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炉辺
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ろへん
ふりがな文庫
“
炉辺
(
ろへん
)” の例文
旧字:
爐邊
ちょっと聞くといかにも個人的であるが、しからばとて国が
仆
(
たお
)
れても自分の
炉辺
(
ろへん
)
に
差支
(
さしつか
)
えなければ平気でいるかというとそうでない。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
農夫は
屡
(
しば/\
)
後
(
おくる
)
るゆゑ
終
(
つひ
)
には
棄
(
すて
)
て
独
(
ひとり
)
先
(
さき
)
の村にいたり、しるべの家に入りて
炉辺
(
ろへん
)
に
身
(
み
)
を
温
(
あたゝめ
)
て酒を
酌
(
くみ
)
、
始
(
はじめ
)
て
蘇生
(
よみがへり
)
たるおもひをなしけり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
詩人蕪村の心が求め、孤独の人生に
渇
(
かわ
)
きあこがれて歌ったものは、実にこのスイートホームの家郷であり、「
炉辺
(
ろへん
)
の
団欒
(
だんらん
)
」のイメージだった。
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
ある夜山家の
炉辺
(
ろへん
)
ばなしのうちに、
端
(
はし
)
なくもこの十兵衛光秀とわしとは、初対面でなかったことが明らかになった。
茶漬三略
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかしそれとても昔の歴史をたどってみれば、全く無理な間違え方ともいえないので、この一行が宿へ到着して、一浴を試みてから
炉辺
(
ろへん
)
へかたまっての話に
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
埋火
(
うづみび
)
をかき起して
炉辺
(
ろへん
)
再びにぎはしく、少婦は我と車夫との為に新飯を
炊
(
かし
)
ぎ、老婆は
寝衣
(
しんい
)
のまゝに我が傍にありて、一枚の
渋団扇
(
しぶうちは
)
に清風をあほりつゝ、我が七年の浮沈を問へり。
三日幻境
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
客答へて曰く、栗樹は人家
近
(
ちか
)
き所に
在
(
あ
)
るのみ、是より深山に
入
(
い
)
らば一樹をも
見
(
み
)
る
能
(
あた
)
はざるべしと、余又
栗
(
くり
)
を食する能はざるを
嘆
(
たん
)
じ、
炉辺
(
ろへん
)
に
栗
(
くり
)
を
炙
(
あぶ
)
り石田君も
共
(
とも
)
に大に之を
食
(
くら
)
ふ宿は
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
人夫
(
にんぷ
)
は自分の疎開して居る、十右衛門の
炉辺
(
ろへん
)
で夕飯を食ひ酒を飲んで帰つて行つた。
三年
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
ぜひそうなることを僕は心から祈る者である。僕は、近き将来に於て、
卓越
(
たくえつ
)
した科学小説家の
著
(
あらわ
)
すところの数多くの勝れた科学小説を楽しく
炉辺
(
ろへん
)
に読み
耽
(
ふけ
)
る日の来ることを信じて疑わない。
『地球盗難』の作者の言葉
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
冬夜の
炉辺
(
ろへん
)
に夏の宵の
蚊
(
か
)
やりに幼少から父祖古老に打ちこまれた反徳川の思念が身に染み、学は和漢に剣は
自源
(
じげん
)
、
擁心流
(
ようしんりゅう
)
の
拳法
(
けんぽう
)
、わけても甲陽流軍学にそれぞれ秘法をきわめた才胆をもちながら
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
所謂
(
いはゆる
)
「
炉辺
(
ろへん
)
の幸福」の
譃
(
うそ
)
は勿論彼には明らかだつたであらう。アメリカのクリスト、——ホヰツトマンはやはりこの自由を選んだ一人である。我々は彼の詩の中に度たびクリストを感ずるであらう。
西方の人
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そうしてどの民家でも、安いこれらの品を気安く用いた。この壺は
炉辺
(
ろへん
)
で用いる番茶入である。頑丈な黒ずんだ田舎屋の中で、あの立派な
竈
(
かまど
)
や炉の傍らに、これらの壺が置かれていた昔を想像する。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
明治
廿三
(
にじゅうさん
)
年の二月、父と共に信州軽井沢に
宿
(
やど
)
る。昨日から
降積
(
ふりつ
)
む雪で外へは出られぬ。日の暮れる頃に
