“思出”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
おもひだ34.0%
おもいだ25.0%
おもいで18.0%
おもひで11.0%
おもいい3.0%
おもひいだ2.0%
おめえだ2.0%
おもいいで1.0%
おめだ1.0%
おもいいだ1.0%
おもいいづ1.0%
おもひい1.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そのわすがたあぢかされて、ことくが——たび思出おもひだしては、歸途かへりがけに、つい、かされる。——いつもかへとき日暮ひぐれになる。
けれどもそのうちにフイッと何か思出おもいだしたように私の顔を押し離すと、私の眼をキットにらまえながら、今までと丸で違った低い声で
支那米の袋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
私が言ったただ一言ひとこと、(人のおもちゃになるな。)と言ったを、生命いのちがけで守っている。……可愛い娘に逢ったのが一生の思出おもいでだ。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
米原まいばら北陸線ほくりくせん分岐道ぶんきだうとて、喜多きたにはひとり思出おもひでおほい。が、けるとかぜつめたい。所爲せゐか、何爲いつもそゞろさむえきである。
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
やがて国許くにもとへ立帰る侍が、大路の棟の鬼瓦をながめて、故郷さとに残いて、月日を過ごいた、女房の顔を思出おもいいで、たえて久しい可懐なつかしさに、あの鬼瓦がその顔に瓜二つじゃと申しての
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
二つ有るものの善きを捨て、あしきを取り候て、好んで箇様かようの悲き身の上に相成候は、よくよく私に定り候運と、思出おもひいだし候てはあきらめ居り申候。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ふけえ馴染の中だで思出おめえだしてなげきが増して母様かゝさまが泣くべえ、それに種々いろ/\用があってねえでいたが悪く思ってくれるなって、でかい身体アして泣いただ
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
あゝ、日毎ひごと暮るればこゝに来て、庭造る愛らしき器物うつわもの手籠てかご、如露のそばちかく、空想にふければ、あゝわがわかかりし折の思出おもいいで。幸福を歌ふすすなきは、心の底よりほとばしり出づ。
ひよくうツと、いろいろなこつば思出おめだやつけんだろ。どぎやん云ふたてちや、そらあ、ほかんこつた違ふけんね。
牛山ホテル(五場) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
「予は自ら誓えり、世を終るまで鏡を見じと、しかり断じて鏡を見まじ。否これを見ざるのみならず、今思出おもいいだしたる鏡というものの名さえ、務めて忘れねばならぬなり。」
妖僧記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
明治年間向島の地を愛してここに林泉を経営し邸宅を築造した者はすくなくない。思出おもいいづるがままにわたくしの知るものをあげれば、華族には榎本梁川えのもとりょうせんがある。学者には依田学海よだがっかい、成島柳北がある。
向嶋 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
成功せいこうした其時そのときうれしさも思出おもひいでるが、しかおほくは其時そのとき一處いつしよつたともの、んだのや、とほざかつたのや、いろ/\それを懷出おもひいだして、時々とき/″\へん感情かんじやうたれもする。