伊藤野枝
1895.01.21 〜 1923.09.16
“伊藤野枝”に特徴的な語句
確
圧
只管
齎
無暗
委
逐
彼
何
丈
併
先
一寸
若
所謂
屹度
暫
寧
兎
角
尤
這入
凡
頻
仰云
意久地
室
而
焦
屡々
安神
呑気
良人
了
斯
六ヶ
彼方此方
左様
呆
染々
悪
愈々
煩
遂々
全
斯
可笑
云々
忌々
炎
著者としての作品一覧
青山菊栄様へ(新字旧仮名)
読書目安時間:約13分
青山菊栄様 あなたの公開状は本当に、私には有りがたいものでした。私は幾度も/\読み返しました。勿論、不服な事もありますがそれはおい/\申上げる事にして、先づ公娼廃止についてのあなた …
読書目安時間:約13分
青山菊栄様 あなたの公開状は本当に、私には有りがたいものでした。私は幾度も/\読み返しました。勿論、不服な事もありますがそれはおい/\申上げる事にして、先づ公娼廃止についてのあなた …
新らしき女の道(新字旧仮名)
読書目安時間:約3分
新らしい女は今迄の女の歩み古した足跡を何時までもさがして歩いては行かない。新らしい女には新らしい女の道がある。新らしい女は多くの人々の行止まつた処より更に進んで新らしい道を先導者と …
読書目安時間:約3分
新らしい女は今迄の女の歩み古した足跡を何時までもさがして歩いては行かない。新らしい女には新らしい女の道がある。新らしい女は多くの人々の行止まつた処より更に進んで新らしい道を先導者と …
新らしき婦人の男性観(新字旧仮名)
読書目安時間:約3分
世間には可成に女を知りぬいたつもりで、かれこれと女を批評する男が尠くないやうですが、それが大抵九分九厘迄は当つてゐないので、こちらの耳へは寧ろ滑稽に聞える位なものです。男は独りよが …
読書目安時間:約3分
世間には可成に女を知りぬいたつもりで、かれこれと女を批評する男が尠くないやうですが、それが大抵九分九厘迄は当つてゐないので、こちらの耳へは寧ろ滑稽に聞える位なものです。男は独りよが …
ある男の堕落(新字新仮名)
読書目安時間:約28分
私がYを初めて見たのは、たしか米騒動のあとでか、まだその騒ぎの済まないうちか、よくは覚えていませんが、なにしろその時分に仲間の家で開かれていた集会の席ででした。その時の印象は、ただ …
読書目安時間:約28分
私がYを初めて見たのは、たしか米騒動のあとでか、まだその騒ぎの済まないうちか、よくは覚えていませんが、なにしろその時分に仲間の家で開かれていた集会の席ででした。その時の印象は、ただ …
ある女の裁判(新字旧仮名)
読書目安時間:約27分
ああ!漸く、ほんとにやうやく、今日もまた今のびのびと体を投げ出すことの出来る時が来ました。けれど、もう十一時半なんです。此の辺では真夜中なんです。そして、今日の裁判所での半日は、そ …
読書目安時間:約27分
ああ!漸く、ほんとにやうやく、今日もまた今のびのびと体を投げ出すことの出来る時が来ました。けれど、もう十一時半なんです。此の辺では真夜中なんです。そして、今日の裁判所での半日は、そ …
遺書の一部より(新字旧仮名)
読書目安時間:約8分
もう二ヶ月待てばあなたは帰つて来る。もう会えるのだと思つても私はその二ヶ月をどうしても待てない。私の力で及ぶ事ならばすぐにも呼びよせたい。行つて会ひたい。けれども、もう廿二年の間、 …
読書目安時間:約8分
もう二ヶ月待てばあなたは帰つて来る。もう会えるのだと思つても私はその二ヶ月をどうしても待てない。私の力で及ぶ事ならばすぐにも呼びよせたい。行つて会ひたい。けれども、もう廿二年の間、 …
従妹に(新字旧仮名)
読書目安時間:約10分
今、私の頭の中で二つのものが縺れ合つて私をいろいろに迷はして居ります。 私は今まで斯うして幾度きみちやんに手紙を書きかけたか知れないのです。けれども私の書いたものが果して正当に何の …
読書目安時間:約10分
今、私の頭の中で二つのものが縺れ合つて私をいろいろに迷はして居ります。 私は今まで斯うして幾度きみちやんに手紙を書きかけたか知れないのです。けれども私の書いたものが果して正当に何の …
岩野清子氏の『双棲と寡居』について(新字旧仮名)
読書目安時間:約14分
私は中央公論十月号に掲載された『双棲と寡居』を読んで黙つてはゐられないやうな気がした。 私がそれを最初に読んだときは可なり無理な理屈があると云ふことに気がついたに過ぎなかつた。そう …
読書目安時間:約14分
私は中央公論十月号に掲載された『双棲と寡居』を読んで黙つてはゐられないやうな気がした。 私がそれを最初に読んだときは可なり無理な理屈があると云ふことに気がついたに過ぎなかつた。そう …
ウォーレン夫人とその娘(新字旧仮名)
読書目安時間:約8分
脚本を読んで見て私は殆んど手の出しやうのないのに驚いてしまつた。とても自分の貧弱な頭ではそれ/″\に立派な解釈をつけて批評して行くことは六ヶしい、と云つてやらないわけにも行かないし …
読書目安時間:約8分
脚本を読んで見て私は殆んど手の出しやうのないのに驚いてしまつた。とても自分の貧弱な頭ではそれ/″\に立派な解釈をつけて批評して行くことは六ヶしい、と云つてやらないわけにも行かないし …
内気な娘とお転婆娘(新字旧仮名)
読書目安時間:約15分
『女はしとやかでなくてはいけない、をとなしくなくてはいけない』と云ふ訓しへは甚だ結構な事です。一時『新らしい女』と云ふものが盛んにはやつた時には、大変なお転婆がいろんな奇抜な真似を …
読書目安時間:約15分
『女はしとやかでなくてはいけない、をとなしくなくてはいけない』と云ふ訓しへは甚だ結構な事です。一時『新らしい女』と云ふものが盛んにはやつた時には、大変なお転婆がいろんな奇抜な真似を …
S先生に(新字旧仮名)
読書目安時間:約14分
余程以前から先生に何か書いて見たい気はありましたけれども私の書いたものなんか御覧になるときつとまた、あの、「フン」と鼻の先で笑はれることだらうと思ひますと嫌気がさして書く気にはなれ …
読書目安時間:約14分
余程以前から先生に何か書いて見たい気はありましたけれども私の書いたものなんか御覧になるときつとまた、あの、「フン」と鼻の先で笑はれることだらうと思ひますと嫌気がさして書く気にはなれ …
女絵師毒絵具を仰ぐ:(三面記事評論)(新字旧仮名)
読書目安時間:約4分
利欲一点張りの父と思想上の衝突からと云ふ註をつけて女子美術学校を中途でやめた松尾松子と云ふ婦人が将来画家としてたつゝもりで自宅で退学後も研究中の処父は彼女を歯科医として教育すること …
読書目安時間:約4分
利欲一点張りの父と思想上の衝突からと云ふ註をつけて女子美術学校を中途でやめた松尾松子と云ふ婦人が将来画家としてたつゝもりで自宅で退学後も研究中の処父は彼女を歯科医として教育すること …
監獄挿話 面会人控所(新字旧仮名)
読書目安時間:約46分
