通るらしい。
一ツ
目小僧の
豆腐買は、
流灌頂の
野川の
縁を、
大笠を
俯向けて、
跣足でちよこ/\と巧みに
歩行くなど、
仕掛ものに成つて居る。
碧色——三尺の春の
野川の
面に宿るあるか無きかの
浅碧から、深山の
谿に
黙す日蔭の淵の
紺碧に到るまで、あらゆる階級の碧色——其碧色の中でも
殊に
鮮やかに煮え返える様な濃碧は