惑ひまどい
その手紙を町子が男の本箱の抽斗に見出した時に、彼女は全身の血がみんな逆上することを感じながらドキ/\する胸をおさへた。『あの女だ、あの女だ。』息をはづませながら彼女はそふ思つた。そして異常な興奮をもつてその表書を一寸の間みつめてゐた。やがて …
題名が同じ作品
惑ひ (新字旧仮名)伊藤野枝 (著)