受附の看守が指した直ぐ向側の『面会人控所』の扉は重く閉されてゐた。龍子は新しい足駄の歯がたゝきにきしむのを気にしながら静かに歩み寄つて其の扉に手をかけた。重い戸が半ば開くと、直ぐ正 …
読書目安時間:約46分
受附の看守が指した直ぐ向側の『面会人控所』の扉は重く閉されてゐた。龍子は新しい足駄の歯がたゝきにきしむのを気にしながら静かに歩み寄つて其の扉に手をかけた。重い戸が半ば開くと、直ぐ正 …
感想の断片(新字旧仮名)
読書目安時間:約7分
私は、いつも同じ事をばかり云つてゐると思ふ人があるかもしれない。けれども、私は何時までも、自分の考へてゐる最も重要なことについては、駄々つ子が物ねだりをするよりも、まだうるさいと思 …
読書目安時間:約7分
私は、いつも同じ事をばかり云つてゐると思ふ人があるかもしれない。けれども、私は何時までも、自分の考へてゐる最も重要なことについては、駄々つ子が物ねだりをするよりも、まだうるさいと思 …
寄贈雑誌(新字旧仮名)
読書目安時間:約2分
月刊『相対』本郷区駒込林町二三〇相対社発行。 今度かう云ふ雑誌を紹介致します。小さい雑誌ですが極めて真面目なものでかう云ふ種類の雑誌は他にないさうです。本誌は小倉清三郎氏が単独でお …
読書目安時間:約2分
月刊『相対』本郷区駒込林町二三〇相対社発行。 今度かう云ふ雑誌を紹介致します。小さい雑誌ですが極めて真面目なものでかう云ふ種類の雑誌は他にないさうです。本誌は小倉清三郎氏が単独でお …
寄贈書籍(新字旧仮名)
読書目安時間:約2分
(ストリンドベルヒ著木村荘太訳)(定価一円六十銭洛陽堂発行) ストリンドベルヒの自伝の一部で氏の最初の結婚生活を書いたもので御座います。この小説は是非誰にも一読して欲しいものと思ひ …
読書目安時間:約2分
(ストリンドベルヒ著木村荘太訳)(定価一円六十銭洛陽堂発行) ストリンドベルヒの自伝の一部で氏の最初の結婚生活を書いたもので御座います。この小説は是非誰にも一読して欲しいものと思ひ …
寄贈書籍紹介(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
「妹に送る手紙」水野葉舟氏著(定価五拾銭)実業之日本社発行 読み終つた時にこの手紙を受とるといふ単純な美しい処女のお澪さんを想つた。真面目に、そして鋭敏な処女の感情の動揺に周到な注 …
読書目安時間:約1分
「妹に送る手紙」水野葉舟氏著(定価五拾銭)実業之日本社発行 読み終つた時にこの手紙を受とるといふ単純な美しい処女のお澪さんを想つた。真面目に、そして鋭敏な処女の感情の動揺に周到な注 …
九州より:――生田花世氏に(新字旧仮名)
読書目安時間:約12分
生田さん、私たちは今回三百里ばかり都会からはなれて生活して居ります。 私達のゐます処は九州の北西の海岸です。博多湾の中の一つの小さな入江になつてゐます。村はさびしい小さな村です。私 …
読書目安時間:約12分
生田さん、私たちは今回三百里ばかり都会からはなれて生活して居ります。 私達のゐます処は九州の北西の海岸です。博多湾の中の一つの小さな入江になつてゐます。村はさびしい小さな村です。私 …
嘘言と云ふことに就いての追想(新字旧仮名)
読書目安時間:約21分
嘘言を吐くと云ふことは悪いことだと私達はずつと小さい時から教へられて来ました。これは恐らく一番いけないことに違ひはありません。けれど私たちが今迄過ごして来たいろ/\なことについてふ …
読書目安時間:約21分
嘘言を吐くと云ふことは悪いことだと私達はずつと小さい時から教へられて来ました。これは恐らく一番いけないことに違ひはありません。けれど私たちが今迄過ごして来たいろ/\なことについてふ …
「現代と婦人の生活」序に代へて(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
らいてうさま、 ほんとうに私は嬉しう御ざいます。私はあなたの第二の感想集が出版されるのだと思ひますとまるで自分のものでも出すやうな心持ちがいたします。最近の私達の生活を知つてゐるも …
読書目安時間:約1分
らいてうさま、 ほんとうに私は嬉しう御ざいます。私はあなたの第二の感想集が出版されるのだと思ひますとまるで自分のものでも出すやうな心持ちがいたします。最近の私達の生活を知つてゐるも …
乞食の名誉(新字旧仮名)
読書目安時間:約38分
深い悩みが、其の夜も、とし子を強く捉へてゐた。予定のレツスンに入つてからも、Y氏の読みにつれて、眼は行を逐ふては行くけれど、頭の中の黒い影が、行と行の間を、字句の間を覆ふて、まるで …
読書目安時間:約38分
深い悩みが、其の夜も、とし子を強く捉へてゐた。予定のレツスンに入つてからも、Y氏の読みにつれて、眼は行を逐ふては行くけれど、頭の中の黒い影が、行と行の間を、字句の間を覆ふて、まるで …
最近の感想(新字旧仮名)
読書目安時間:約3分
細々した日々の感想を洩れなく書きつけて見たらばと思ふが、まだなか/\さうは行かないものである。 最近の私の感じた事と云へば、「エゴ」の中の「家出の前後」と題する千家元麿氏の脚本であ …
読書目安時間:約3分
細々した日々の感想を洩れなく書きつけて見たらばと思ふが、まだなか/\さうは行かないものである。 最近の私の感じた事と云へば、「エゴ」の中の「家出の前後」と題する千家元麿氏の脚本であ …
サニンの態度(新字旧仮名)
読書目安時間:約4分
どんな性格の男に敬愛を捧げるかと云ふ問に対して理想を云へば、何れ鐘太鼓でさがしても、見つからぬやうなせひぜひ虫のいゝ事を並べても見られませうが、先づ手つ取り早く彼のやうな男がと云ふ …
読書目安時間:約4分
どんな性格の男に敬愛を捧げるかと云ふ問に対して理想を云へば、何れ鐘太鼓でさがしても、見つからぬやうなせひぜひ虫のいゝ事を並べても見られませうが、先づ手つ取り早く彼のやうな男がと云ふ …
私信:――野上彌生様へ(新字旧仮名)
読書目安時間:約13分
八重子様 本当に暫く手紙を書きませんでした。この間の御親切なお手紙にも私はまだ御返事を上げないでゐました。御病気はいかゞです。私は矢張り落ち付かない日を送つてゐます。もうすつかり新 …
読書目安時間:約13分
八重子様 本当に暫く手紙を書きませんでした。この間の御親切なお手紙にも私はまだ御返事を上げないでゐました。御病気はいかゞです。私は矢張り落ち付かない日を送つてゐます。もうすつかり新 …
出奔(新字新仮名)
読書目安時間:約19分
まずい朝飯をすますと登志子は室に帰っていった。縁側の日あたりに美しく咲きほこっていた石楠花ももういつか見る影もなくなった。 この友達の所へ来てちょうどもう一週間は経ってしまった。い …
読書目安時間:約19分
まずい朝飯をすますと登志子は室に帰っていった。縁側の日あたりに美しく咲きほこっていた石楠花ももういつか見る影もなくなった。 この友達の所へ来てちょうどもう一週間は経ってしまった。い …
消息(新字旧仮名)
