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辺
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べ
ふりがな文庫
“
辺
(
べ
)” の例文
旧字:
邊
僕は
戸外
(
そと
)
へ飛びだした。夜見たよりも一段、
蕭条
(
しょうじょう
)
たる海
辺
(
べ
)
であった。家の
周囲
(
まわり
)
は
鰯
(
いわし
)
が軒の高さほどにつるして一面に
乾
(
ほ
)
してある。
鹿狩り
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
ここから先にも、
清見潟
(
きよみがた
)
、黄瀬川、
足柄
(
あしがら
)
、大磯小磯、そして鎌倉口の
仮粧坂
(
けわいざか
)
まで、ほとんど
道
(
みち
)
の
辺
(
べ
)
の花を見かけない宿場はない。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
倒るゝ如くに路の
辺
(
べ
)
の
榻
(
こしかけ
)
に倚りて、灼くが如く熱し、
椎
(
つち
)
にて打たるゝ如く響く
頭
(
かしら
)
を
榻背
(
たふはい
)
に持たせ、死したる如きさまにて幾時をか過しけん。
舞姫
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
臨終
(
いまわ
)
の
際
(
きわ
)
に、兼てより
懇意
(
こころやすく
)
せし、裏の
牧場
(
まきば
)
に飼はれたる、
牡丹
(
ぼたん
)
といふ
牝牛
(
めうし
)
をば、わが枕
辺
(
べ
)
に
乞
(
こ
)
ひよせ。苦しき息を
喘
(
ほっ
)
ト
吻
(
つ
)
き
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
この岸さえ
攀
(
よ
)
じのぼってゆけば、それがはっきり
判
(
わか
)
ってくるのだ。おれは毎日この岸
辺
(
べ
)
にきて空の方をながめている。
寂しき魚
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
▼ もっと見る
先づ木立深き処に枯木
常磐
(
ときわ
)
木を吹き鳴す
木枯
(
こがらし
)
の風、とろとろ阪の曲り曲りに吹き
溜
(
た
)
められし落葉のまたはらはらと動きたる、岡の
辺
(
べ
)
の
田圃
(
たんぼ
)
に続く処
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
併
(
しか
)
し其辺は海の入口かして、プンと潮臭い生暖い風が、彼の鼻の
辺
(
べ
)
を吹き過ぎたので、鳥渡ばかり小鼻を蠢かした。
人間製造
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
さるからに、薄紅き蓮華の不尽の隈ぐまの澄み明りゆく立姿、
頂
(
いたゞき
)
の
辺
(
べ
)
は更にも
紅
(
あか
)
く、つや紅く光り出でたれ。よく見ればその空高く、かすかにも靡くものあり。
観想の時:――長歌体詩篇二十一――
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
と云いながら伽羅大尽へ渡すを取上げ読んで見ると「寄る
辺
(
べ
)
なき袖の白波打返し音羽の滝の音も
愧
(
はず
)
かし」
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
都へ上れば身を隠すのに都合のよい知る
辺
(
べ
)
がないでもないから、お父さまの御安否が分るまでは、どんなにしてゞも生きながらえている方がよいと云うのであった。
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
はなはだも
夜
(
よ
)
深
(
ふ
)
けてな
行
(
ゆ
)
き
道
(
みち
)
の
辺
(
べ
)
の
五百小竹
(
ゆざさ
)
が
上
(
うへ
)
に
霜
(
しも
)
の
降
(
ふ
)
る
夜
(
よ
)
を 〔巻十・二三三六〕 作者不詳
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
時に長者は二人の子を枕
辺
(
べ
)
に招きて、死するも生くるも天命なれば
汝等
(
そちたち
)
みだりに歎くべからず、ただ我
終焉
(
いまわ
)
に臨みて汝等に言ひ置くことあれば
能
(
よ
)
く心に留めて忘るるなかれ
印度の古話
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
かくてほどへてある夜枕
辺
(
べ
)
の畳を咬み鳴らす音す。驚きて見れば鼠なり。ししと追わば逃げ入りぬ。再び眠るほどにまた来りて咬み鳴らす事
糸
(
いと
)
騒がし。枕を
擡
(
もた
)
ぐればまた逃げ入る。
十二支考:11 鼠に関する民俗と信念
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
我はかの悪僕に追立てられて
詮方
(
せんかた
)
無く、その夜赤城の家を出で、指して行方もあらざればその日その日の風次第、寄る
辺
(
べ
)
定めぬ
捨小舟
(
すておぶね
)
、津や浦に
彷徨
(
さまよ
)
うて、身に知る
業
(
わざ
)
の無かりしかば
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
当時経済界の大変動から、彼女の父は
弥縫
(
びほう
)
の出来ない多額の借財を残し、商売をたたんで、
