“煩”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
わずら46.5%
うるさ15.1%
わづら10.6%
うる10.0%
はん3.8%
わずらわ2.8%
わず2.5%
わづ1.3%
わずらい1.0%
わずろ1.0%
(他:34)5.4%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
“煩”を含む作品のジャンル比率
文学 > 日本文学 > 小説 物語12.0%
文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆2.0%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
「また泣くか。初めて逢った夜にもお前はそんな泣き顔をしていたが、その時から見ると又やつれたぞ。わずらわぬようにしろ」
鳥辺山心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
おにらみになる父帝の目と視線をお合わせになったためでか、帝は眼病におかかりになって重くおわずらいになることになった。
源氏物語:13 明石 (新字新仮名) / 紫式部(著)
蚊が居てうるさいと言いながら、一度横に成った姉妹きょうだい蝋燭ろうそくともして、蚊帳の内を尋ね廻った。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
みづのえだのかのとだの、八朔だの友引ともびきだの、つめる日だの普請をする日だのと頗るうるさいものであつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それよりも、一本二本の歯をいちいち補ふわづらはしさよりは、その手数をまとめて、一度に払つた方がいいとするのである。
大凶の籤 (新字旧仮名) / 武田麟太郎(著)
幾度か奥様は口の中で仏の名をとなながら、これから将来さきのことを思ひわづらふといふ様子に見えるのであつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
れを無理につかまへて、ねだつては話してもらひましたが、うるさかつたらうと思つて、今考へると気の毒です。
いろ扱ひ (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
そしてとても仕切れないほどの所蔵品の手入れを命じたり、観賞するためにあれこれと蔵から出し入れさせられてうるさかつた。
過去世 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
これに次ぐものはオイルランプなり、これまた一行人いちこうじんをして、手に提燈ちょうちんを携ふのはんとわかれしむ。
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
私は其都度つど形容するはんを避けたが、松村がこの苦心談をしている間の、嬉し相な様というものは、全く見物みものであった。
二銭銅貨 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「家というものはどうしてこうわずらわしいもんでしょう。僕のところなぞは、もうすこしウマく行きそうなものだがナア……」
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
わたくしは生涯独身でくらそうと決心したのでもなく、そうかといって、人をわずらわしてまで配偶者を探す気にもならなかった。
西瓜 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
主人は年の送迎にわずらわしいような事を云ったが、その態度にはどこと指してくさくさしたところは認められなかった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「これまでわずらったことがあっても今度のように元気のないことはえが、矢張やっぱり長くないしるしであるらしい」
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
勿論もちろん田舎ゐなかには苅入かりいれときよくいねはいると、それからわづらう
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
彼は、控へ目な、何かに心を奪はれてゐるやうな、何かを思ひわづらつてさへゐるやうな性質の人なのであつた。
余が住む部屋は、多くもあらぬ人の、人らしく振舞ふるまきょうを、幾曲いくまがりの廊下に隔てたれば、物の音さえ思索のわずらいにはならぬ。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
兄さんは「全く多知多解たちたげわずらいをなしたのだ」ととくに注意したくらいです。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
が住む家の歴史を知るにつけ、新村入は彼の前に問題として置かれた久さんの家を如何にす可きかと思いわずろうた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「では、なにをそのように、無用にお心をわずろうておられるのですか」
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お峯は心苦こころぐるしがりて、この上は唯警察の手を借らんなどさわぐを、直行は人をわづらはすべき事にはあらずとて聴かず。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
しかも靈は恐れも搖ぎもせず、恰もわづらはしい肉體から獨立して、自由に行つたある一つの努力が成功したのを喜ぶかの如くに雀躍こをどりしたのであつた。
卒業ののちも、衣食のわづらひなしに、講読の利益を適意に収め得る身分みぶんほこりにしてゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
又此上御わづらひおもり候ては、誠にやみの世の中に罷成儀と、只身の置處を不知候。
遺牘 (旧字旧仮名) / 西郷隆盛(著)
女房 お国でたとえはむずかしい。……おお、五十三次と承ります、東海道を十度とたびずつ、三百度、往還ゆきかえりを繰返して、三千度いたしますほどでございましょう。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
当り触り、世渡よわたりむずかしい。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「——旦那さん、その虫は構うた事にはかないませんわ。——うるそうてな……」
小春の狐 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
師匠は、(二人きりで行ったりしますと、人の口がうるそう御座いますよ)
述懐はかへつて敬之進の胸の中を軽くさせた。其晩は割合に早く酔つて、次第に物の言ひ様もくどく、しまひには呂律ろれつも廻らないやうに成つて了つたのである。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
くどいようですが、確かに、陳東海だと言いましたか」
……むづことではねえだ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
むづかしいかほをする。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
安価なやくざな品であったからこそ、意識のわざわいに犯されていないのである。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
今やこの女性が一天下のわざわいだとされるに至った。
源氏物語:01 桐壺 (新字新仮名) / 紫式部(著)
前様めえさま、今の住居すまいは、隣の嚊々かかあ小児がきい産んで、ぎゃあぎゃあうるせえ、どこか貸す処があるめえか、言わるるで、そん当時黒門さどうだちゅったら、あれは、と二の足をましっけな。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かたじけなさのおさへあへざると、且つは世の、心洵に神にあこがれていまだその声を聴かざるもの、人知れず心の悩みに泣くもの、迷ふもの、うれふるもの
予が見神の実験 (新字旧仮名) / 綱島梁川(著)
他言ひとごとはまことこちたくなりぬともそこにさはらむ吾ならなくに」(巻十二・二八八六)。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
法然ほうねんの弟子親鸞しんらんも、同じなやみを持っていた。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
難船なんせん? それはなんですか、本船ほんせんにはえず海上かいじやう警戒みは當番たうばん水夫すゐふがあるです、あへ貴下きかはずらはすはづいです。』
その声にふと眼がさめた時、涙は実際彼のほおに、冷たいあととどめていた。
素戔嗚尊 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
わたいを口説く気で、うござんすか。まったくは、あの御守殿より、私の方が口説くにはむずかしいんだから、そのつもりで、しっかりして。」
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
まあ、私は何枚書き損つたか知れないんですよ——いえ、なに、其様そんなむづかしい手紙でも有ません。唯解るやうに書いて頂きさへすれば好いのですから。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
まあ、僕に言はせると、あまり君は物をむづかしく考へ過ぎて居るやうに思はれる。友達といふものも有つて見れば、及ばず乍ら力に成るといふことも有らうぢやないか。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
すがって、あせって、もだえて、——ここから見ゆるという、花の雲井をいまはただ、あおくも白くも
瓜の涙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
モウ四月になったら外に出て歩くようになり、そのあいだに兄は僂麻質斯レウマチスわずらっり、私は熱病の大病後である、如何どうにも始末が付かない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「私宅老妻は無事、おきやうとかくわずらひ申候。夏も秋もさむく候。此比このころ楊皮やうひ蕃名ばんめいキヤキヤとか申候)柴胡さいこ鼈甲等入候和解之剤たべゐ申候。堯佐妻げうささいもと無病人むびやうじん、寒邪に壮熱、其のち腹痛等にて打臥候。右之仕合、書状も不詳悉しやうしつせず候。御免可被下候。」
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
我が心一ツのわづらいのみ、迷ひのみ。
葛のうら葉 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
例のわづらしき人は今日もつ、しかもあだならずこころめたりとおぼしき見舞物など持ちて。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)