読書目安時間:約2分
こちらへまゐりましてからまだしみじみおちついた気持になれないうちに東京からは後から/\いろ/\な面倒なことを言つて来たり何かして本当によはりきつて居ます其為めにまだ何所へも手紙らし …
読書目安時間:約2分
こちらへまゐりましてからまだしみじみおちついた気持になれないうちに東京からは後から/\いろ/\な面倒なことを言つて来たり何かして本当によはりきつて居ます其為めにまだ何所へも手紙らし …
書簡 大杉栄宛:(一九一六年五月一日)(新字旧仮名)
読書目安時間:約3分
宛先東京市麹町区三番町六四第一福四萬館 発信地千葉県夷隅郡御宿上野屋旅館 今日あなたからお手紙を頂けようとは思へませんでしたのに、本当にうれしうございました。 今頃はあなたは何をし …
読書目安時間:約3分
宛先東京市麹町区三番町六四第一福四萬館 発信地千葉県夷隅郡御宿上野屋旅館 今日あなたからお手紙を頂けようとは思へませんでしたのに、本当にうれしうございました。 今頃はあなたは何をし …
書簡 大杉栄宛:(一九一六年五月九日 一信)(新字旧仮名)
読書目安時間:約3分
宛先東京市麹町区三番町六四第一福四萬館 発信地千葉県夷隅郡御宿上野屋旅館 昨日のあらしがひどかつたので、別荘の掃除が大変だと云つて、おひるから婆やがひまを貰ひたいと云ひだしましたの …
読書目安時間:約3分
宛先東京市麹町区三番町六四第一福四萬館 発信地千葉県夷隅郡御宿上野屋旅館 昨日のあらしがひどかつたので、別荘の掃除が大変だと云つて、おひるから婆やがひまを貰ひたいと云ひだしましたの …
書簡 大杉栄宛:(一九一六年五月九日 二信)(新字旧仮名)
読書目安時間:約4分
宛先東京市麹町区三番町六四第一福四萬館 発信地千葉県夷隅郡御宿上野屋旅館 今、安成(二郎)さんがお帰りになつたところです。私は何もお話も書きもしないつもりでしたけれど、折角あなたの …
読書目安時間:約4分
宛先東京市麹町区三番町六四第一福四萬館 発信地千葉県夷隅郡御宿上野屋旅館 今、安成(二郎)さんがお帰りになつたところです。私は何もお話も書きもしないつもりでしたけれど、折角あなたの …
書簡 大杉栄宛:(一九一六年五月三一日)(新字旧仮名)
読書目安時間:約5分
宛先東京市麹町区三番町六四第一福四萬館 発信地千葉県夷隅郡御宿上野屋旅館 今朝も、あなたからのおたよりを待つてゐましたのに来ないで、長い/\お八重さんからの手紙が来ました。そして、 …
読書目安時間:約5分
宛先東京市麹町区三番町六四第一福四萬館 発信地千葉県夷隅郡御宿上野屋旅館 今朝も、あなたからのおたよりを待つてゐましたのに来ないで、長い/\お八重さんからの手紙が来ました。そして、 …
書簡 大杉栄宛:(一九一六年五月三〇日)(新字旧仮名)
読書目安時間:約2分
宛先東京市麹町区三番町六四第一福四萬館 発信地千葉県夷隅郡御宿上野屋旅館 あなたは本当にひどいんですね。あんな余計な処まで抜き書きをしなくつたつていいぢやありませんか。本当にひどい …
読書目安時間:約2分
宛先東京市麹町区三番町六四第一福四萬館 発信地千葉県夷隅郡御宿上野屋旅館 あなたは本当にひどいんですね。あんな余計な処まで抜き書きをしなくつたつていいぢやありませんか。本当にひどい …
書簡 大杉栄宛:(一九一六年五月七日 一信)(新字旧仮名)
読書目安時間:約2分
宛先東京市麹町区三番町六四第一福四萬館 発信地千葉県夷隅郡御宿上野屋旅館 停車場を出ると、前の支店でしばらく休んで、それから宿に帰へりました。帰つてからも室にゆくのが何んだかいやな …
読書目安時間:約2分
宛先東京市麹町区三番町六四第一福四萬館 発信地千葉県夷隅郡御宿上野屋旅館 停車場を出ると、前の支店でしばらく休んで、それから宿に帰へりました。帰つてからも室にゆくのが何んだかいやな …
書簡 大杉栄宛:(一九一六年五月七日 二信)(新字旧仮名)
読書目安時間:約5分
宛先東京市麹町区三番町六四第一福四萬館 発信地千葉県夷隅郡御宿上野屋旅館 今朝あなたへの手紙を出して仕舞ふと直ぐに仕事にかかるつもりで居りましたが、何んだかグルーミーな気持になつて …
読書目安時間:約5分
宛先東京市麹町区三番町六四第一福四萬館 発信地千葉県夷隅郡御宿上野屋旅館 今朝あなたへの手紙を出して仕舞ふと直ぐに仕事にかかるつもりで居りましたが、何んだかグルーミーな気持になつて …
書簡 大杉栄宛:(一九一六年五月二七日)(新字旧仮名)
読書目安時間:約5分
宛先東京市麹町区三番町六四第一福四萬館 発信地千葉県夷隅郡御宿上野屋旅館 今日私はあなたがおたちになる前に、二三日前からの私の我儘をお詫びして許して頂かうと思ひましたの。それで、幾 …
読書目安時間:約5分
宛先東京市麹町区三番町六四第一福四萬館 発信地千葉県夷隅郡御宿上野屋旅館 今日私はあなたがおたちになる前に、二三日前からの私の我儘をお詫びして許して頂かうと思ひましたの。それで、幾 …
書簡 大杉栄宛:(一九一六年五月二日)(新字旧仮名)
読書目安時間:約3分
宛先東京市麹町区三番町六四第一福四萬館 発信地千葉県夷隅郡御宿上野屋旅館 会ひたくない人に無理に会はなくてもよろしうございます。何卒御随意になさいまし。一生会はなくつたつて、まさか …
読書目安時間:約3分
宛先東京市麹町区三番町六四第一福四萬館 発信地千葉県夷隅郡御宿上野屋旅館 会ひたくない人に無理に会はなくてもよろしうございます。何卒御随意になさいまし。一生会はなくつたつて、まさか …
書簡 大杉栄宛:(一九一六年五月三日)(新字旧仮名)
読書目安時間:約4分
宛先東京市麹町区三番町六四第一福四萬館 発信地千葉県夷隅郡御宿上野屋旅館 今日は朝ハガキを書いたつきりでしたね。あなたのお手紙を拝見して、私も大変いい気持になりました。本当に今私は …
読書目安時間:約4分
宛先東京市麹町区三番町六四第一福四萬館 発信地千葉県夷隅郡御宿上野屋旅館 今日は朝ハガキを書いたつきりでしたね。あなたのお手紙を拝見して、私も大変いい気持になりました。本当に今私は …
書簡 大杉栄宛:(一九一六年四月三〇日 一信)(新字旧仮名)
読書目安時間:約2分
宛先東京市麹町区三番町六四第一福四萬館 発信地千葉県夷隅郡御宿上野屋旅館 ゆふべ、つくと直ぐに手紙を書き出しましたけれど、腰が痛んで気持が悪いので止めました。つきますと直ぐに雨が降 …
読書目安時間:約2分
宛先東京市麹町区三番町六四第一福四萬館 発信地千葉県夷隅郡御宿上野屋旅館 ゆふべ、つくと直ぐに手紙を書き出しましたけれど、腰が痛んで気持が悪いので止めました。つきますと直ぐに雨が降 …
書簡 大杉栄宛:(一九一六年四月三〇日 二信)(新字旧仮名)
読書目安時間:約3分
宛先東京市麹町区三番町六四第一福四萬館 発信地千葉県夷隅郡御宿上野屋旅館 ひどい嵐です。一寸も外には出られません。本当にさびしい日です。けれど今日は、さつきあなたに手紙を書いた後、 …