殆
(
ほとん
)
ど夜逃げ同然に、
彦根
(
ひこね
)
在の一寸した
知
(
し
)
る
辺
(
べ
)
をたよって、身を隠さねばならぬ
羽目
(
はめ
)
となった。
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
もう一つの「方」は、
飛鳥
(
あすか
)
の村々や
山
(
やま
)
の
辺
(
べ
)
の
道
(
みち
)
のあたり、それから
瓶原
(
みかのはら
)
のふるさとなどで、そんないまは何んでもなくなっているようなところをぼんやり歩いてみたいとも思いました。
大和路・信濃路
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
自動車の
太輪
(
ふとわ
)
の
砂塵
(
さぢん
)
もうもうとたちけむりつつ道の
辺
(
べ
)
の桜
桜
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
路
(
みち
)
の
辺
(
べ
)
の
壱師
(
いちし
)
の花の
灼然
(
いちしろ
)
く、人皆知りぬ我が恋妻を
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
又思ふ、路の
辺
(
べ
)
をあさりゆく
物乞
(
ものごひ
)
の
漂浪人
(
さすらひびと
)
を
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
道の
辺
(
べ
)
の 歯朶の群をのゝけり。
無題
(新字旧仮名)
/
富永太郎
(著)
君を思うて岡の
辺
(
べ
)
に行きつ遊ぶ。
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
まくら
辺
(
べ
)
に子を坐らせて
悲しき玩具
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
梅が
香
(
か
)
ぞする海の
辺
(
べ
)
に
若菜集
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
緑なる岡の
辺
(
べ
)
の
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
実は、われら両名は、斎藤山城守様に随身の者だったが、義龍との一戦に敗れ、これより越前の
穴馬
(
あなうま
)
まで、
知
(
し
)
る
辺
(
べ
)
を頼って落ちてゆくところ。
茶漬三略
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
倒るるごとくに
路
(
みち
)
の
辺
(
べ
)
の
榻
(
こしかけ
)
に
倚
(
よ
)
りて、
灼
(
や
)
くがごとく熱し、
椎
(
つち
)
にて打たるるごとく響く
頭
(
かしら
)
を
榻背
(
とうはい
)
に持たせ、死したるごときさまにて
幾時
(
いくとき
)
をか過しけん。
舞姫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
父上母上及びわれら夫妻と貞夫の五人!
春霞
(
はるがすみ
)
たなびく野
辺
(
べ
)
といえどもわが
家
(
や
)
ののどけさには及ぶまじく候
初孫
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
さるからに、薄紅き蓮華の不尽の隈ぐまの澄み明りゆく立姿、
頂
(
いたゞき
)
の
辺
(
べ
)
は更にも
紅
(
あか
)
く、つや紅く光り出でたれ。よく見ればその空高く、かすかにも靡くものあり。
観相の秋
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
たゞ隼人正よりも仕合わせなことには、乳母はあの
後見
(
こうけん
)
の男のような不実な者ではなかったと見えて、或る町人の知る
辺
(
べ
)
の家へ安全に連れ込んでくれたのであった。
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
山
(
やま
)
の
辺
(
べ
)
にい
行
(
ゆ
)
く
猟夫
(
さつを
)
は
多
(
おほ
)
かれど
山
(
やま
)
にも
野
(
ぬ
)
にもさを
鹿
(
しか
)
鳴
(
な
)
くも 〔巻十・二一四七〕 作者不詳
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
岡の
辺
(
べ
)
の里のあるじを尋ぬれば人は答へず山おろしの風 (
慈円
(
じえん
)
)
歌よみに与ふる書
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
君を思ふて岡の
辺
(
べ
)
に
行
(
ゆき
)
つ遊ぶ
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
「な、なにを仰っしゃる、あんな
盗
(
ぬす
)
ッ
人
(
と
)
娘に知る
辺
(
べ
)
はない。ささ、又八、まごまごしていると鶏が啼きだすぞ、出ましょうわい、出ましょうわい」
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
始めよりかれが恋の
春霞
(
はるがすみ
)
たなびく野
辺
(
べ
)
のごとかるべしとは期せざりしもまたかくまでに物さびしく物悲しきありさまになりゆくべしとは
青年
(
わかもの
)
今さらのように感じたり。
わかれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
