所謂いはれ)” の例文
その所謂いはれくと、子路しろをとこは、ひとなにをすはつて、それをまだおこなはないうちに、またあたらしいことくとにするほど正直しやうぢきだからだつてふんです。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
後家ごけ安より其方へ頼むべき所謂いはれなきにより金子は勿論もちろん安に渡すわけなし全く小夜衣が申立る通り其方と三次と申合せ姉にあはしてるといつはりて連出し身を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
この客のことばを尽せるにもことわり聞えて、無下むげうちも棄てられず、されども貫一が唯涙を流して一語をいださず、いと善く識るらん人をば覚無しと言へる、これにもなかなか所謂いはれはあらんと推測おしはからるれば
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
利助不審ふしんかほをなし天麩羅てんふらとはいかなる所謂いはれにかといふ。
飛行ひかうなさばいざしらず我が庭の飛石に草履ざうりかたが血にて明々あり/\殘るの所謂いはれなしこれしんうたがふべき一ツなり然すれば傳吉に意旨いしふくみし者猿島川へんにて男女のがいされたるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
利助不審ふしんかほをなし天麩羅てんふらとはいかなる所謂いはれにかといふ。
悦ぶ所謂いはれなし只今申上候御密談と申はほかの儀に候はず伊豆守殿には拙者せつしやより先へ御登城ごとじやうなされ將軍家へ天一坊儀は重役共ぢうやくどもより先達さきだつ身分みぶん相調あひしらべ候處全く將軍の御子樣おこさま相違さうゐなく存じ奉つり此段言上ごんじやう仕り候へ共退しりぞいて能々よく/\勘考かんかう仕つり候へば不審ふしん廉々かど/\も御座候ゆゑ奉行越前心付していに仕り内々吟味ぎんみ致させ候に天一坊儀は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)