“鮮”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
あざや41.8%
あざ25.6%
あざやか16.2%
すくな5.2%
あたら4.5%
すく1.5%
あき0.7%
あざらけ0.7%
あざら0.7%
あた0.7%
フレッシュ0.5%
すくない0.2%
あきら0.2%
あきらか0.2%
あざら(け)0.2%
あたらし0.2%
あだや0.2%
0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ゆくてに高きは、曾遊そうゆうの八ヶ岳——その赤岳、横岳、硫黄いおう岳以下、銀甲つけて、そそり立つ。空は次第に晴れて山々もあざやかに現れる。
雪の武石峠 (新字新仮名) / 別所梅之助(著)
窓の半分を明るくした、秋の夜の月明り、すゝきの中にしよんぼり女の立つて居るのが、影繪のやうにあざやかに障子に映つて居るのです。
すると其時夕刊の紙面に落ちてゐた外光が、突然電燈の光に変つて、すりの悪い何欄かの活字が意外な位あざやかに私の眼の前へ浮んで来た。
蜜柑 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
江戸先哲の嘉言善行にして世に伝えらるるものは既にすくなくない。鷲津毅堂母子の逸事の如きは特に記すべき価なきものかも知れない。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
私のように冬でも夏でも年中川や海へ釣の旅をして、あたらしい魚をたしなんでいるものでも、秋がくると特に魚漿にうま味が出てくるのを感ずるのである。
秋の鮎 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
宇内うだいの大勢を揣摩しまし、欧洲の活局を洞観するの烱眼けいがんに到りては、その同時の諸家、彼に及ぶものすくなし、いわんや松陰においてをや。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
そして、這うが如く、なお断崖のへりまで行くと、眼の下の盆地に、忽然こつぜんと、あきらかな城廓じょうかくが望まれた。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一四しやうを殺しあざらけくら凡俗ぼんぞくの人に、法師の養ふ魚一五必ずしも与へずとなん。其の絵と一六俳諧わざごととともに天下あめがしたに聞えけり。
實に春秋にあざらけく、三三が九、二五十の理は珍らしからずと雖も、實に算數の術日に新に開くるも、畢竟此の外に出でざるに於けるをや。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
朝晩魚があたらしかつたり、庭先の砂地にかにが出てゐたり、隣家となりの井戸端に海水着が沢山干されてあつたりしてゐると、やはり避暑地の晴々とした安楽を感じる。
愚かな父 (新字旧仮名) / 犬養健(著)
氷河や山稜アレトの削りとられた鋭い輪廓は、立体的には見えないで、薄い、然しフレッシュな色彩で、大空に画かれた蜃気楼ミラージュのように思われた。
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
言語を鄭重ていちょうにしたり温和にすれば、すぐに巧言こうげんと解し、威儀をもって語れば令色れいしょくと曲解し、すぐにすくないかなじんと結論をくだす。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
雲の海は、怒濤どとうすがたを起しはじめた。——やがて濃尾のうびの平野はその下からあきらかに見え出してくる。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
突き出た大きな岩の手前まで来ると、その声はいよいよあきらかになった。
月世界競争探検 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
八〇白江しらえ熊谷くまがへの両士、きみ八一大御酒おほみきすすめたてまつるとて八二まめやかなるに、臣も八三あざら(け)き物一しゆ調てうじまゐらせんため、御従みともおくれたてまつりぬとまうす。
あの暗灰色の菱形ひしがたうおを、三角形に積んで、下積したづみになったのは、軒下の石にあいを流して、上の方は、浜の砂をざらざらとそのままだから、海の底のピラミッドを影でのぞあたらしさがある。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
其の状、あたかも緋色の房の如く、之を水に投ずれば、一層の艶を増してあだやかに活動し、如何なる魚類にても、一度び之を見れば、必ず嚥下えんかせずには已むまじと思われ、いよいよ必勝を期して疑わず。
大利根の大物釣 (新字新仮名) / 石井研堂(著)
頃は夏の最中もなか、月影やかなる夜であつた。僕は徳二郎のあとについて田甫たんぼに出で、稻の香高き畔路あぜみちを走つて川のつゝみに出た。堤は一段高く、此處に上れば廣々とした野面のづら一面を見渡されるのである。
少年の悲哀 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)