“味”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
あじわ35.5%
み12.5%
あぢは12.3%
あぢ12.0%
あじ11.5%
あじわい4.9%
あぢはひ4.6%
あじは2.3%
うま1.3%
あじお1.3%
あじはひ0.8%
あぢあ0.3%
あぢはへ0.3%
あぢわ0.3%
もの0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
何といったって、今夜のような深い混(まじ)りっ気のない歓びというものは、おれとしては、二度と再び味(あじわ)うことの出来ない心持なんだ——
幻想 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
八歳か九歳(くさい)の時か、とにかくどちらかの秋である。陸軍大将の川島(かわしま)は回向院(えこういん)の濡(ぬ)れ仏(ぼとけ)の石壇(いしだん)の前に佇(たたず)みながら、味(み)かたの軍隊を検閲(けんえつ)した。
少年 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
山中(さんちう)江(え)の浦(うら)にて晝食(ちうじき)、古代(こだい)そつくりの建場(たてば)ながら、酒(さけ)の佳(か)なる事(こと)驚(おどろ)くばかり、斑鯛(ふだひ)?の煮肴(にざかな)、蛤(はまぐり)の汁(つゆ)、舌(した)をたゝいて味(あぢは)ふに堪(た)へたり。
熱海の春 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
其(その)忘(わす)れ難(がた)き味(あぢ)に引(ひ)かされて、行(ゆ)く事(こと)は行(ゆ)くが——行(ゆ)く度(たび)に思出(おもひだ)しては、歸途(かへりがけ)に、つい、泣(な)かされる。——いつも歸(かへ)る時(とき)は日暮(ひぐれ)になる。
そこで、まえに腸(ちょう)づめがやったように、土(ど)なべのなかにはいって、おかゆのなかをころがりまわって、味(あじ)をつけようと思ったのです。
木枯(こがらし)さけぶ夜(よ)すがら手摺(てず)れし火桶(ひおけ)かこみて影もおぼろなる燈火(とうか)の下(もと)に煮る茶の味(あじわい)は紅楼(こうろう)の緑酒(りょくしゅ)にのみ酔ふものの知らざる所なり。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
今(いま)敵國(てきこく)深(ふか)く侵(をか)して、邦内(はうない)騷動(さうどう)し、士卒(しそつ)、境(さかひ)に(一七)暴露(ばくろ)す。君(きみ)寢(い)ねて席(せき)を安(やす)んぜず、食(くら)うて味(あぢはひ)を甘(あま)しとせず。百姓(せい)の命(めい)皆(みな)君(きみ)に懸(か)かる。
彼等(かれら)は味(あじは)ふのではなくて要(えう)するに咽喉(のど)の孔(あな)を埋(うづ)めるのである。冷水(れいすゐ)を注(そゝ)いで其(そ)のぼろ/\な麥飯(むぎめし)を掻(か)き込(こ)む時(とき)彼等(かれら)の一人(ひとり)でも咀嚼(そしやく)するものはない。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
十日には味(うま)い魚を買ひ溜めて待ち設けてゐたのに、榮一は歸つて來なかつた。「もう四五日遊んで歸る。」と、大阪の市街(まち)を寫した繪端書を寄越した。
入江のほとり (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
私はこれを日本国民が二千年来この生を味(あじお)うて得た所のものが間接の思想の形式に由らず直ちに人の肉声に乗って無形のままで人心に来り迫るのだ
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
坂(さか)の上(うへ)の煙草屋(たばこや)にて北八(きたはち)嗜(たし)む處(ところ)のパイレートを購(あがな)ふ。勿論(もちろん)身錢(みぜに)なり。此(こ)の舶來(はくらい)煙草(たばこ)此邊(このへん)には未(いま)だ之(こ)れあり。但(たゞ)し濕(しめ)つて味(あじはひ)可(か)ならず。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
恁(か)ういふ理由(わけ)で比較的(ひかくてき)餘裕(よゆう)のある百姓(ひやくしやう)よりも貧乏(びんばふ)な百姓(ひやくしやう)は十分(ぶん)早(はや)く然(し)かも數次(しば/″\)其(そ)の新鮮(しんせん)な蔬菜(そさい)を味(あぢあ)ふのである。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
其(その)忙(せはし)き事の千辛(しん)万苦(く)、暖国の農業(のうげふ)に比(ひ)すれば百倍(ばい)也。さればとて雪国に生(うまる)る者(もの)は幼稚(をさなき)より雪中に成長するゆゑ、蓼中(たでのなか)の虫(むし)辛(からき)をしらざるがごとく雪を雪ともおもはざるは、暖地(だんち)の安居(あんきよ)を味(あぢはへ)ざるゆゑ也。
野田は吃驚(びつくり)して彼を見つめた。だが野田はその和作の横顔から、番茶を味(あぢわ)つて飲む人間の表情しか観察する事が出来なかつた……
朧夜 (新字旧仮名) / 犬養健(著)
仍(よ)りて婚(まぐはひ)して嫡妻(むかひめ)とす。ここにその孃子、常に種種の珍(ため)つ味(もの)を設けて、恆にその夫(ひこぢ)に食はしめき。