読書目安時間:約3分
宛先東京市麹町区三番町六四第一福四萬館 発信地千葉県夷隅郡御宿上野屋旅館 ひどい嵐です。一寸も外には出られません。本当にさびしい日です。けれど今日は、さつきあなたに手紙を書いた後、 …
書簡 大杉栄宛:(一九一六年七月一五日 一信)(新字旧仮名)
読書目安時間:約4分
宛先東京市麹町区三番町六四第一福四萬館 発信地大阪市北区上福島 昨日はとうたうはがきを書く事も出来ませんで失礼して仕舞ひました。何卒あしからずおゆるし下さい。 停車場に和気(律次郎 …
読書目安時間:約4分
宛先東京市麹町区三番町六四第一福四萬館 発信地大阪市北区上福島 昨日はとうたうはがきを書く事も出来ませんで失礼して仕舞ひました。何卒あしからずおゆるし下さい。 停車場に和気(律次郎 …
書簡 大杉栄宛:(一九一六年七月一五日 二信)(新字旧仮名)
読書目安時間:約2分
宛先東京市麹町区三番町六四第一福四萬館 発信地大阪市北区上福島 すこし甘へたくなつたから、また手紙を書きたいの。野枝公もうすつかり悄気てゐるの。だつて来ると早くからいぢめられてゐる …
読書目安時間:約2分
宛先東京市麹町区三番町六四第一福四萬館 発信地大阪市北区上福島 すこし甘へたくなつたから、また手紙を書きたいの。野枝公もうすつかり悄気てゐるの。だつて来ると早くからいぢめられてゐる …
書簡 大杉栄宛:(一九一六年六月一日)(新字旧仮名)
読書目安時間:約3分
宛先東京市麹町区三番町六四第一福四萬館 発信地千葉県夷隅郡御宿上野屋旅館 今日は朝からちつとも仕事が出来ないので困つてゐましたの。昨日お手紙が来たので、今日はもう頂けないものと思つ …
読書目安時間:約3分
宛先東京市麹町区三番町六四第一福四萬館 発信地千葉県夷隅郡御宿上野屋旅館 今日は朝からちつとも仕事が出来ないので困つてゐましたの。昨日お手紙が来たので、今日はもう頂けないものと思つ …
書簡 大杉栄宛:(一九一六年六月二二日)(新字旧仮名)
読書目安時間:約3分
宛先東京市麹町区三番町六四第一福四萬館 発信地千葉県夷隅郡御宿上野屋旅館 ゆふべ、また、二階の室に行つて、ひとりであの広い蚊帳のなかにすはつて手紙を書き続けようとしましたけれども、 …
読書目安時間:約3分
宛先東京市麹町区三番町六四第一福四萬館 発信地千葉県夷隅郡御宿上野屋旅館 ゆふべ、また、二階の室に行つて、ひとりであの広い蚊帳のなかにすはつて手紙を書き続けようとしましたけれども、 …
書簡 大杉栄宛:(一九一六年六月六日)(新字旧仮名)
読書目安時間:約3分
宛先東京市麹町区三番町六四第一福四萬館 発信地千葉県夷隅郡御宿上野屋旅館 雑誌ありがたう御座いました。今皆よんで見ました。昨日からの不快が少し減じました。この位方々でやつつけられゝ …
読書目安時間:約3分
宛先東京市麹町区三番町六四第一福四萬館 発信地千葉県夷隅郡御宿上野屋旅館 雑誌ありがたう御座いました。今皆よんで見ました。昨日からの不快が少し減じました。この位方々でやつつけられゝ …
書簡 蒲原房枝宛:(一九一五年頃)(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
発信地東京市小石川区指ヶ谷町九二 お手紙拝見、おたづねのこと、もつての外のことにて御返事のかぎりにこれなく候。私にこんなお手紙お書きになるまへに、しかと奥村氏にまでおたゞしになつて …
読書目安時間:約1分
発信地東京市小石川区指ヶ谷町九二 お手紙拝見、おたづねのこと、もつての外のことにて御返事のかぎりにこれなく候。私にこんなお手紙お書きになるまへに、しかと奥村氏にまでおたゞしになつて …
書簡 木村荘太宛:(一九一三年六月二四日)(新字旧仮名)
読書目安時間:約11分
宛先東京市麹町区平河町 発信地東京市外上駒込染井三二九辻方 御手紙拝見いたしました。そして私はあの御手紙の全面に溢れたあなたの力強い真実に強く接しました。同時に私は何とも形容の出来 …
読書目安時間:約11分
宛先東京市麹町区平河町 発信地東京市外上駒込染井三二九辻方 御手紙拝見いたしました。そして私はあの御手紙の全面に溢れたあなたの力強い真実に強く接しました。同時に私は何とも形容の出来 …
書簡 武部ツタ宛:(一九一七年一〇月一日)(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
宛先大坂市西区松島十返町武部種吉様方 発信地東京市外巣鴨村宮仲二五八三 前略おかはりはありませんか、 私も元気でゐます故御安心下さい。 先日廿五日に女児出産魔子と名づけました。 そ …
読書目安時間:約1分
宛先大坂市西区松島十返町武部種吉様方 発信地東京市外巣鴨村宮仲二五八三 前略おかはりはありませんか、 私も元気でゐます故御安心下さい。 先日廿五日に女児出産魔子と名づけました。 そ …
書簡 武部ツタ宛:(一九一七年八月一三日)(新字旧仮名)
読書目安時間:約2分
宛先大坂市西区松島十返町武部種吉様方 発信地東京市外巣鴨村宮仲二五八三 お手紙拝見。大坂に来てゐると云ふことはやつと半月ばかり前にききました。東京に来たのだつたら尋ねて来ればよかつ …
読書目安時間:約2分
宛先大坂市西区松島十返町武部種吉様方 発信地東京市外巣鴨村宮仲二五八三 お手紙拝見。大坂に来てゐると云ふことはやつと半月ばかり前にききました。東京に来たのだつたら尋ねて来ればよかつ …
書簡 山田邦子宛:(一九一五年七月一一日)(新字旧仮名)
読書目安時間:約4分
宛先東京代々木 発信地小石川区指ヶ谷町青鞜社 お手紙拝見いたしました。おかねもたしかに頂だい致しました。ありがたく御礼申上げます。この間から、あなたにはお目に懸りに伺はふか、それと …
読書目安時間:約4分
宛先東京代々木 発信地小石川区指ヶ谷町青鞜社 お手紙拝見いたしました。おかねもたしかに頂だい致しました。ありがたく御礼申上げます。この間から、あなたにはお目に懸りに伺はふか、それと …
女教員の縊死:(三面記事評論)(新字旧仮名)
読書目安時間:約4分
女教員の縊死と題して大阪朝日に記されてゐた事柄は、大阪市内の某校の女教師が母と一緒に暮してゐてそのうち養子を迎へたがどうしても仲よくすることが出来ずに争ひがたえなかったが或日も午後 …
読書目安時間:約4分
女教員の縊死と題して大阪朝日に記されてゐた事柄は、大阪市内の某校の女教師が母と一緒に暮してゐてそのうち養子を迎へたがどうしても仲よくすることが出来ずに争ひがたえなかったが或日も午後 …
新刊紹介:〔伝説の時代〕(新字旧仮名)
読書目安時間:約2分
伝説の時代(タマス、ブルフインチ著野上彌生子訳)定価弐円尚文堂発行 七百頁に近い大部なもので、全部四十一章に別れてゐて古代希臘羅馬の神話東方北方の伝説が残らず集まってゐる。 訳しぶ …
読書目安時間:約2分
