“夜更”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
よふ48.4%
よふけ35.1%
よふか11.6%
よなか1.3%
よふかし0.9%
おそ0.4%
ふけ0.4%
ゆふ0.4%
よふく0.4%
よぶ0.4%
(他:1)0.7%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そりゃ話をなさると云っても、つまりは御新造が犬を相手に、長々と独りごとをおっしゃるんですが、夜更よふけにでもその声が聞えて御覧なさい。
奇怪な再会 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「しかし貴女あんたも、この商売はいい加減に足を洗ったらどうです。商売している間は、夜更よふかしはする、酒は呑む、体を壊す一方だからね。」
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
早「欠伸い止せよ……これは少しだがの、われえ何ぞ買って来るだが、夜更よふけで何にもねえから、此銭これ一盃いっぺい飲んでくんろ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
……参詣さんけいの散った夜更よふけには、人目を避けて、素膚すはだ水垢離みずごりを取るのが時々あるから、と思うとあるいはそれかも知れぬ。
菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
こんな夜更よふけに暗がりの庭に私を出で立たせるやうな落着けない、興奮した氣分をかもしたのには、無論この二つの事情があづかつてゐるのではあるが。
その時刻のことは、はっきりしなかったが、とにかく、かなり夜更よふけになって、新田先生は、ごうんごうんという遠雷のような響を耳にした。
火星兵団 (新字新仮名) / 海野十三(著)
花で夜更よふかしをして、今朝また飲んだ朝酒のいのさめかかって来た浅井は、ただれたような肉のわななくような薄寒さに、目がさめた。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
りやそんなに夜更よふかしするもんぢやねえ」といたはるやうなたしなめるやうな調子てうしていつてるのである。さうすると、
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
夜半といっても十二時ころで、高品さんの家はいつも夜更よふかしをするから、さしておそすぎるとも思わず、夫人は気軽に小屋へ訪ねていった。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
お銀は蒼い顔をして、よく夜更よなかに床のうえに起きあがっていた。そしてランプの心をき立てて、夜明けの来るのを待ち遠しがっていた。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
どの部屋もひっそりと寝静まった夜更よなかに、お増の耳は時々雨続きで水嵩みずかさの増した川の瀬音におどろかされた。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
夜更よなか目敏めざとい母親の跫音あしおとが、夫婦の寝室ねまの外の縁側に聞えたり、未明ひきあけに板戸を引あけている、いらいらしい声が聞えたりした。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
夜更よふかしして五時頃ねたので、おきたのは迚もおそかった。
……これはよく落語家はなしかが枕にふる言葉ですが、……無くて七癖、有つて四十八癖、といつて誰にもあるんでせうが、さうなるとわたしには、夜更よふかしをするのが癖の一つでした、……わたしの若い時分の時間でいふと十二時頃寝るのは罪悪のやうな気がしたもんです。
(新字旧仮名) / 喜多村緑郎(著)
廓をひかえて夜更おそくまで客があり、看板を入れる頃はもう東の空が紫色むらさきいろに変っていた。
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
その夜更おそく、帰って来た。
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
この句には「夜更ふけて帰る時に蝋燭なし、亭坊の細工にて火とぼす物でかしてわたされたり、むかし龍潭りゅうたん紙燭しそくはさとらんとおもふも骨をりならんとたはぶれて」という前書がついている。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
夜更ゆふけのせゐか、東京の郊外を歩いてゐるやうな、平凡な町であつた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
一年あるとし夏のなかば驟雨後ゆふだちあとの月影さやかにてらして、北向きたむきの庭なる竹藪に名残なごりしづく白玉しらたまのそよ吹く風にこぼるゝ風情ふぜい、またあるまじきながめなりければ、旗野は村に酌を取らして、夜更よふくるを覚えざりき。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
そんなに思つて居ながら、夜更よぶかしをしたあとなので、矢張やはり朝が起きにくい。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
夜更よぶかしをして帰つて来る自分達は兎角とかく遅く起きる朝が多いのに、夫人は何時いつでも温かい料理を出す様にと気を附けてられる。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)