“嗜”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
たしな70.5%
たしなみ7.5%
たし6.5%
3.8%
この3.8%
すき3.4%
コノ1.0%
たしみ0.7%
0.7%
ごの0.3%
0.3%
すか0.3%
0.3%
0.3%
タシナ0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
予の母の、年老い目力衰へて、つねに予の著作を讀むことをたしなめるは、此書に字形の大なるを選みし所以の一なり。夫れ字形は大なり。
室は綺麗きれいに掃除されたり。床の間の掛物、花瓶かびん挿花さしばな、置物の工合なんど高雅に見えて一入ひとしおの趣きあるは書生上りの中川がたしなみあらず。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
さかうへ煙草屋たばこやにて北八きたはちたしところのパイレートをあがなふ。勿論もちろん身錢みぜになり。舶來はくらい煙草たばこ此邊このへんにはいまれあり。たゞしめつてあじはひならず。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
この奧州屋の新助しんすけは一体お世辞のい人で、芸者や何かを喜ばせるのがきな人だから、何か褒めようと思って方々ほう/″\見廻したが、何も有りません。
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
俺はそれを見たとき、胸がかれるような気がした。墓場をあばいて屍体をこのむ変質者のような残忍なよろこびを俺は味わった。
桜の樹の下には (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
此の通り徳利とくりを提げて来た、一升ばかり分けてやろう別に下物さかなはないから、此銭これで何ぞすきな物を買って、夜蕎麦売よそばうりが来たら窓から買え
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
あの方が壯盛ワカザカりに、捧術ホコユケコノんで、今にも事あれかしと謂つた顏で、立派なヨロヒをつけて、のつし/\と長い物をいて歩かれたお姿が、あれを見てゐて、ちらつくやうだなど
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
そういう履歴の人だから、箕浦は詩歌のたしみもあり、書は草書を立派に書いた。
堺事件 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
文化の進んだ帰化人の間の民俗が、はいからきの民衆の模倣を促さずに居る筈はない。
桃の伝説 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
ファウスト博士特有の装飾癖が壮観ごのみであるにもせよ、とうていそのような荒唐無稽こうとうむけいな事実が、現実に混同していようとは信じられぬのである。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
衣服、玩好がんこう、遊戯、一も彼のくものなし。机上一硯いっけん、一筆、蕭然しょうぜんたる書生のみ。最も読書を好み手に巻をてず、その抄録しょうろくしたるもの四十余巻ありという。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
ころは夏なりしゆゑ客舎やどりしいへにはかげにむしろをしきて納涼すゞみ居しに、主人あるじは酒をこのむ人にて酒肴しゆかうをこゝに開き、は酒をばすかざるゆゑ茶をのみて居たりしに
蓋し彼が酒をしむに至りしは此時に始まれる也。後来梁川星巌やながはせいがんをして其死を聞きて人伝麹蘖遂為災と歌はしめたる程の大酒家も三十九齢の当時までは酒量極めて浅かりし也。
頼襄を論ず (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
死んだ父も、さうした物は、アルヒは、おれよりもきだつたかも知れぬほどだが、もつと物に執著シフヂヤクが深かつた。現に、大伴の家の行く末の事なども、父はあれまで、心を悩まして居た。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
京中で、此恵美屋敷ほど、庭をタシナんだ家はないと言ふ。門は、左京二条三坊に、北に向いて開いて居るが、主人家族の住ひは、南を広くけて、深々とした山斎ヤマが作つてある。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)