伝説の時代(タマス、ブルフインチ著野上彌生子訳)定価弐円尚文堂発行 七百頁に近い大部なもので、全部四十一章に別れてゐて古代希臘羅馬の神話東方北方の伝説が残らず集まってゐる。 訳しぶ …
成長が生んだ私の恋愛破綻(新字新仮名)
読書目安時間:約21分
自分の信ずる事の出来る唯一のものは、やはり自分自身より他にはありません。自分以外の本当に唯一な人と思う人さえ本当にはいっしょに融け合う事はむずかしいのです。 自分の本当の心持——そ …
読書目安時間:約21分
自分の信ずる事の出来る唯一のものは、やはり自分自身より他にはありません。自分以外の本当に唯一な人と思う人さえ本当にはいっしょに融け合う事はむずかしいのです。 自分の本当の心持——そ …
『青鞜』を引き継ぐに就いて(新字旧仮名)
読書目安時間:約22分
新しきものゝ動き初めたときに旧いものから加へらるゝ圧迫は大抵同じ形式をもつて何時もおしよせて来るやうに思はれます。 青鞜が創刊当時から今日迄加へられて来ましたあらゆる方面に於ける圧 …
読書目安時間:約22分
新しきものゝ動き初めたときに旧いものから加へらるゝ圧迫は大抵同じ形式をもつて何時もおしよせて来るやうに思はれます。 青鞜が創刊当時から今日迄加へられて来ましたあらゆる方面に於ける圧 …
背負ひ切れぬ重荷(新字旧仮名)
読書目安時間:約17分
今から、六七年ばかり以前に、私の郷里で非常に善良なをとなしい一人の女教師が、自宅の前の溜池で自殺を遂げた事があります。 その死は、いろ/\な意味で、その周囲には深い注意をもつて観ら …
読書目安時間:約17分
今から、六七年ばかり以前に、私の郷里で非常に善良なをとなしい一人の女教師が、自宅の前の溜池で自殺を遂げた事があります。 その死は、いろ/\な意味で、その周囲には深い注意をもつて観ら …
男性に対する主張と要求(新字旧仮名)
読書目安時間:約12分
未来の予想と云ふやうな事は余程確実な根底をもつてゐなければ出来ないことで、また外れ易いものだと思ひます。 今までの経過を考へて、また現在の状態を観て、さて此度は必ず斯くあるべき筈だ …
読書目安時間:約12分
未来の予想と云ふやうな事は余程確実な根底をもつてゐなければ出来ないことで、また外れ易いものだと思ひます。 今までの経過を考へて、また現在の状態を観て、さて此度は必ず斯くあるべき筈だ …
貞操に就いての雑感(新字旧仮名)
読書目安時間:約12分
在来の道徳の中でも一番婦人を苦めたものは貞操であるらしい。 私は今迄かなり貞操と云ふことについては他人の考へを聞いたり教へられたりしたけれど私自身のちやんとした貞操観と云ふものは持 …
読書目安時間:約12分
在来の道徳の中でも一番婦人を苦めたものは貞操であるらしい。 私は今迄かなり貞操と云ふことについては他人の考へを聞いたり教へられたりしたけれど私自身のちやんとした貞操観と云ふものは持 …
転機(新字新仮名)
読書目安時間:約1時間8分
不案内な道を教えられるままに歩いて古河の町外れまで来ると、通りは思いがけなく、まだ新らしい高い堤防で遮られている道ばたで、子供を遊ばせている老婆に私はまた尋ねた。老婆はけげんな顔を …
読書目安時間:約1時間8分
不案内な道を教えられるままに歩いて古河の町外れまで来ると、通りは思いがけなく、まだ新らしい高い堤防で遮られている道ばたで、子供を遊ばせている老婆に私はまた尋ねた。老婆はけげんな顔を …
読者諸氏に(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
私は自分で編輯するこの雑誌を、出来る丈け、立派なものにしたいと思ひます。けれども如何に、私が自惚れて見ましても本当に貧弱な内容しか持つことが出来ません。私一個の微力では勿論どうして …
読書目安時間:約1分
私は自分で編輯するこの雑誌を、出来る丈け、立派なものにしたいと思ひます。けれども如何に、私が自惚れて見ましても本当に貧弱な内容しか持つことが出来ません。私一個の微力では勿論どうして …
中村孤月様へ(新字旧仮名)
読書目安時間:約8分
私は、あなたにはもう一切手紙を書くまいと思つてゐました。けれども廿五日の第三帝国を読みまして、我慢してゐられなくなりました。私は昨夜それを読みました。私はその事についてぢつと考へつ …
読書目安時間:約8分
私は、あなたにはもう一切手紙を書くまいと思つてゐました。けれども廿五日の第三帝国を読みまして、我慢してゐられなくなりました。私は昨夜それを読みました。私はその事についてぢつと考へつ …
日記より(新字旧仮名)
読書目安時間:約9分
六日———— 雨だらうと思つたのに案外な上天気。和らかな日影が椽側の障子一ぱいに射してゐる。 書椽の方の障子一枚開くと真青な松の梢と高い晴れた空が覗かれる。波の音も聞こえぬ。サフラ …
読書目安時間:約9分
六日———— 雨だらうと思つたのに案外な上天気。和らかな日影が椽側の障子一ぱいに射してゐる。 書椽の方の障子一枚開くと真青な松の梢と高い晴れた空が覗かれる。波の音も聞こえぬ。サフラ …
人間と云ふ意識(新字旧仮名)
読書目安時間:約6分
十月号掲載の岩野清子氏の「個人主義と家庭」と云ふ論文を読んで私は或る点については全く私の考へ方と同一であるのを見出したけれど他の方面に於いて私の考へてゐるのとは可なりに違つてゐるこ …
読書目安時間:約6分
十月号掲載の岩野清子氏の「個人主義と家庭」と云ふ論文を読んで私は或る点については全く私の考へ方と同一であるのを見出したけれど他の方面に於いて私の考へてゐるのとは可なりに違つてゐるこ …
白痴の母(新字旧仮名)
読書目安時間:約18分
裏の松原でサラツサラツと砂の上の落松葉を掻きよせる音が高く晴れ渡つた大空に、如何にも気持のよいリズムをもつて響き渡つてゐます。私は久しぶりで騒々しい都会の轢音から逃れて神経にふれる …
読書目安時間:約18分
裏の松原でサラツサラツと砂の上の落松葉を掻きよせる音が高く晴れ渡つた大空に、如何にも気持のよいリズムをもつて響き渡つてゐます。私は久しぶりで騒々しい都会の轢音から逃れて神経にふれる …
東の渚(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
東の磯の離れ岩、 その褐色の岩の背に、 今日もとまつたケエツブロウよ、 何故にお前はそのやうに かなしい声してお泣きやる。 お前のつれは何処へ去た お前の寝床はどこにある—— もう …
読書目安時間:約1分
東の磯の離れ岩、 その褐色の岩の背に、 今日もとまつたケエツブロウよ、 何故にお前はそのやうに かなしい声してお泣きやる。 お前のつれは何処へ去た お前の寝床はどこにある—— もう …
火つけ彦七(新字旧仮名)
読書目安時間:約25分
今から廿年ばかり前に、北九州の或村はづれに一人の年老つた乞食が、行き倒れてゐました。風雨に曝され垢にまみれたその皮膚は無気味な、ひからびた色をして、肉が落ちてとがり切つた骨を覆ふて …
読書目安時間:約25分