噂
(
うわさ
)
に依れば此の尼は一と頃宴席などにも出で、座敷の興を添えたことがあったと云うが、さらでだに寄る
辺
(
べ
)
ない女の身の、まして謀叛人の娘として世に疎まれる境涯になっては
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
あなあはれ
水
(
み
)
の
辺
(
べ
)
の柳、あなあはれかかりの小舟、寂しとも寂しとも見れ。折からや苫をはね出て、
舟縁
(
ふなべり
)
の霜にそびえて、この朝の
紅
(
あか
)
き
鶏冠
(
とさか
)
の雄の
鶏
(
かけ
)
が、早やかうかうと啼き
出
(
で
)
けるかも。
観相の秋
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
岡の
辺
(
べ
)
の里のあるじを尋ぬれば人は答へず山おろしの風
歌よみに与ふる書
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
岡の
辺
(
べ
)
なんぞかく悲しき。
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
ここらの草木、ここらの水の
辺
(
べ
)
——何を見ても平治の乱に崩れ去った義朝や一族の当時のすがたを偲ばせぬものはない。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
旅やどり、消ゆるばかりに一夜寝て寝ざめて見れば、霜しろし
水
(
み
)
の
辺
(
べ
)
の柳、何一つ音もこそせね、薄墨の空の
霧
(
き
)
らひにただ白く
枝垂
(
しだ
)
れ深めり。枝垂れつつ水にとどけり。また白き葦にとどけり。
雀の卵
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
道の
辺
(
べ
)
の
木槿
(
むくげ
)
は馬に喰はれけり 同
古池の句の弁
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
そちも同じ途中と申すし、
寄
(
よ
)
る
辺
(
べ
)
もない身の上とあれば、幸い、ここよりわしらの供をして参らぬか。落着いた上は、若党として召使って
遣
(
つか
)
わそうが
茶漬三略
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
土見れば土の
香
(
か
)
立つを、はなはだし、春はをさなし。蕗の薹いづらにふふむ。つくつくし萠え立つやいつ。置く霜のややに浅くも、こぬか雨ややに繁くも、裏藪や、菫さく
辺
(
べ
)
の、いまだなじまず。
篁
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
どこかで、
鶉
(
うずら
)
が
啼
(
な
)
いている。ホロホロと昼の草むらに啼く鶉の声までが、もう
冥途
(
あのよ
)
の
道
(
みち
)
の
辺
(
べ
)
のもののように聞えた。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
旅やどり、消ゆるばかりに、一夜寝て寝ざめて見れば、霜しろし
水
(
み
)
の
辺
(
べ
)
の柳、何一つ音もこそせね、薄墨の空の
霧
(
き
)
らひにただ白く
枝垂
(
しだ
)
れ深めり。
枝垂
(
しだ
)
れつつ水にとどけり。また白き葦にとどけり。
観相の秋
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
と、その山裾までさしかかった二人の旅の女性も、西仏と石念の姿を見つけて、道の
辺
(
べ
)
に、杖を止めて待っていた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
土見れば土の
香
(
か
)
立つを、はなはだし、春はをさなし。蕗の薹いづらにふふむ。つくつくし萌え立つやいつ。置く霜のややに浅くも、こぬか雨ややに繁くも、裏藪や、菫さく
辺
(
べ
)
の、いまだなじまず。
風隠集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
いわんや、同じ国土に生れ、同じ日のもとに、知る
辺
(
べ
)
となり、友となり、親となり、子となり、また、夫婦となるということは、よくよくふかい宿命です。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あはれなる石のひとつぞ古びたるその石の
辺
(
べ
)
の沙羅の木の
立
(
たち
)
雀の卵
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
秀吉は
促
(
うなが
)
されて駒を降りた。松並木の見通せる城下口の
道
(
みち
)
の
辺
(
べ
)
である。そこに仮の休み茶屋が設けられていた。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“辺”の解説
right
辺(へん、英:
side
(二次元図形)、
edge
(三次元図形、ただし円柱の辺の様に線分でないものはこう呼ばれない))は、特定の“図形”の中で 1 次元の“部分”となっている、両端に頂点と呼ばれる特別の点を 0 次元の“部分”として含むような線分である。
(出典:Wikipedia)
辺
常用漢字
小4
部首:⾡
5画
“辺”を含む語句
頬辺
此辺
四辺
水辺
身辺
川辺
近辺
縁辺
辺鄙
其辺
天辺
炉辺
那辺
河辺
上辺
口辺
山辺
周辺
海辺
枕辺
...