“所謂”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
いわゆる68.6%
いはゆる26.1%
いわゆ2.7%
いはゆ0.7%
いわれ0.7%
いはれ0.6%
いい0.1%
いふところの0.1%
いわば0.1%
しょせん0.1%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
今日我々の理性はたとい如何に所謂いわゆる実生活に対する自己の体験が貧弱でも、人類の箇性の存在を理論的に認め得る丈けの力は持っていると思う。
概念と心其もの (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
所謂いわゆる唯心論と唯物論、観念論と経験論、目的論と機械論等の如き、人間思考の二大対立がよるところは、結局して皆此処ここに基準している。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
「……さあ……そのような問題は、故、正木先生の所謂いわゆる『記憶と良心』の関係に属する、面白い研究事項ではないかと考えられるのですが……」
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
罪過の語はアリストテレスが、これを悲哀戯曲論中に用ひしより起原せるものにして、独逸語ドイツご所謂いはゆる「シウルド」これなり。
罪過論 (新字旧仮名) / 石橋忍月(著)
見るべきの敵を目掛けて撃つを要せざるなり、撃といふ字は山陽一流の文士にこそ用あれ、愛山の所謂いはゆる空の空を目掛けておほいに撃つ文士に
人生に相渉るとは何の謂ぞ (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
吉野はその、極悪気きまりわるげな様子を見て、『小川の所謂いはゆる近代的婦人モダーンウーマンも案外初心うぶだ!』と思つたかも知れない。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
宗演師は一個の禅僧として、意志強く、又世を浮雲の如く見て行く、所謂いわゆるお悟りの人のように思われもしたであろうが、その実、情の人であった。
釈宗演師を語る (新字新仮名) / 鈴木大拙(著)
筆を投ずれば風を生じ百言即座たちどころに発するというのが所謂いわゆる馬琴の作風であって、推敲反覆の京伝から見れば奇蹟と云わなければならなかった。
戯作者 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
主翁はひどく碁が好きであったが、それは所謂いわゆ下手へた横好よこずきで、四もくも五目も置かなければならなかった。
竈の中の顔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
それより一週間いつしうかんばかりつて、兒玉進五こだましんごたくかれ所謂いはゆ同窓會どうさうくわいひらかれた。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
陶淵明たうえんめい所謂いはゆる「不甚解くらゐいがときに一ページむに一時間じかんもかゝることがある。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
所謂いはゆる半夜燈前十年事、一時和雨到心頭といふ一けんだから堪忍たまつたものでない
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
終生、いや千年の後までも、そのために、彼としては所謂いわれのない、そして拭いようもない憎しみをこの国の人々から受けてしまうものとなった。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
弥太兵衛じじいに、鐘の所謂いわれを聞きながら、夜があけたら池まで案内させる約束で、小屋へ泊めて貰った処。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
気を狂いてカメロットの遠きに走れる人の、わがそばにあるべき所謂いわれはなし。
薤露行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いと善く識るらん人をば覚無しと言へる、これにもなかなか所謂いはれはあらんと推測おしはからるれば
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
その所謂いはれくと、子路しろをとこは、ひとなにをすはつて、それをまだおこなはないうちに、またあたらしいことくとにするほど正直しやうぢきだからだつてふんです。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
利助いはく、これを夜みせの辻にうらんにその行灯あんどんに魚のごまあげとしるさんもなにとやらまはりどほし、なにとか名をつけて玉はれとひければ、亡兄ばうけいしばらくしあんして筆をとり天麩羅てんふらとかきてみせければ、利助不審ふしんかほをなし天麩羅てんふらとはいかなる所謂いはれにかといふ。
壁とは目をえぎり、視覚を覆うものの所謂いいである。それを透して見んとする意志がかぎりなく働く。不自由と、必然を透して自由を得んとする努力、そこに芸術のもつ執拗性がある。
(新字新仮名) / 中井正一(著)
或は今後も、世間せけん所謂いふところの使用人の地位を脱しない限り、幾年の間休暇の無い生活を送るのでは無いかとさへ悲觀する事もある。
山を想ふ (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
「此際吾人西洋の事情に通ずる者が古史伝説を考究し、既に廃絶せる秘法を発見し、之を明治の社会に応用致し候わば所謂いわばわざわい未萌みほうに防ぐの功徳くどくにも相成り平素逸楽いつらくほしいままに致しそろ御恩返も相立ち可申もうすべく存候ぞんじそろ……」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
論理は、所謂しょせん、論理への愛である。生きている人間への愛では無い。
斜陽 (新字新仮名) / 太宰治(著)