今から廿年ばかり前に、北九州の或村はづれに一人の年老つた乞食が、行き倒れてゐました。風雨に曝され垢にまみれたその皮膚は無気味な、ひからびた色をして、肉が落ちてとがり切つた骨を覆ふて …
平塚明子論(新字旧仮名)
読書目安時間:約32分
最近の我国婦人解放運動の第一人者として常に注目されつゝあるらいてう平塚明氏に就いて、これ迄公にされたものは可なり多い、或は氏の事業に就いて、或はその私生活について思想について人とな …
読書目安時間:約32分
最近の我国婦人解放運動の第一人者として常に注目されつゝあるらいてう平塚明氏に就いて、これ迄公にされたものは可なり多い、或は氏の事業に就いて、或はその私生活について思想について人とな …
夫婦喧嘩の功過と責任の所在(アンケート回答)(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
一、夫婦喧嘩のときには、私は出来るだけ何時でも、強情を張ります、男はさう云ふ場合には意久地のないものです。尤も男に云はせれば面倒くさいからと云ひますけれども何でもかんでも、此方から …
読書目安時間:約1分
一、夫婦喧嘩のときには、私は出来るだけ何時でも、強情を張ります、男はさう云ふ場合には意久地のないものです。尤も男に云はせれば面倒くさいからと云ひますけれども何でもかんでも、此方から …
福岡の女(新字旧仮名)
読書目安時間:約2分
■福岡県の女は佐賀県や、熊本県の同性のやうに、海外に密航して浅ましい生活するのは少いやうですが、小学校や、女学校を出た後、米国などへ行つて人の妻となり、健全な家庭を作つてゐるのは、 …
読書目安時間:約2分
■福岡県の女は佐賀県や、熊本県の同性のやうに、海外に密航して浅ましい生活するのは少いやうですが、小学校や、女学校を出た後、米国などへ行つて人の妻となり、健全な家庭を作つてゐるのは、 …
「婦人解放の悲劇」自序(新字旧仮名)
読書目安時間:約8分
とうに『恋愛と道徳』が単行になつて出る筈であつたが、あれだけでは一冊とするにはあまりに貧弱(量の上に於て)だと云ふ書店の意見から、その後雑誌(青鞜)で発表したエンマ・ゴルドマンの『 …
読書目安時間:約8分
とうに『恋愛と道徳』が単行になつて出る筈であつたが、あれだけでは一冊とするにはあまりに貧弱(量の上に於て)だと云ふ書店の意見から、その後雑誌(青鞜)で発表したエンマ・ゴルドマンの『 …
「別居」について(新字新仮名)
読書目安時間:約14分
私と、辻との間に「別居」という話が持ち出されたのは、この頃の事ではないのです。ちょうど、一年あまりになります。 私の今までの五年間の家庭生活というものは、私自身にとっては非常に無理 …
読書目安時間:約14分
私と、辻との間に「別居」という話が持ち出されたのは、この頃の事ではないのです。ちょうど、一年あまりになります。 私の今までの五年間の家庭生活というものは、私自身にとっては非常に無理 …
編輯室より:(一九一五年一月号)(新字旧仮名)
読書目安時間:約4分
□編輯室も随分賑やかでしたけれ共とう/\私一人にされてしまひました。ひとりでコツコツ校正をやるつまらなさはあの文祥堂の二階の時分を思ひ出させます。 □大正三年はもう暮れましたがかな …
読書目安時間:約4分
□編輯室も随分賑やかでしたけれ共とう/\私一人にされてしまひました。ひとりでコツコツ校正をやるつまらなさはあの文祥堂の二階の時分を思ひ出させます。 □大正三年はもう暮れましたがかな …
編輯室より:(一九一五年五月号)(新字旧仮名)
読書目安時間:約4分
□今月号は大変後れてしまひました。以後はこんなことのないやうに気をつけます、勿論これはあながち私が怠けた為でなく大部分は印刷所の都合に由るのです。 □毎号不着のハガキがきつと一二枚 …
読書目安時間:約4分
□今月号は大変後れてしまひました。以後はこんなことのないやうに気をつけます、勿論これはあながち私が怠けた為でなく大部分は印刷所の都合に由るのです。 □毎号不着のハガキがきつと一二枚 …
編輯室より:(一九一五年三月号)(新字旧仮名)
読書目安時間:約1分
□毎月校正を済ますとほつとしますけれども直ぐ後からいら/\して来ます。何故こう引きしまつたものが出来ないのだらうと情なくなつてしまひます。自分の無能が悲しくなります。でも兎に角出来 …
読書目安時間:約1分
□毎月校正を済ますとほつとしますけれども直ぐ後からいら/\して来ます。何故こう引きしまつたものが出来ないのだらうと情なくなつてしまひます。自分の無能が悲しくなります。でも兎に角出来 …
編輯室より:(一九一五年四月号)(新字旧仮名)
読書目安時間:約4分
□先月は随分つまらないものを出したので大分方々からおしかりを受けました。そのうめ合はせに今月は特別号にして少しよくしやうかと思ひましたけれど何しろちつとも準備が出来てゐませんから来 …
読書目安時間:約4分
□先月は随分つまらないものを出したので大分方々からおしかりを受けました。そのうめ合はせに今月は特別号にして少しよくしやうかと思ひましたけれど何しろちつとも準備が出来てゐませんから来 …
編輯室より:(一九一五年七月号)(新字旧仮名)
読書目安時間:約3分
□先月号は風俗壊乱と云ふ名の下に発売を禁止されました。忌諱にふれたのは原田さんのらしいのです、他には何にもそんなのはありませんから。私は少しもそんなことを考へずに、可なりさうした考 …
読書目安時間:約3分
□先月号は風俗壊乱と云ふ名の下に発売を禁止されました。忌諱にふれたのは原田さんのらしいのです、他には何にもそんなのはありませんから。私は少しもそんなことを考へずに、可なりさうした考 …
編輯室より:(一九一五年二月号)(新字旧仮名)
読書目安時間:約2分
□此度こそは少しどうにかと思ひ/\次号へ次号へと逐はれて一向思つた半分も出来ません。出来もしないことを発表したつて馬鹿気てゐますから黙つてゐます。併しそのうちにもつとしつかりしたも …
読書目安時間:約2分
□此度こそは少しどうにかと思ひ/\次号へ次号へと逐はれて一向思つた半分も出来ません。出来もしないことを発表したつて馬鹿気てゐますから黙つてゐます。併しそのうちにもつとしつかりしたも …
編輯室より:(一九一五年六月号)(新字旧仮名)
読書目安時間:約6分
□毎号々々意に満たないものばかり皆様にお目に懸けなければならないのを本当に残念に思ひます。先月号はあんなに後れてしまひますし、今月はまた、私のからだが重くて少しも思ふやうに動きませ …
読書目安時間:約6分
□毎号々々意に満たないものばかり皆様にお目に懸けなければならないのを本当に残念に思ひます。先月号はあんなに後れてしまひますし、今月はまた、私のからだが重くて少しも思ふやうに動きませ …
編輯室より:(一九一三年七月号)(新字旧仮名)
読書目安時間:約3分
