“おそ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:オソ
語句割合
14.6%
13.3%
11.7%
11.6%
9.6%
9.1%
7.7%
7.0%
5.8%
2.0%
(他:124)7.6%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
艇内は、その前後に蓄電の量が尽きてしまい、吾々が何より心理的におそれていた、あのおそろしい暗黒が始まったのです。
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「どうもおそろしい人だね」と追いついた孤堂先生が云う。怖ろしいとは、本当に怖ろしい意味でかつ普通に怖ろしい意味である。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
もうよかろうというのでおそおそる頭をあげて窓の方をみると、窓は明け放しになったままで、もう怪漢の姿がなかった。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
もり一杯いつぱいひゞいてうへへ/\とおそろしく人々ひと/″\こゝろ誘導そゝつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
仕方がないから牝牛を買って三月末三日を余すまで無事に飼ったが、前にも懲りず三月も済んだからおそるるに足らぬと嘲った。
私は今の世の多くの人々が私に話しかける心持ちの根拠の説明を迫るほど、他人の運命をおそれる心を持っているとは信じない。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
おそかれ早かれ、自己を新たにする必要のある代助には、嫂の志は難有ありがたいにもせよ、却って毒になるばかりであった。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
もうこの節じゃ、洗濯ものも出来るし、単衣ひとえものぐらい縫えますって、この間も夜おそく私に逢いに来たんですがね。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
従って、そういう正史面からの武蔵研究と、小説の宮本武蔵とが、いつか一般の人の武蔵観に錯雑と混同してゆくおそれがある。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
長居は心がゆるさない。ほたの火もあまり過ぎては、暖に馴れて、かえって後が辛いし、人目を招くおそれもある。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
艇内は、その前後に蓄電の量が尽きてしまい、吾々が何より心理的におそれていた、あのおそろしい暗黒が始まったのです。
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
余は到つて臆病なりしかばかかる時は常に両人中余の尤もおそるる方に附きしたがひてこびを献じてその機嫌を取れり。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
金花はやや無気味な感じにおそはれながら、やはりテエブルの前に立ちすくんだ儘、なじるやうにかう尋ねて見た。
南京の基督 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
しかし暗くって湿しめッぽい空気が障子しょうじの紙をして、一面に囲炉裏いろり周囲まわりおそって来た。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その影響は日本全国に行き渡りつつある。仮令たといこれを一時の事と見ても、その影響はかなり永く後を引くおそれがある。
東京人の堕落時代 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
しかし一言の下にこの理窟を打ち破つてしまつては彼は面目を失ふことの代りに話は手切れになつてしまふおそれを思つて見た。
瘢痕 (新字旧仮名) / 平出修(著)
そのおそくなってから、彼女かのじょつかれて、むなしくまちほうかえってゆきました。
星の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
お辰とちがって、柳吉は蝶子の帰りがおそいと散々叱言こごとを言う始末で、これではまだ死ぬだけの人間になっていなかった。
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
先生せんせいのところへいって、おそわっているおもしろいうたをいいこえでうたいながら、ダンスのまねをします。
煙突と柳 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ウイリイは、犬からおそわっていたので、そっとその鳥のそばへ行って、しっぽについている、一ばん長い羽根を引きぬきました。
黄金鳥 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
いやなだね此樣こんおそくになにひにたか、またかちんのおねだりか、とわらつて
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
『さうともかぎりませんが熱海あたみおそくなると五ふんや十ぷん此處こゝたされるのです。』
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
お銀は床のなかで、その女が亭主に虐待されていたという話をして、自分の身のうえのことのようにおそれた。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
『医学のために教えた解剖学の類は、おそらく生物学には大して役にも立つまい。』と先生は、歎息しておっしゃった。
惜別 (新字新仮名) / 太宰治(著)
こちらへこしてからも私は三日にあげず怖い夢におそはれてよるよなか家ぢゆう逃げまはらなければならなかつた。
銀の匙 (新字旧仮名) / 中勘助(著)
おそわれたるごとく四辺あたりみまわし、あわただしくの包をひらく、衣兜かくしのマッチを探り、枯草に火を点ず。
紅玉 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
