“炉辺”のいろいろな読み方と例文
旧字:爐邊
読み方(ふりがな)割合
ろばた44.7%
ろへん42.1%
ろべり7.9%
ろべ2.6%
ろべた2.6%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
庭を上ると、直ぐそこは三尺四方ばかりの炉を切った部屋で、炉辺ろばたには年若な書生が待っていた。この書生は三吉が教えに行く学校の生徒であった。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ぎっしりとつまった本棚に囲まれた洋風の書斎に、炉辺ろばたに椅子を相対して坐した二人。主人は衣川柳太郎、客は清川純きよがわじゅんである。
正義 (新字新仮名) / 浜尾四郎(著)
草鞋穿わらじばき焚火たきびあたりながら、その「ハリコシ」を食い食い話すというが、この辺での炉辺ろばたの楽しい光景ありさまなのだ。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
家族が食事したり、茶を飲んだり、客を迎えたりする炉辺ろばたの板敷には薄縁うすべりを敷いて、耕作の道具食器の類はすべてそのあたりに置き並べてある。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
お島はなぐさみにするめんでいた。乳呑児の乳を放させ、姉娘に言って聞かせて、炉辺ろばたの戸棚の方へ立って行った。
岩石の間 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ちょっと聞くといかにも個人的であるが、しからばとて国がたおれても自分の炉辺ろへん差支さしつかえなければ平気でいるかというとそうでない。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
しかしそれとても昔の歴史をたどってみれば、全く無理な間違え方ともいえないので、この一行が宿へ到着して、一浴を試みてから炉辺ろへんへかたまっての話に、
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
詩人蕪村の心が求め、孤独の人生にかわきあこがれて歌ったものは、実にこのスイートホームの家郷であり、「炉辺ろへん団欒だんらん」のイメージだった。
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
冬夜の炉辺ろへんに夏の宵のやりに幼少から父祖古老に打ちこまれた反徳川の思念が身に染み、学は和漢に剣は自源じげん擁心流ようしんりゅう拳法けんぽう
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
僕は、近き将来に於て、卓越たくえつした科学小説家のあらわすところの数多くの勝れた科学小説を楽しく炉辺ろへんに読みふける日の来ることを信じて疑わない。
『地球盗難』の作者の言葉 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その夜、上平館かみひらやかたの松の丸のあの座敷の、大きな炉辺ろべりに向い合って坐っているのは、お雪ちゃんと宇治山田の米友でありました。
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
其の炉辺ろべりには、先刻さっき按摩あんま大入道おおにゅうどうが、やがて自在の中途ちゅうとを頭で、神妙らしく正整しゃんと坐つて。
貴婦人 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
また安蔵と梅市とは、それから教えられた小屋へ急いで来てみますと、成程、ヨハンが言ったとおり、二人の人間が正体なく炉辺ろべりに長くなっている。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
座敷は其方此方そちこち人声ひとごえして、台所にはにぎやかなものの音、炉辺ろべりにはびたわらいも時々聞える。
貴婦人 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「もうゆきったろうな。いえにいれば、いま時分じぶん炉辺ろべにすわって、おとうといもうとたちとくりをいてべるのだが。」
風雨の晩の小僧さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
ひる炉辺ろべたの主の座にすわり、夜は久さんのおかみと奥の間に枕をならべた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)