□此の間中央新聞の白田天坡といふ記者が事務所に来て皆に会ひ度いと云つたさうです。丁度面会日でもなんでもなかつて、小母さん一人だつたので断りますと、その記者は玄関先きに立つて、いつま …
読書目安時間:約3分
□此の間中央新聞の白田天坡といふ記者が事務所に来て皆に会ひ度いと云つたさうです。丁度面会日でもなんでもなかつて、小母さん一人だつたので断りますと、その記者は玄関先きに立つて、いつま …
編輯室より:(一九一三年六月号)(新字旧仮名)
読書目安時間:約5分
□五月の第一日曜日に茶話会を開きましたが事務所にお集り下すつたのは、内部の四人をのぞく他、多賀さんが一寸ゐらして下すつたのと岩野さんきりでした。これから一々おしらせ致しませんが毎週 …
読書目安時間:約5分
□五月の第一日曜日に茶話会を開きましたが事務所にお集り下すつたのは、内部の四人をのぞく他、多賀さんが一寸ゐらして下すつたのと岩野さんきりでした。これから一々おしらせ致しませんが毎週 …
編輯室より:(一九一四年一一月号)(新字旧仮名)
読書目安時間:約4分
□永い間不如意な経済の遣繰りや方々の書店との交渉やそれからまだ外の細々した面倒な仕事と雑誌の編輯で疲れきつたらいてう氏は十月十二日に千葉県の御宿村へ行つた。後に残された私はそれ等の …
読書目安時間:約4分
□永い間不如意な経済の遣繰りや方々の書店との交渉やそれからまだ外の細々した面倒な仕事と雑誌の編輯で疲れきつたらいてう氏は十月十二日に千葉県の御宿村へ行つた。後に残された私はそれ等の …
編輯室より:(一九一四年一二月号)(新字旧仮名)
読書目安時間:約2分
□先月は大変発行が後れましたから今月はと思つてゐましたけれど矢張り原稿の集め方がおそかつたのと手廻しよくゆかないためにまた後れました。来月は新年号のことでもありますからずつとはやく …
読書目安時間:約2分
□先月は大変発行が後れましたから今月はと思つてゐましたけれど矢張り原稿の集め方がおそかつたのと手廻しよくゆかないためにまた後れました。来月は新年号のことでもありますからずつとはやく …
編輯室より:(一九一六年二月号)(新字旧仮名)
読書目安時間:約3分
□今月は校正の出方が大変に後れました為めにおそくなりました。先月号は二ヶ月ばかり逓信局の納本がしてありませんでした為に郵便局に三四日留め置かれましたので地方へは大変に後れましたでせ …
読書目安時間:約3分
□今月は校正の出方が大変に後れました為めにおそくなりました。先月号は二ヶ月ばかり逓信局の納本がしてありませんでした為に郵便局に三四日留め置かれましたので地方へは大変に後れましたでせ …
編輯室より:(一九一六年一月号)(新字旧仮名)
読書目安時間:約6分
□もう私が雑誌を譲り受けまして丁度一年になります。どうかしたい/\と思ひながら微力で思つた十分の一も実現することがなく無為に一年を過しました。今月号も新年号の事とてどうにかしたいと …
読書目安時間:約6分
□もう私が雑誌を譲り受けまして丁度一年になります。どうかしたい/\と思ひながら微力で思つた十分の一も実現することがなく無為に一年を過しました。今月号も新年号の事とてどうにかしたいと …
編輯室より:(一九一四年一月号)(新字旧仮名)
読書目安時間:約6分
□「武者小路氏に」十二月号白樺の誌上で私が「世間知らず」を軽蔑してゐるさうだとのことをお書きになつたのを拝見して私は本当に意外に存じました。本当に心外に思ひます。 私は他人の作品に …
読書目安時間:約6分
□「武者小路氏に」十二月号白樺の誌上で私が「世間知らず」を軽蔑してゐるさうだとのことをお書きになつたのを拝見して私は本当に意外に存じました。本当に心外に思ひます。 私は他人の作品に …
編輯室より:(一九一四年三月号)(新字旧仮名)
読書目安時間:約2分
□今月号の従妹に宛てた私の手紙は実におはづかしいものだ。私はあのまゝでは発表したくなかつた。もう少ししつかりしたものにして発表したかつた。併し日数がせつぱつまつてから出さうと約束し …
読書目安時間:約2分
□今月号の従妹に宛てた私の手紙は実におはづかしいものだ。私はあのまゝでは発表したくなかつた。もう少ししつかりしたものにして発表したかつた。併し日数がせつぱつまつてから出さうと約束し …
編輯だより:(一九一五年九月号)(新字旧仮名)
読書目安時間:約3分
□種々なうはさに幾分不安をお感じになつた方が読者の間にも多少あつたことゝ思ひます。けれども、どんなことがあつても永久に廃刊するなどいふことはしたくないと私自身は思つてゐます。少々位 …
読書目安時間:約3分
□種々なうはさに幾分不安をお感じになつた方が読者の間にも多少あつたことゝ思ひます。けれども、どんなことがあつても永久に廃刊するなどいふことはしたくないと私自身は思つてゐます。少々位 …
惑ひ(新字旧仮名)
読書目安時間:約52分
『本当にどうかして貰はないぢや困るよ、明日は是非神田の方に出掛けなきやならないんだからね』 母親はさう云つて谷の生返事に、頻りに念を押してゐた。と云つて、彼女は決して、谷をあてにし …
読書目安時間:約52分
『本当にどうかして貰はないぢや困るよ、明日は是非神田の方に出掛けなきやならないんだからね』 母親はさう云つて谷の生返事に、頻りに念を押してゐた。と云つて、彼女は決して、谷をあてにし …
惑ひ(新字旧仮名)
読書目安時間:約12分
その手紙を町子が男の本箱の抽斗に見出した時に、彼女は全身の血がみんな逆上することを感じながらドキ/\する胸をおさへた。『あの女だ、あの女だ。』息をはづませながら彼女はそふ思つた。そ …
読書目安時間:約12分
その手紙を町子が男の本箱の抽斗に見出した時に、彼女は全身の血がみんな逆上することを感じながらドキ/\する胸をおさへた。『あの女だ、あの女だ。』息をはづませながら彼女はそふ思つた。そ …
嫁泥棒譚(新字旧仮名)
読書目安時間:約14分
『ね、お祖母さん、うちぢや、Aにも親類があるのでせう?』 私は、祖母から彼方此方の親戚との関係を聞かされた時、ふと思ひ出してかう尋ねました。 『ないよ、何故ね?』 祖母は妙な顔をし …
読書目安時間:約14分
『ね、お祖母さん、うちぢや、Aにも親類があるのでせう?』 私は、祖母から彼方此方の親戚との関係を聞かされた時、ふと思ひ出してかう尋ねました。 『ないよ、何故ね?』 祖母は妙な顔をし …
らいてう氏に(新字旧仮名)
読書目安時間:約7分
らいてうさま、 お体の工合はどんなですか、私は一週間目から産褥をはなれて居ります、この辺は御大典奉祝の「ドンタク」で大変です、東京もさぞ大変でせう。 漸く帰京が出来るやうになりまし …
読書目安時間:約7分
らいてうさま、 お体の工合はどんなですか、私は一週間目から産褥をはなれて居ります、この辺は御大典奉祝の「ドンタク」で大変です、東京もさぞ大変でせう。 漸く帰京が出来るやうになりまし …
わがまま(新字新仮名)
読書目安時間:約18分