猟夫
(
かりうど
)
が来て、鹿の肉を買つて
呉
(
く
)
れと云ふ。退屈の
折柄
(
おりから
)
、彼を
炉辺
(
ろへん
)
に呼び入れて、
種々
(
いろいろ
)
の話をする。
雨夜の怪談
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
農夫は
屡
(
しば/\
)
後
(
おくる
)
るゆゑ
終
(
つひ
)
には
棄
(
すて
)
て
独
(
ひとり
)
先
(
さき
)
の村にいたり、しるべの家に入りて
炉辺
(
ろへん
)
に
身
(
み
)
を
温
(
あたゝめ
)
て酒を
酌
(
くみ
)
、
始
(
はじめ
)
て
蘇生
(
よみがへり
)
たるおもひをなしけり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
しかし西洋の人は戦いに出る時も
炉辺
(
ろへん
)
と家庭と for hearth and home を
揚言
(
ようげん
)
する。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
ともかくも兵馬は、足を洗って
庫裡
(
くり
)
の
炉辺
(
ろへん
)
へ通りました。もう夜分は火があっても悪くはない時分です。
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
冬空に
凍
(
こご
)
える壁、洋燈、寂しい人生。しかしまた何という沁々とした人生だろう。古く、懐かしく、物の
臭
(
にお
)
いの
染
(
し
)
みこんだ家。赤い火の燃える
炉辺
(
ろへん
)
。台所に働く妻。父の帰りを待つ子供。
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
晩餐
了
(
をわ
)
りて
眠
(
みん
)
に
就
(
つ
)
く、
少焉
(
しばらく
)
ありて
眼覚
(
めさ
)
むれば何ぞ
図
(
はか
)
らん、全身
雨
(
あめ
)
に
濡
(
うるを
)
うて水中に
溺
(
おぼ
)
れしが如し、
衆
(
しう
)
既
(
すで
)
に早く
覚
(
さ
)
む、皆
笑
(
わら
)
つて曰く君の熟睡
羨
(
うらや
)
むに
堪
(
た
)
へたりと、之より雨益
甚
(
はなはだ
)
しく
炉辺
(
ろへん
)
流
(
なが
)
れて河をなし
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
これを見て
皆
(
みな
)
打ゑみつゝ
炉辺
(
ろへん
)
に
座列
(
ゐならび
)
て酒
酌
(
くみ
)
かはし、やゝ時うつりて
遠
(
とほ
)
く
走
(
はせ
)
たる者ども立かへりしに、
行方
(
ゆくへ
)
は
猶
(
なほ
)
しれざりけり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
その言うところによると、この間、一人の武者修行の者があって、武州から大菩薩を越え、この裂石の雲峰寺へ一泊を求めた時に、
雲衲
(
うんのう
)
が集まっての
炉辺
(
ろへん
)
の物語——
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
芭蕉の書体が雄健で
闊達
(
かったつ
)
であるに反して、蕪村の文字は
飄逸
(
ひょういつ
)
で寒そうにかじかんでいる。それは「
炬燵
(
こたつ
)
の詩人」であり、「
炉辺
(
ろへん
)
の詩人」であったところの、俳人蕪村の風貌を表象している。
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
おそらく、過日の武者修行が、
裂石
(
さけいし
)
の雲峰寺で、
炉辺
(
ろへん
)
の物語の種としたのは、途中、このお松の蛇の目姿にであって、それに潤色と、誇張とを加えたのかも知れません。
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
雲峰寺の
炉辺
(
ろへん
)
で、
雲衲
(
うんのう
)
たちに、武者修行がこの物語をすると、雲衲たちも興に乗って、なお、その女の年頃や、着物や、髪かたちなどを、念を押してみたけれども、本来
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その時分、温泉宿の中では、池田良斎と、北原賢次とが、
炉辺
(
ろへん
)
で
面
(
かお
)
を見合わせ
大菩薩峠:27 鈴慕の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
宇津木兵馬は、北原賢次に案内されて、例の
炉辺
(
ろへん
)
までやって来ました。
大菩薩峠:27 鈴慕の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
“炉辺”の意味
《名詞》
炉 辺(ろばた / ろへん)
炉の辺。囲炉裏のそば。暖炉のそば。
(出典:Wiktionary)
炉
常用漢字
中学
部首:⽕
8画
辺
常用漢字
小4
部首:⾡
5画
“炉辺”で始まる語句
炉辺叢書
炉辺閑話
炉辺閑談