“辺”のいろいろな読み方と例文
旧字:
読み方割合
あたり35.5%
へん22.0%
あた12.1%
ほとり10.5%
7.4%
ほと3.6%
2.8%
ぺん1.0%
へり0.7%
まわり0.7%
ふち0.6%
ヘン0.4%
ところ0.3%
はた0.3%
ばた0.3%
ぱた0.3%
べり0.3%
ぺた0.1%
ぐる0.1%
へんより0.1%
べの0.1%
まはり0.1%
0.1%
アタリ0.1%
0.1%
0.1%
ホトリ0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それから浅草の今パノラマのあるあたりに、模型富士山が出来たり、芝浦にも富士が作られるという風に、大きいもの/\と目がけてた。
江戸か東京か (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
自分は今日になっても大川の流のどのへんが最も浅くどの辺が最も深く、そして上汐あげしお下汐ひきしおの潮流がどの辺において最も急激であるかを
夏の町 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「気持の好いお部屋ですね。」とチチコフは、さっとあたりを見まわしてから言った。それはまったく、気持の悪い部屋ではなかった。
お勢母子ぼしの者の出向いたのち、文三はようやすこ沈着おちついて、徒然つくねんと机のほとり蹲踞うずくまッたまま腕をあごえりに埋めて懊悩おうのうたる物思いに沈んだ。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
僕は戸外そとへ飛びだした。夜見たよりも一段、蕭条しょうじょうたる海であった。家の周囲まわりいわしが軒の高さほどにつるして一面にしてある。
鹿狩り (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
すると、道安の嫁のおきぬが、母屋の渡り縁のほとりで、何か大きな声を放った。つづいて、家族や召使たちの声がこもごも聞えた。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この殿にまうでて見れば、あなかしこ小松叢生むらおひ、にい寄る玉藻いろくづ、たまたまは棹さす小舟、海苔粗朶のりそだあひにかくろふ。
(新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「ばかを申せ。きょうは是が非でも二ノ森を踏破して、お花畑のぺんから三十五社、ありの細道、または人跡未踏という、つるぎの刃渡り、百足虫腹むかでばらまでも、越えてみなければ気がすまぬ」
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして小さな細かい気泡きほうが、茶碗ちやわんの表面に浮びあがり、やがて周囲のへりに寄り集つた。その時私はまた一つの角砂糖を壺から出した。
田舎の時計他十二篇 (新字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
彼女は早くその手紙を出すことの出来なかった身のまわり種々いろいろな消息を書いた末に「早くお目に掛りとうございます」ともしてよこした。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
わしはお前に忠告せねばならぬて。お前は足をつまだてゝ奈落のふちに立つてゐるのぢや。落ちぬやうに注意をしたがよい。
クラリモンド (新字旧仮名) / テオフィル・ゴーチェ(著)
炉を焚くことの少い此ヘンでは、地下ヂゲ百姓は、夜は真暗な中で、寝たり、坐つたりしてゐるのだ。でもこゝには、本尊が祀つてあつた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
太い丸太のさきを円めて二本植ゑた、校門のところへ来ると、いづれ女生徒の遺失おとしたものであらう、小さい赤櫛が一つ泥の中に落ちてゐた。健はそれを足駄の歯で動かしてみた。櫛は二つに折れてゐた。
足跡 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
……えんなる女優の心を得た池のおもは、萌黄もえぎ薄絹うすぎぬの如く波をべつゝぬぐつて、清めるばかりに見えたのに、取つて黒髪にさうとすると、ちっと離したくらゐでは、耳のはたへも寄せられぬ。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
二人はお壕ばたの広い通りに出た。夜が更けてもまだ十二時前であるから彼方此方あちらこちら、人のゆききがある。月はさやかにてりて、お壕の水の上は霞んでいる。
二少女 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
もう縁側のはしぱたへも寄付よせつけてはなんねえと云いやしたが、お嬢様が連れて来たアだから逢うだけ逢って遣るから、サッサと出て
それから土手伝いで参ると、左りへ下りるダラ/\下り口があって、此処こゝに用水があり、其の用水べりにボサッカと云うものがあります。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
と怒鳴りつけて、厭といふ程しりぺたステツキでどやしつけたものださうだが、新太郎少将はそんなステツキを持たなかつたから城下の人達はしりぺたを叩かれる心配だけは無かつた。
それから考えると、容器のぐるりを、胴体が何周りかした事が判るじゃないか。つまり、還流が起った証拠なんだよ。
夢殿殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
あぶらや本介もとすけも同様也。久しく逢不申候。福山へんより長崎へ参候輩も皆々無事也。其うち保平やすへいと申は悼亡のいたみ御座候。玄間は御医者になり威焔赫々。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
また氷室ひむろの御祝儀ともいって、三月三日の桃の節句、五月五日の菖蒲しょうぶの節句、九月九日の菊の節句についで古い行事で、仁徳天皇の御代にやまべの福住ふくずみの氷室の氷を朝廷にたてまつって以来
顎十郎捕物帳:08 氷献上 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
孔雀の真似をからすの六左衛門が東京に別荘を置くのも其為である。赤十字社の特別社員に成つたのも其為である。慈善事業に賛成するのも其為である。書画骨董こつとうで身のまはりを飾るのも亦た其為である。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
『ここすこ掃除そうじしたいものだな、ニキタ。ひどにおいだ。』
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
古義に「おのが恋しく思ふ京師アタリには、今鳴きて来らむかと、京師を内にしていへるなり」
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
ハタ広物ヒロモノハタ狭物サモノ・沖の藻葉・の藻葉、尽しても尽きぬわたつみの国は、常世と言ふにふさはしい富みの国土である。
妣が国へ・常世へ (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
打離れ枯菊のに残る雪
松本たかし句集 (新字旧仮名) / 松本たかし(著)
片破れ月が、アガつて来た。ソレカヘツて、あるいてゐる道のホトリスゴさを照し出した。其でも、星明りで辿タドつて居るよりは、よるべを覚えて、足が先へ/\と出た。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)