関門の連絡船を降りる頃から登志子は連れのまき子や安子がいそいそと歩いていく後から重い足どりでずっと後れて歩いていった。この前年の夏休みに叔母とまき子と三人でここに降りた時には登志子 …
読書目安時間:約18分
関門の連絡船を降りる頃から登志子は連れのまき子や安子がいそいそと歩いていく後から重い足どりでずっと後れて歩いていった。この前年の夏休みに叔母とまき子と三人でここに降りた時には登志子 …
妾の会つた男の人人(新字旧仮名)
読書目安時間:約10分
四年ばかりも前に鴈治郎が新富座で椀久を出した時に、私と哥津ちやんと保持さんが見にゆく約束をしました。さうして私と保持さんは始めから一緒に行つて、新富町についてから哥津ちやんに散々待 …
読書目安時間:約10分
四年ばかりも前に鴈治郎が新富座で椀久を出した時に、私と哥津ちやんと保持さんが見にゆく約束をしました。さうして私と保持さんは始めから一緒に行つて、新富町についてから哥津ちやんに散々待 …
妾の会つた男の人々(野依秀一、中村弧月印象録)(新字旧仮名)
読書目安時間:約8分
この人は、思つたよりも底の浅い人です。正直で小胆な処があります。子供らしい可愛さがあります。此人は何時でも予想外な突飛さで人をおどかして、その隙に飛び込んで来やうとする人のやうに思 …
読書目安時間:約8分
この人は、思つたよりも底の浅い人です。正直で小胆な処があります。子供らしい可愛さがあります。此人は何時でも予想外な突飛さで人をおどかして、その隙に飛び込んで来やうとする人のやうに思 …
翻訳者としての作品一覧
科学の不思議(新字旧仮名)
読書目安時間:約7時間6分
ポオル叔父さんは、本当に驚く程物識りです。どんな不思議な事の説明でも、分りやすく面白くしてくれます。ポオル叔父さんの解いてくれる世の中の不思議な謎は、何と云ふ巧妙さで、そして無雑作 …
読書目安時間:約7時間6分
ポオル叔父さんは、本当に驚く程物識りです。どんな不思議な事の説明でも、分りやすく面白くしてくれます。ポオル叔父さんの解いてくれる世の中の不思議な謎は、何と云ふ巧妙さで、そして無雑作 …
結婚と恋愛(新字旧仮名)
読書目安時間:約17分
結婚と恋愛に関する一般の観念は其が同意義であり、同じ動機から湧き出し、同じ人間の必要を蓋ふてゐると云ふのである、大抵の通俗観念と同様にこれも亦事実に基かないで、迷信に基いてゐるので …
読書目安時間:約17分
結婚と恋愛に関する一般の観念は其が同意義であり、同じ動機から湧き出し、同じ人間の必要を蓋ふてゐると云ふのである、大抵の通俗観念と同様にこれも亦事実に基かないで、迷信に基いてゐるので …
子供の保護(新字旧仮名)
読書目安時間:約9分
共産主義国家によつてつくられた、そしてごく真面目な努力を阻んでゐる嘘の中で、子供の利益の為めにしたボルシエヰキの活動と云ふ事程、悪いそして明かな事は何処にもない。尤もロシヤの子供達 …
読書目安時間:約9分
共産主義国家によつてつくられた、そしてごく真面目な努力を阻んでゐる嘘の中で、子供の利益の為めにしたボルシエヰキの活動と云ふ事程、悪いそして明かな事は何処にもない。尤もロシヤの子供達 …
少数と多数(新字旧仮名)
読書目安時間:約13分
私は現代の傾向を要約して「量」であると云ひたい。群衆と群集精神とは随所にはびこつて「質」を破壊しつつある。今や私どもの全生活——生産、政治、教育——は全く数と量との上に置かれてゐる …
読書目安時間:約13分
私は現代の傾向を要約して「量」であると云ひたい。群衆と群集精神とは随所にはびこつて「質」を破壊しつつある。今や私どもの全生活——生産、政治、教育——は全く数と量との上に置かれてゐる …
死んだ魂(新字旧仮名)
読書目安時間:約10分
今から百年以前、ゴオゴルは其の傑作『死んだ魂』で同国人を驚かした。それは、ロシアの封建制度と其の寄生虫共を仮借なく非難したものであつた。『死んだ魂』は再びロシアの生活に帰つて来た。 …
読書目安時間:約10分
今から百年以前、ゴオゴルは其の傑作『死んだ魂』で同国人を驚かした。それは、ロシアの封建制度と其の寄生虫共を仮借なく非難したものであつた。『死んだ魂』は再びロシアの生活に帰つて来た。 …
婦人解放の悲劇(新字旧仮名)
読書目安時間:約17分
人類の間に存する種々なる集団の根本的差異を論ずるあらゆる政治及び経済上の学説、階級と種族の差異、女権と男権とを画する全ての人工的境界線などいふ様々なものが在るにもかゝはらず、この様 …
読書目安時間:約17分
人類の間に存する種々なる集団の根本的差異を論ずるあらゆる政治及び経済上の学説、階級と種族の差異、女権と男権とを画する全ての人工的境界線などいふ様々なものが在るにもかゝはらず、この様 …
恋愛と道徳(新字旧仮名)
読書目安時間:約51分
恋愛のために個人の幸福と社会の安寧とが屡々衝突する事がある。此の時に現在の義務と云ふ観念が社会に対する個人の絶対無条件の犠牲を要求する。私共はこういふことを屡々耳にする——凡そ国家 …
読書目安時間:約51分
恋愛のために個人の幸福と社会の安寧とが屡々衝突する事がある。此の時に現在の義務と云ふ観念が社会に対する個人の絶対無条件の犠牲を要求する。私共はこういふことを屡々耳にする——凡そ国家 …
“伊藤野枝”について
伊藤 野枝(いとう のえ、1895年(明治28年)1月21日 - 1923年(大正12年)9月16日)は、日本の婦人解放運動家、無政府主義者、作家、翻訳家、編集者。戸籍名は伊藤ノヱ。
かつて平塚らいてうが編集長を務めていた雑誌「青鞜」で活躍するも編集作業を放棄して休刊させ、不倫を堂々と行い、結婚制度を否定する論文を発表して戸籍上の夫である辻潤を捨てて大杉栄の妻、愛人と四角関係を演じた。その暮らしから世評に「わがまま」「奔放」と批判された反面、現代的自我の精神を50年以上も先取りして人工妊娠中絶(堕胎)、売買春(廃娼)、貞操など現在においても問題として取り上げられている課題を題材とし、多くの評論や小説、翻訳を発表した。1923年(大正12年)9月16日に発生した甘粕事件によって大杉らと共に殺害される。
(出典:Wikipedia)
かつて平塚らいてうが編集長を務めていた雑誌「青鞜」で活躍するも編集作業を放棄して休刊させ、不倫を堂々と行い、結婚制度を否定する論文を発表して戸籍上の夫である辻潤を捨てて大杉栄の妻、愛人と四角関係を演じた。その暮らしから世評に「わがまま」「奔放」と批判された反面、現代的自我の精神を50年以上も先取りして人工妊娠中絶(堕胎)、売買春(廃娼)、貞操など現在においても問題として取り上げられている課題を題材とし、多くの評論や小説、翻訳を発表した。1923年(大正12年)9月16日に発生した甘粕事件によって大杉らと共に殺害される。
(出典:Wikipedia)
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