“夜更”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
よふ49.6%
よふけ34.4%
よふか11.6%
よなか1.2%
よふかし0.8%
おそ0.4%
ふけ0.4%
ゆふ0.4%
よふく0.4%
よぶ0.4%
よぶか0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
夜更よふけに歌をうたって歩く人たちの声は、たとえ上手ではないとしても、冬の真夜中に湧きおこって、無上の調和をかもしだすのだ。
だがその行先はしばら秘中ひちゅうの秘としてあずかることとし、その夜更よふけ、大学の法医学教室に起った怪事件について述べるのが順序であろう。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それは昨夜の夜更よふかしのせいもあったろうし、外はこの雪でもあるし、こうして寝かしておけばいつまで寝ているかわかりません。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
夜更よなか目敏めざとい母親の跫音あしおとが、夫婦の寝室ねまの外の縁側に聞えたり、未明ひきあけに板戸を引あけている、いらいらしい声が聞えたりした。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
……これはよく落語家はなしかが枕にふる言葉ですが、……無くて七癖、有つて四十八癖、といつて誰にもあるんでせうが、さうなるとわたしには、夜更よふかしをするのが癖の一つでした
(新字旧仮名) / 喜多村緑郎(著)
廓をひかえて夜更おそくまで客があり、看板を入れる頃はもう東の空が紫色むらさきいろに変っていた。くたくたになって二階の四畳半で一刻いっときうとうとしたかと思うと、もう目覚ましがジジーと鳴った。
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
この句には「夜更ふけて帰る時に蝋燭なし、亭坊の細工にて火とぼす物でかしてわたされたり、むかし龍潭りゅうたん紙燭しそくはさとらんとおもふも骨をりならんとたはぶれて」
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
夜更ゆふけのせゐか、東京の郊外を歩いてゐるやうな、平凡な町であつた。年寄りの宿引きの案内で、山吹荘といふ小さい旅館へ案内された。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
一年あるとし夏のなかば驟雨後ゆふだちあとの月影さやかにてらして、北向きたむきの庭なる竹藪に名残なごりしづく白玉しらたまのそよ吹く風にこぼるゝ風情ふぜい、またあるまじきながめなりければ、旗野は村に酌を取らして、夜更よふくるを覚えざりき。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
マロニエの梢を渡る風がそれかと思はれるやうな事がままあるくらゐである。そんなに思つて居ながら、夜更よぶかしをしたあとなので、矢張やはり朝が起きにくい。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
夜更よぶかしをして帰つて来る自分達は兎角とかく遅く起きる朝が多いのに、夫人は何時いつでも温かい料理を出す様にと気を附けてられる。初めに辞退しなかつたので毎朝その通りの料理が出て加之おまけその量が多い。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)