私はまだ三十にもならぬに、濃い髪の毛が、一本も残らず真白になっている。この様な不思議な人間が外にあろうか。嘗て白頭宰相と云われた人にも劣らぬ見事な綿帽子が、若い私の頭上にかぶさっているのだ。私の身の上を知らぬ人は、私に会うと第一に私の頭に不 …
著者 | 江戸川乱歩 |
ジャンル | 文学 > 日本文学 > 小説 物語 |
初出 | 「朝日」博文館、1929(昭和4)年1月号~1930(昭和5)年2月号 |
文字種別 | 新字新仮名 |
読書目安時間 | 約6時間5分(500文字/分) |
朗読目安時間 | 約10時間8分(300文字/分) |