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おもいで
ふりがな文庫
“
思出
(
おもいで
)” の例文
私が言ったただ
一言
(
ひとこと
)
、(人のおもちゃになるな。)と言ったを、
生命
(
いのち
)
がけで守っている。……可愛い娘に逢ったのが一生の
思出
(
おもいで
)
だ。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
かれこれと
語
(
かた
)
り
合
(
あ
)
っている
中
(
うち
)
にも、お
互
(
たがい
)
の
心
(
こころ
)
は
次第
(
しだい
)
次第
(
しだい
)
に
融
(
と
)
け
合
(
あ
)
って、さながらあの
思出
(
おもいで
)
多
(
おお
)
き
三浦
(
みうら
)
の
館
(
やかた
)
で、
主人
(
あるじ
)
と
呼
(
よ
)
び、
妻
(
つま
)
と
呼
(
よ
)
ばれて
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
……又も以前の通りの
思出
(
おもいで
)
を繰返しつつ、……自分の帰りを待っているであろう妻子の姿を、
木
(
こ
)
の
間
(
ま
)
隠れの一軒屋の中に描き出しつつ……。
木魂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それから
他
(
た
)
の一つの『
学士会院
(
ラシステキュー
)
の鐘』と題した方は、
再聞
(
またぎき
)
の
再聞
(
またぎき
)
と言って
然
(
しか
)
るべきであるが、これは
私
(
わし
)
に取って
思出
(
おもいで
)
の怪談としてお話したい。
不吉の音と学士会院の鐘
(新字新仮名)
/
岩村透
(著)
日々海を
眺
(
なが
)
めて暮らした。海の
魔力
(
まりょく
)
が次第に及ぶを感じた。三等船客の中に、眼が
悪
(
わる
)
いので
欧洲
(
おうしゅう
)
廻
(
まわ
)
りで渡米する一青年があって「
思出
(
おもいで
)
の
記
(
き
)
」を持て居た。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
シンデレラは、そのお母さまの
思出
(
おもいで
)
を、今度の新しいお母さまに結びつけるのでした。そして、胸をわくわくさせながら、お母さまの来る日を待っておりました。
シンデレラ
(新字新仮名)
/
水谷まさる
(著)
実在のものが
儚
(
はかな
)
い
思出
(
おもいで
)
の影のように見えるまで、
真
(
まこと
)
の生活の物事にこの心を動かさねばならぬのか。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
彼女については、彼が赤面したのも決して無理ではない程の実に恥しい
思出
(
おもいで
)
があったのである。
虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
地図には破不山とあるが、破風山の方が正しい字であることは言う迄も無い。七月の下旬に白石楠の花盛りを岩の上から眺めた快よさは、今も忘られぬ
思出
(
おもいで
)
の一つである。
秩父の奥山
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
若くて
新
(
あた
)
らしくて、そして夫人に取っては最も
思出
(
おもいで
)
の多い少女時代の遊び友達だった、千束守に乗り換えられ、夫の三郎氏は、置き忘れられた秋の扇のように、部屋の片隅に
凝
(
じ
)
っとして
奇談クラブ〔戦後版〕:01 第四の場合
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
思出
(
おもいで
)
の種に、
亡
(
な
)
き人を忍ぶ
片身
(
かたみ
)
とは、思い出す
便
(
たより
)
を与えながら、亡き人を
故
(
もと
)
に返さぬ
無惨
(
むざん
)
なものである。肌に離さぬ数糸の髪を、
懐
(
いだ
)
いては、泣いては、月日はただ先へと
廻
(
めぐ
)
るのみの浮世である。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
変りなきわが街の浮世には
思出
(
おもいで
)
もあらず
珊瑚集:仏蘭西近代抒情詩選
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
彼は、それから間もなく、今までの悲しい
思出
(
おもいで
)
からキレイに切り離されて、好きな数学の事ばかりを考えながら歩いていた。
木魂
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
(
母
(
おっか
)
さんが
烘
(
あぶ
)
って上げよう、)と、お絹は一世の
思出
(
おもいで
)
。
知死期
(
ちしご
)
は不思議のいい目を見せて、たよたよとして火鉢に
凭
(
よ
)
った。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかし同じ町内であるが、つまり
思出
(
おもいで
)
の一つであるのだが、その下宿に宿を取っていた或る学生、
慥
(
たし
)
か或る法学生があって、この法学生の目に見えた妄念の影があるのだ。
真夜
(
しんや
)
だという。
不吉の音と学士会院の鐘
(新字新仮名)
/
岩村透
(著)
彼女は身体を楽な
姿勢
(
しせい
)
にして、すみ切った細い声で、彼女の幼少の頃からの、不思議な
思出
(
おもいで
)
を物語るのであった。私はじっと耳をすまして、長い間、殆ど身動きもせずそれに聞き入っていた。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
清滝川は余にとりて
思出
(
おもいで
)
多い川である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
ちっとは
思出
(
おもいで
)
になるといっちゃあ、アノ笑顔をおしなので、私もそう思って見るせいか、人があるいて
行
(
ゆ
)
く時、片足をあげた処は一本脚の鳥のようでおもしろい。
化鳥
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
〔註、この間に幼年時代の
思出
(
おもいで
)
数々記しあれど略す〕
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それを
思出
(
おもいで
)
にして、後生だから
断念
(
あきら
)
めておくれ。神月は私の
良人
(
ていしゅ
)
だったと、人にいっても差支えはない。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
思出
(
おもいで
)
の一夜
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
梅の枝にほんのりと薄綿の霧が薫る……
百日紅
(
さるすべり
)
の枯れながら、二つ三つ咲残ったのも、何となく
思出
(
おもいで
)
の暑さを見せて、世はまださして秋の末でもなさそうに心強い。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
派手にも暮らし、
寂
(
さび
)
しくも住み、
有為転変
(
ういてんぺん
)
の世をすごすこと四十余年、兄弟とも、子とも申さず、唯血族一統の中に、一人、海軍の中将を出したのを、一生の
思出
(
おもいで
)
に、
出離隠遁
(
しゅつりいんとん
)
の身となんぬ。
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
われ
御曹子
(
おんぞうし
)
ならねども、この夏休みには牛首を
徒歩
(
かちあるき
)
して、
菅笠
(
すげがさ
)
を敷いて対面しょう、とも考えたが、ああ、しばらく、この栗殻の峠には、
謂
(
い
)
われぬ
可懐
(
なつかし
)
い
思出
(
おもいで
)
があったので、
越中境
(
えっちゅうざかい
)
へ足を向けた。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
思
常用漢字
小2
部首:⼼
9画
出
常用漢字
小1
部首:⼐
5画
“思出”で始まる語句
思出草