)” の例文
この奧州屋の新助しんすけは一体お世辞のい人で、芸者や何かを喜ばせるのがきな人だから、何か褒めようと思って方々ほう/″\見廻したが、何も有りません。
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
僕も矢張、牛肉党に非ず、馬鈴薯党にあらずですなア、然し近藤君のように牛肉がきとも決っていないんです。
牛肉と馬鈴薯 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
味覚の発達した今の人の物を喰べるのは、其の持前の味以外に色を食べ香気にほひを食べまた趣致おもむきを食べるので、早い談話はなし蔓茘枝つるれいしくといふ人はあくどい其色そのいろをも食べるので。
茸の香 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
よし/\洋学流の吾々われわれは反対に出掛けてろうとう気になって、あたかも江戸の剣術全盛の時代に刀剣を売払うりはらっ仕舞しまい、兼てきな居合いあいめて知らぬふうをして居たような塩梅あんばい式に
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
死んだ父も、そうした物は、或は、おれよりもきだったかも知れぬほどだが、もっと物に執著しゅうじゃくが深かった。現に、大伴の家の行く末の事なども、父はあれまで、心を悩まして居た。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
いやきっと、あいつは人肉フライッシュきなんでしょうよ
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
武「なに貴様は余程酒がきだな、わし此処こゝを通るたびに飲んでらん事はないが、貴様は余程よっぽど酒家しゅかだのう」
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
僕はさいわいにして最初から高い処に居ないからそんな外見みっともないことはしないんだ! 君なんかは主義で馬鈴薯を喰ったのだ、きで喰ったのじゃアない、だから牛肉にえたのだ
牛肉と馬鈴薯 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
れとて無上の快楽事とも思われず、マア/\児孫まごこを集めて共にたわぶれ、色々な芸をさせたりきな物を馳走ちそうしたりして、一家内の長少睦しくたがいに打解けてかたり笑うその談笑の声を一種の音楽として
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
美「お前後生だからおりが二つあるから、お皿を三つばかり持って来て……くッついていけないから……それは栗の金団きんとんだよ、お前は甘い物がきだから是を上げるよ」
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
しかし自分はこの音がきなので、林の奥に座して、ちょこなんとしていると、この音がここでもかしこでもする、ちょうど何かがささやくようである、そして自然の幽寂ゆうじゃくがひとしお心にしみわたる!
小春 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
何うも虫がきませんから振るも道理、此の者は実父石川藤左衞門を三河島田圃みかわしまたんぼに待受け、鉄砲にて打殺した大野惣兵衞という者でございますが、八橋周馬やつはししゅうまと偽名致し
ボーンと云う鐘とチョンと打出す拍子木と同じだからボンチョン番太と云う、余程堅い男だが酒がきでさえあれば酒を飲みます、女房をお梅と云って年齢としは二十三で
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
武「是は何うも、酒のきな者は妙なものだ、が今聞いて居たが、何か其の京橋へんの数寄屋河岸の柳番屋の陰で金子きんすを貰ったむすめが有るとか云う話だが、それは何う云う訳だ」
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
これは恐入おそれいつたね、おまへはお茶人ちやじんだね、あゝこれ/\の悪いぜんに、……むか付肴づけ残余のこつてるのをけて、おしるけてチヨツと会席風くわいせきふうにして……乃公わしもね茶道ちやきだからね
未だちょん髷が有りまして、一体何うも此の人は聞覚えの分らぬ漢語を交ぜて妙なことを云います、漢語と昔のお家流の御座り奉るを一つに混ぜて人を諭したり口を利くのがきな人でございます。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
実は私も此のお方をいたらしいいお方だと思いました了簡の迷いから、私の方で無理に入らしって下さいとお勧め申して引入れたのでございますから、此のお方には少しも悪い事はありません
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)