黒吉は、何かわからぬゾッとしたおそれに、ぶるぶる顫えながら、思わず腕の痛みも忘れて、胸から腹、腹から腰と撫ぜて見た。
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
いはんや彼人は物におそるゝこと鹿子かのこの如く、同じ席につらなるものもたやすく近づくこと能はざるを奈何せん。
ア・バイの壁の隙間から一部始終を覗いていた夫のギラ・コシサンは、半ば驚き半ばよろこび、大体に於ておそれ惑うた。
南島譚:02 夫婦 (新字新仮名) / 中島敦(著)
やがてムルタックの声が天からきこえて来た、やさしくやさしく。その声は蜜のように優しかった、そして栄光の深いおそれに包まれていた。
海豹 (新字新仮名) / フィオナ・マクラウド(著)
父忠兵衛も牧も、少女の意のす所をさとっていたが、父ははばかってあえて制せず、牧はおそれて咎めることが出来なかった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
きょうにして敬あらばもって勇をおそれしむべく、かんにして正しからばもって強を懐くべく、温にして断ならばもって姦をおさうべし」と。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
六年前に来た時、例の汚い宿で、金鱗湖のこいは名物であるから見て来いと勧められて、夜おそくなって見に行ったことがあった。
由布院行 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
楠は夜おそくなつて濟まなかつた事や、本を貸して呉れた事の禮やらを今夜は殊に丁寧に小さな聲で云つて歸つて行つた。相島は楠が返してよこした書物三四册を抱へて書齋に這入つて來た。
半日 (旧字旧仮名) / 有島武郎(著)
おそらくこれは大発見、と同時に又、景岡秀三郎の身を危く滅ぼすもとでもあったのです……。
足の裏 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
汽車の煤煙で化粧された名古屋駅近くの明治橋を渡つて、一直線に単線電車をおそそ十五分ほど乗ると、大門へ着くのだが、少し威勢のよい足なみで突き進むとやがて田圃へ出てしまつて、検黴病院のいかめしい建物が、目に痛いほどの寂しさを与へる。
名古屋スケッチ (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
そこの学校を出て私が他処の学校へ通う様になってもM子の引けのおそい日にはわざわざまわって行って一緒に帰った。
M子 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
よしそれが私の身に取って必ず受けなければならない尊い教えであったとしても、一時も一息吐く間もおそかれと希って居たのに、――けれ共後かれ早かれ一度は来なければならない事が只時を早めて来たと云うばかりであろう。
悲しめる心 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
こうわたとき蛟龍かうりようふねを追ふ、舟中しうちゆうひとみなおそる、天を仰いで
母となる (新字旧仮名) / 福田英子(著)
こうを渡る時、蛟竜こうりょう船を追う、舟中しゅうちゅうの人皆おそる、天を仰いで、嘆じていわく、我めいを天にく、力を尽して、万民を労す、生は寄なり、死は帰なりと、りょうを見る事、蜿〓えんていの如く、眼色がんしょく変ぜず、竜こうべし尾をれて、のがる。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
有無なくその場で圓朝は、先方のいう通りの文句で詫状を認めさせられた。どれほどそれを書く手のまた、おそろしく慄えて止まなかったことだろう。
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
それは「他人」の彼に、とても想像も出来なかったことだけれど、それにしても、あの群衆の目前で、いとも易々やすやすと、一つの美しき魂を奪去うばいさった「犯人」の手ぎわには、嫉妬に似たおそろしさを覚えるのであった。
鱗粉 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
してみると、おなじおそでも山獺が持参するので、伝説は嘘でない。
古狢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おその住む水も田に引く早苗かな
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
橋の下のちょうどまん中の辺にいれば、付近を通行する人に見つかるおそれのないことを私は昼間によくたしかめておいたのである。
動物園の一夜 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
これを見ても、私はそう云っていてはきりがなくなる、と云われた貴方の言葉を思い出し可怖おそるべしおそるべしと毛穴から油あせを感じた。
廓をひかえて夜更おそくまで客があり、看板を入れる頃はもう東の空が紫色むらさきいろに変っていた。
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
その夜更おそく、帰って来た。
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
今一個いまひとつもつと恐怖おそき『海賊船かいぞくせん襲撃しゆうげき』といふわざわいがある。
現世このよ存在得ありうべからざる海魔かいまとか船幽靈ふなゆうれいとかよりは百倍ひやくばい千倍せんばい恐怖おそるべきあるもの仕業しわざ
頂上の噴火口に投げ込まれた切支丹宗徒きりしたんしゅうと怨念おんねんのなす業だという流言が、肥筑ひちくの人々をおそれしめた。
恩を返す話 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
現ぜるをみなよ、胸乳おそふる手の
誰ぞ。このの戸おそふる。新嘗忌ニフナミに、わがを遣りて、いわふ此戸を
最古日本の女性生活の根柢 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
ああ静かに、周章てずに――我心よ、我心よー。私は自分の裡に辛うじても保つ、微かな燈火が、自らの煽りに燃え尽きて仕舞う事をおそれる。
無題 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)